マーティンの姿を求めて難民キャンプへ。
聖堂から脱出した人との再会を喜んでか、少し賑わった雰囲気になっていた。
いや賑わってる一番の理由はひとまずこの動乱が収束したからかな。
オブリビオンゲートは消え、街からもデイドラはいなくなった。
…残るは灰燼と化した街並みだけ。
無事な建物は見た限りでは多分聖堂だけだったと思う。
ここから街を立て直すのは相当に時間がかかることだろう。
でもそれはわたしの仕事じゃない。非情なようだけど、一介の薬師に出来ることなんてたかが知れている。せいぜい怪我人に薬を振る舞うくらいが関の山。
それはともかくマーティンだ。
あんな危険なマネをしたのも皇帝のお世継ぎ探しのためだ。
まったくもっと楽に終わると思ったんだけどなぁ。
一応街の窮状を打破したことでわたしに対する評判は良くなったこともあり、皆人探しに協力的だったのが助かった。
「私がマーティンですが、何でしょう?」
良かった無事生き残っててくれた。
わたしは皇帝の死からマーティン自身の素性、ブレイズの事を伝える。
「まさか。私は一介の司祭にすぎませんよ」
始めこそ信じ難いと言う態度だったけど、根気良く話を続けるうちにこちらのことを信じてくれるようになっていった。
「確かにそうですね。私を騙す為にオブリビオンゲートを閉じ、デイドラの蹂躙した街を解放する危険を冒すなんて馬鹿げた話でしょう。分かりました貴女を信じてその修道院へ行きましょう」
わたしはマーティンに馬を譲ると、先導して歩き始めた。
どこかでもう一頭、馬を用意出来たら良かったんだけど…こればかりは仕方ないわね。
帰りもスキングラードで一泊して帝都を横目にコロール方面へ。
漸く修道院が見えてきた、と言うところで助修士のエロノールが血相を変えて走ってきた。
「助けてください!皆殺しにされる!」
皆殺し!?穏やかじゃないわね…。一体何が…と思ったところでエロノールを追ってきたらしい赤黒い鎧がメイスを振り上げる!
また乱闘騒ぎなの!?もう!どうなってるのよ!
エロノールをそのまま逃がすとわたしは弓を構え、骸骨兵を傍らに呼び出す。
でも…あの赤黒い鎧、見覚えがある…皇帝を暗殺した奴らと同じ格好だ。
わたしは必至の応戦で暗殺者を退ける。
マーティンには下がっているよう言ったんだけど…割と好戦的なのか魔法とナイフで参戦してくれた。
本音を言えば助かるんだけど、ここで迂闊に討ち死にされたら元も子もない。
一体何がどうなってるのか。
暗殺者の姿が無くなったところで改めて辺りを見回す。
…随分と激しい争いだったようね。
暗殺者に交じって倒れ伏す修道士の姿も見える。
生き残った修道士にジョフリーの安否を確認するけど、修道士も把握してないと言う。
何時もなら礼拝堂で祈りを捧げる時間だと言うから、急ぎそちらへと走る。
礼拝堂の中では多勢に無勢な情勢だった。ジョフリーが刀を片手に3人を相手取って大立ち回りの真っ最中!
でもこの狭い礼拝堂じゃ弓なんて危なくて使えない。
さっきの修道士に加えてマーティンまで加勢せんと前に出ている。
わたしはコロールを離れる前に別件で貰った例の魔剣を手に取った。剣なんてわたしのガラじゃないんだけどなぁ。
結局わたし達の参戦で情勢はひっくり返り、無事ジョフリーを助けることが出来た。
これで暗殺者は全員退けられた、かな。
でも一息吐くにはまだ早いらしい。
「アミュレットの無事を確認せねば!」
一応修道院にある秘密の隠し部屋に保管してるらしいんだけど…。
「くっ…アミュレットを奪われてしまったか…」
憎々しげに吐き捨てるジョフリー。
「でもこっちにはまだマーティンがいます」
わたしの声で漸くその存在に気付いたのか、はっと顔を上げると
「まだ希望は残っていたか…だがもうここは安全ではないな」
最早ブレイズの秘密基地であるこの修道院の存在は敵に知れている。
そこにマーティンと言う皇帝の血族がいるとなればまた襲撃があるだろうことは容易に想像できる。
そこで避難場所として提案されたのが曇王の神殿だった。
何でもその神殿は表向きこそ宗教施設だけど、真の役割はブレイズの本拠地だと言う。
かくしてわたし達はブルーマの更に北。寒風吹き付ける山の上にある寺院を目指すことになった。
「お待ちしていました。マーティン様ですね。どうぞこちらへ」
わたし達が寺院に着くとすぐに迎えが出てくる。しかもマーティンの存在も既に伝わっていた。
魔法による遠距離通話か別の手段を使ったのかは知らないけど、話が速くて良い。
ジョフリーは寺院のブレイズ隊員を集めるとマーティンを紹介し、マーティンもたどたどしくではあったけど、挨拶代りの演説をする。
…何はともあれこれでわたしの役目は終わり、ね。
マーティンとだけ少しお喋りをしたらもうここから去ろう。
事態は既に一介の呪術師がでしゃばるような状況じゃなくなってる。分不相応は身を滅ぼすのみだわ。
夕日に照らされる寺院をそっと離れるとわたしは麓のブルーマへと向かった。
聖堂から脱出した人との再会を喜んでか、少し賑わった雰囲気になっていた。
いや賑わってる一番の理由はひとまずこの動乱が収束したからかな。
オブリビオンゲートは消え、街からもデイドラはいなくなった。
…残るは灰燼と化した街並みだけ。
無事な建物は見た限りでは多分聖堂だけだったと思う。
ここから街を立て直すのは相当に時間がかかることだろう。
でもそれはわたしの仕事じゃない。非情なようだけど、一介の薬師に出来ることなんてたかが知れている。せいぜい怪我人に薬を振る舞うくらいが関の山。
それはともかくマーティンだ。
あんな危険なマネをしたのも皇帝のお世継ぎ探しのためだ。
まったくもっと楽に終わると思ったんだけどなぁ。
一応街の窮状を打破したことでわたしに対する評判は良くなったこともあり、皆人探しに協力的だったのが助かった。
「私がマーティンですが、何でしょう?」
良かった無事生き残っててくれた。
わたしは皇帝の死からマーティン自身の素性、ブレイズの事を伝える。
「まさか。私は一介の司祭にすぎませんよ」
始めこそ信じ難いと言う態度だったけど、根気良く話を続けるうちにこちらのことを信じてくれるようになっていった。
「確かにそうですね。私を騙す為にオブリビオンゲートを閉じ、デイドラの蹂躙した街を解放する危険を冒すなんて馬鹿げた話でしょう。分かりました貴女を信じてその修道院へ行きましょう」
わたしはマーティンに馬を譲ると、先導して歩き始めた。
どこかでもう一頭、馬を用意出来たら良かったんだけど…こればかりは仕方ないわね。
帰りもスキングラードで一泊して帝都を横目にコロール方面へ。
漸く修道院が見えてきた、と言うところで助修士のエロノールが血相を変えて走ってきた。
「助けてください!皆殺しにされる!」
皆殺し!?穏やかじゃないわね…。一体何が…と思ったところでエロノールを追ってきたらしい赤黒い鎧がメイスを振り上げる!
また乱闘騒ぎなの!?もう!どうなってるのよ!
エロノールをそのまま逃がすとわたしは弓を構え、骸骨兵を傍らに呼び出す。
でも…あの赤黒い鎧、見覚えがある…皇帝を暗殺した奴らと同じ格好だ。
わたしは必至の応戦で暗殺者を退ける。
マーティンには下がっているよう言ったんだけど…割と好戦的なのか魔法とナイフで参戦してくれた。
本音を言えば助かるんだけど、ここで迂闊に討ち死にされたら元も子もない。
一体何がどうなってるのか。
暗殺者の姿が無くなったところで改めて辺りを見回す。
…随分と激しい争いだったようね。
暗殺者に交じって倒れ伏す修道士の姿も見える。
生き残った修道士にジョフリーの安否を確認するけど、修道士も把握してないと言う。
何時もなら礼拝堂で祈りを捧げる時間だと言うから、急ぎそちらへと走る。
礼拝堂の中では多勢に無勢な情勢だった。ジョフリーが刀を片手に3人を相手取って大立ち回りの真っ最中!
でもこの狭い礼拝堂じゃ弓なんて危なくて使えない。
さっきの修道士に加えてマーティンまで加勢せんと前に出ている。
わたしはコロールを離れる前に別件で貰った例の魔剣を手に取った。剣なんてわたしのガラじゃないんだけどなぁ。
結局わたし達の参戦で情勢はひっくり返り、無事ジョフリーを助けることが出来た。
これで暗殺者は全員退けられた、かな。
でも一息吐くにはまだ早いらしい。
「アミュレットの無事を確認せねば!」
一応修道院にある秘密の隠し部屋に保管してるらしいんだけど…。
「くっ…アミュレットを奪われてしまったか…」
憎々しげに吐き捨てるジョフリー。
「でもこっちにはまだマーティンがいます」
わたしの声で漸くその存在に気付いたのか、はっと顔を上げると
「まだ希望は残っていたか…だがもうここは安全ではないな」
最早ブレイズの秘密基地であるこの修道院の存在は敵に知れている。
そこにマーティンと言う皇帝の血族がいるとなればまた襲撃があるだろうことは容易に想像できる。
そこで避難場所として提案されたのが曇王の神殿だった。
何でもその神殿は表向きこそ宗教施設だけど、真の役割はブレイズの本拠地だと言う。
かくしてわたし達はブルーマの更に北。寒風吹き付ける山の上にある寺院を目指すことになった。
「お待ちしていました。マーティン様ですね。どうぞこちらへ」
わたし達が寺院に着くとすぐに迎えが出てくる。しかもマーティンの存在も既に伝わっていた。
魔法による遠距離通話か別の手段を使ったのかは知らないけど、話が速くて良い。
ジョフリーは寺院のブレイズ隊員を集めるとマーティンを紹介し、マーティンもたどたどしくではあったけど、挨拶代りの演説をする。

…何はともあれこれでわたしの役目は終わり、ね。
マーティンとだけ少しお喋りをしたらもうここから去ろう。
事態は既に一介の呪術師がでしゃばるような状況じゃなくなってる。分不相応は身を滅ぼすのみだわ。
夕日に照らされる寺院をそっと離れるとわたしは麓のブルーマへと向かった。