とんだ騒ぎに巻き込まれ、出立を一日伸ばしたはずだったんだけど…
今ブルーマはちょっとした熱気に包まれていた。
事の発端はある一人の女、アルノラ。
このアルノラ、男に金を持ち逃げされて今や無一文らしい。。
で、何が起こってるのか、と言うとその男は何か犯罪をしたらしく今や牢屋の人となっている。
でもアルノラから奪ったお金や品物を全く持っていない。どこかに隠してしまったらしいのだ。
困り果てはアルノラは”宝探し”をしてくれる人を探してるらしい。
それでこの騒ぎである。どれ程の額かは知らないけど、お宝を見付けたら持ち主のアルノラと山分けと言うこともあって皆血眼になっている。
それならわたしも一枚噛ませてもらおうかしら。
わたしも参加すべくアルノラに挨拶しに行く。
「もう事情は知ってるんでしょ?あんたみたいに金の匂いに釣られてくれるのがいると助かるわ。探してくれるって言うなら本当の事も教えておくわね」
色々話を聞いてみたけど、驚くべきことにそのお宝、何と税金を運ぶ輸送部隊を襲って手に入れたものだと言う。
完全に犯罪行為だ。
アルノラはその捕まった男と組んで方々で盗みをしてたんだけど、ある日男がケチな盗みに嫌気がさして一気に大儲けを企んだんだけど、その標的が税金輸送部隊。
正直相手が悪い。
何とかお金を奪ったは良いけど、逃げ切れず相方の男が捕まってしまう。
食料調達で隠れ家から離れていたお蔭で彼女は逃げおおせたようだけど。
でアルノラが逃げる途中にお金を隠した場所を後日ほとぼりが冷めた頃に見に行ってみると、もぬけの殻だった。
そこで出した結論が「相方がどこかにお金を移した」と言うことだ。
それを探してほしいと言う。
正直どうしたものかと思う。ちょっと、いやかなり汚いお金よね、それ。
まぁ何かあったらアルノラに騙されてたフリでもすればお咎め無し、で済むかな。
ちょっと哀れっぽく泣き落としすれば多分わたしに罪が及ぶことは無いと思う。
よし、やってみよう。先立つものの大事さは身に染みて分かってる。
綺麗事だけじゃ渡っていけないのも世間ってものよね。
恐らく外で宝探ししてる連中も同じような結論に至ったんだと思う。
と言うわけでわたしも参戦すべくまずは城の地下牢へと向かった。
昔の偉い人は言いました。「答えは知ってる奴に聞け」と。
説得して聞き出すのは難しいだろうけど、それでもあちこちほじくり返すより手っ取り早いはずだ。
看守にその男ジョランダーの友人だと言って面会させてもらう。
「何でお前なんぞに教えにゃならん?それとも何かお前、ひょっとしてティレリアスの差し金か?ならあいつに伝えな。思い通りにゃならねぇ、ってな」
ティレリアスと言うのはどうもここの衛兵らしい。
衛兵まで狙ってるのか…って言うか、それって良いのかしらね?強盗されたお金と知ってて探すとは中々の汚職っぷりだわ。
わたしはその衛兵の差し金じゃないことを伝えるけど、当然信じてもらえない。
どうすれば良いかしらねぇ?
衛兵との繋がりが無いことを示す方法かぁ…。
あれこれ考えたけど、一番分かりやすいのはこれしかない、か。
正直気が進まないけど…。
わたしは面会を済ませると、看守の目の前でわざとバレるように羽ペンを掠め取ろうとした。
「スタァァップ!!」
ほらきた。
衛兵は逮捕の際に必ずこの言葉を発する。
まぁ物が物だから一晩で済むかしらね。
そしてわたしはジョランダーと同じ牢に入れられる。
「へぇ?何だお前さっきの奴じゃねぇか。本当に衛兵と関係ないんだな。ってことは…あの女の差し金か。まぁ良い。金の在り処を知りたいんだろ?条件次第じゃ教えても良いぜ?」
ジョランダーが示した条件と言うのは…アルノラの命だった。
彼からも事のあらましを聞かされたんだけど、内容はほぼ一緒。
ただ違うのは…アルノラが食料を取りに行った直後に衛兵に踏み込まれた…と言う。
ジョランダーはこれをアルノラが衛兵に密告したからだと言う。
「だがあの女の思い通りにはさせねぇ。そもそもあんまり信用出来ねぇ女だったからな。あいつが出てった隙に金の隠し場所を変えたのさ!」
正直どっちが正しいのかは分からない。どっちもどっちな人達みたいだし。
で、当分獄中から出れない自分に代わってアルノラを殺せと言う。さてどうしたものかしら。
翌日釈放されたわたしは思案しながらアルノラの家に向かう。
ジョランダーは彼女のアミュレットを証拠に持ってくるよう言ってたけど…馬鹿正直に殺しまではしたくない。
そんなことしたらそれこそお尋ね者だ。アミュレットなんて借りれればそれで充分事足りるはず。
「ふぅん。じゃぁこれ貸したげるわ」
事情を話すとアルノラはあっさりとアミュレットを寄越す。
まぁこれで隠したお金の在り処が分かるんだし、断られる理由も無いか。
それを持って再び地下牢へ。
しかし傍から見たらわたしってかなり怪しい人よねぇ。面会に来たと思ったら投獄されて釈放されたその日にまた面会とか。
良く看守も通してくれたものよね。
まぁそれはともかく。
「そうか!やってくれたか!こいつぁ良い、最高だ!」
上機嫌になったジョランダーはお金の隠し場所を教えてくれた。
後はそれを持って帰ればお仕舞だ。
…その時はそう思っていた。
「牢で話すときはもっと周りに注意するんだな」
隠し場所に行くと…ガラの悪い衛兵が一人。
「アルノラも始末したし、後はお前で終わりだ」
即座に剣を抜くと躊躇いも無く斬りかかってくる!
「似非衛兵にはちょっと荷が重かったかしら?」
わたしの隣には骸骨兵が高らかに斧を掲げている。
しかしアルノラを始末したとか言ってたわね…冗談とも思えないけど正気の沙汰とも思えない。
わたしはお宝を改修するとアルノラの家に向かった。
…あの似非衛兵本当にやってたのね。
斬り殺されたアルノラが仰向けに倒れている。
わたしは足早にブルーマを去ることにした。もう夕暮れ時だけど長居して今回の一件にわたしが関係していたことを悟られたくない。
どこへ向かうかは決めてないけど馬に跨ると振り返ることも無く走り去った。
今ブルーマはちょっとした熱気に包まれていた。
事の発端はある一人の女、アルノラ。
このアルノラ、男に金を持ち逃げされて今や無一文らしい。。
で、何が起こってるのか、と言うとその男は何か犯罪をしたらしく今や牢屋の人となっている。
でもアルノラから奪ったお金や品物を全く持っていない。どこかに隠してしまったらしいのだ。
困り果てはアルノラは”宝探し”をしてくれる人を探してるらしい。
それでこの騒ぎである。どれ程の額かは知らないけど、お宝を見付けたら持ち主のアルノラと山分けと言うこともあって皆血眼になっている。
それならわたしも一枚噛ませてもらおうかしら。
わたしも参加すべくアルノラに挨拶しに行く。
「もう事情は知ってるんでしょ?あんたみたいに金の匂いに釣られてくれるのがいると助かるわ。探してくれるって言うなら本当の事も教えておくわね」
色々話を聞いてみたけど、驚くべきことにそのお宝、何と税金を運ぶ輸送部隊を襲って手に入れたものだと言う。
完全に犯罪行為だ。
アルノラはその捕まった男と組んで方々で盗みをしてたんだけど、ある日男がケチな盗みに嫌気がさして一気に大儲けを企んだんだけど、その標的が税金輸送部隊。
正直相手が悪い。
何とかお金を奪ったは良いけど、逃げ切れず相方の男が捕まってしまう。
食料調達で隠れ家から離れていたお蔭で彼女は逃げおおせたようだけど。
でアルノラが逃げる途中にお金を隠した場所を後日ほとぼりが冷めた頃に見に行ってみると、もぬけの殻だった。
そこで出した結論が「相方がどこかにお金を移した」と言うことだ。
それを探してほしいと言う。
正直どうしたものかと思う。ちょっと、いやかなり汚いお金よね、それ。
まぁ何かあったらアルノラに騙されてたフリでもすればお咎め無し、で済むかな。
ちょっと哀れっぽく泣き落としすれば多分わたしに罪が及ぶことは無いと思う。
よし、やってみよう。先立つものの大事さは身に染みて分かってる。
綺麗事だけじゃ渡っていけないのも世間ってものよね。
恐らく外で宝探ししてる連中も同じような結論に至ったんだと思う。
と言うわけでわたしも参戦すべくまずは城の地下牢へと向かった。
昔の偉い人は言いました。「答えは知ってる奴に聞け」と。
説得して聞き出すのは難しいだろうけど、それでもあちこちほじくり返すより手っ取り早いはずだ。
看守にその男ジョランダーの友人だと言って面会させてもらう。

「何でお前なんぞに教えにゃならん?それとも何かお前、ひょっとしてティレリアスの差し金か?ならあいつに伝えな。思い通りにゃならねぇ、ってな」
ティレリアスと言うのはどうもここの衛兵らしい。
衛兵まで狙ってるのか…って言うか、それって良いのかしらね?強盗されたお金と知ってて探すとは中々の汚職っぷりだわ。
わたしはその衛兵の差し金じゃないことを伝えるけど、当然信じてもらえない。
どうすれば良いかしらねぇ?
衛兵との繋がりが無いことを示す方法かぁ…。
あれこれ考えたけど、一番分かりやすいのはこれしかない、か。
正直気が進まないけど…。
わたしは面会を済ませると、看守の目の前でわざとバレるように羽ペンを掠め取ろうとした。
「スタァァップ!!」
ほらきた。
衛兵は逮捕の際に必ずこの言葉を発する。
まぁ物が物だから一晩で済むかしらね。
そしてわたしはジョランダーと同じ牢に入れられる。
「へぇ?何だお前さっきの奴じゃねぇか。本当に衛兵と関係ないんだな。ってことは…あの女の差し金か。まぁ良い。金の在り処を知りたいんだろ?条件次第じゃ教えても良いぜ?」
ジョランダーが示した条件と言うのは…アルノラの命だった。
彼からも事のあらましを聞かされたんだけど、内容はほぼ一緒。
ただ違うのは…アルノラが食料を取りに行った直後に衛兵に踏み込まれた…と言う。
ジョランダーはこれをアルノラが衛兵に密告したからだと言う。
「だがあの女の思い通りにはさせねぇ。そもそもあんまり信用出来ねぇ女だったからな。あいつが出てった隙に金の隠し場所を変えたのさ!」
正直どっちが正しいのかは分からない。どっちもどっちな人達みたいだし。
で、当分獄中から出れない自分に代わってアルノラを殺せと言う。さてどうしたものかしら。
翌日釈放されたわたしは思案しながらアルノラの家に向かう。
ジョランダーは彼女のアミュレットを証拠に持ってくるよう言ってたけど…馬鹿正直に殺しまではしたくない。
そんなことしたらそれこそお尋ね者だ。アミュレットなんて借りれればそれで充分事足りるはず。
「ふぅん。じゃぁこれ貸したげるわ」
事情を話すとアルノラはあっさりとアミュレットを寄越す。
まぁこれで隠したお金の在り処が分かるんだし、断られる理由も無いか。
それを持って再び地下牢へ。
しかし傍から見たらわたしってかなり怪しい人よねぇ。面会に来たと思ったら投獄されて釈放されたその日にまた面会とか。
良く看守も通してくれたものよね。
まぁそれはともかく。
「そうか!やってくれたか!こいつぁ良い、最高だ!」
上機嫌になったジョランダーはお金の隠し場所を教えてくれた。
後はそれを持って帰ればお仕舞だ。
…その時はそう思っていた。
「牢で話すときはもっと周りに注意するんだな」
隠し場所に行くと…ガラの悪い衛兵が一人。
「アルノラも始末したし、後はお前で終わりだ」
即座に剣を抜くと躊躇いも無く斬りかかってくる!
「似非衛兵にはちょっと荷が重かったかしら?」
わたしの隣には骸骨兵が高らかに斧を掲げている。
しかしアルノラを始末したとか言ってたわね…冗談とも思えないけど正気の沙汰とも思えない。
わたしはお宝を改修するとアルノラの家に向かった。
…あの似非衛兵本当にやってたのね。

斬り殺されたアルノラが仰向けに倒れている。
わたしは足早にブルーマを去ることにした。もう夕暮れ時だけど長居して今回の一件にわたしが関係していたことを悟られたくない。
どこへ向かうかは決めてないけど馬に跨ると振り返ることも無く走り去った。