塔の中は外と打って変わって暗い。
だからこそ一際目立つものがある。
見た目は炎の柱…だけど、そうじゃない。あれはマジカが吹き上がっているんだ。
目にも見える程高濃度に圧縮されたマジカの奔流。
それは炎にも似た輝きで周囲を照らす。
お蔭でほんの少しだけど辺りの様子が分かる。
その明かりを頼りにわたしは塔を登る。
あの吹き上がるマジカ…絶対に何かある。
わたしの予想が正しいなら、恐らくはゲートを安定させる装置か何かにエネルギーを供給してるはず。
塔の中に住み着いてるスキャンプと呼ばれる小鬼を退けながらマジカの柱を辿るけど…。
鍵のかかった扉に行く手を阻まれる。
門番みたいなのは居なかったと思うけど…。
叩いて壊せるような貧相なモノじゃないし、やっぱり鍵を探さないと。
暗がりの中に見える扉が他にも幾つかある。どこかにあると良いんだけど。
扉の一つから外に出ることが出来た。そしてその先には隣の塔へと続く連絡路。
「ひぅ…!?」
危うく声を出すところだった。
隣の小塔に入ったところに暖簾のつもりなのか、朽ち果てた死体が…吊るされていた。
まったくこう言う趣味の悪いことはやめて欲しい。見た目も悪いから写真とかは載せないわよ?
こっちは小さい塔なので、ほぼ下から上まで吹き抜けになっている。
わたしは丁度2階部分から入った形になっていて、下を覗き込むと針山の様なヘンな装置がある。
そのまま視線を上階に向けると、何かいる。
そして人の声の様な物も聞こえる。戦っているような気配ではないけど…。
わたしは弓を用意すると呼吸を整えて一気に上階に駆け上がる。
見えるのは檻に閉じ込められた人とそれを見張ってるドレモラが一人。
この状況でやることはもう決まっている。
わたしの放つ矢が開戦の火ぶたを切って落とす!
「そいつの持ってる鍵であの塔の最上階に行け!そこに奴等が印石と呼んでいるものがあるはずだ!それを取り外せばゲートが閉じる!」
檻に囚われた衛兵は早口にまくしたてる。その視線の先には無数の矢を生やした動かないドレモラ。
わたしは衛兵を助けようと檻を操作する仕掛けを探そうとしたけど、それすらも制止して早く行けと急かす。
「優先順位を見誤るな!俺の事よりこのゲートをどうにかするんだ!」
結局仕掛けを見付けられなかったわたしは印石を探しに行くしかなかった。
鍵のかかった扉の先に道はあるはず。
扉の先はこれまでと同じように緩やかな螺旋を描いて上に繋がっている。
時々見かけるドレモラを毒矢でこっそりと仕留めながら上へ、上へ。
こんなことならもっと毒を用意しとくんだったわ。
上り坂も遂に終点。毒で悶死したドレモラの死体を踏み越えて印石とやらを探す。
あれね。
1階から吹き上がるマジカを浴びて真っ赤に輝く丸い石。これが印石じゃなかったら何なのかと問いたい。
…でもこれ、触って大丈夫なのかしら?迂闊に触ったら手とか吹き飛びそうな気がする。
わたしは手にマジカを集中させて手袋の様に張り巡らせる。…これで少しはマシ、かしら?
ここまで来て何もしないってわけにもいかないし…深呼吸を一つすると、その印石を掴み取った。
掴んだ時に「あっ」と思った。これ取ったらゲートが閉じるのよね?
ってことは、どうやって現世に出ればいいのかしら?浅はかだったと後悔し始めたところで異変が始まる!
今まで印石が受け止めていたマジカの奔流が荒れ狂う。
現世に帰る以前にこの場でマジカに焼かれて死ぬかも!?
そう思った瞬間、静寂に包まれた。
どうなったの?わたしは恐る恐る目を開けると…そこはクヴァッチの城門前だった。
オブリビオンゲートは砕け散ったのか、土台の一部を残して無くなっていた。
「出てこれた…の?」
何がどうなったのかはさっぱりだけど、戻ってこれたみたい。
そこでふと思い出したのは、囚われの衛兵。
でも周囲を見回しても人影は無く…出てこれたのはわたしだけってこと?
わたしとその衛兵の運命を分けたのが何なのか…手の中にある印石を見る。
これを掴んだ人だけが現世に出られる、とか?
もしそうだとしたら…オブリビオンゲートの攻略は単騎駆けしないといけないのかしら?
…いや考えるだけ無駄か。もうゲートは閉じてしまった。
もうゲートに入ることも無いだろう。
ただ置き去りにしてしまった衛兵の無事を祈るとわたしはサヴリアンのところに戻ることにした。
だからこそ一際目立つものがある。
見た目は炎の柱…だけど、そうじゃない。あれはマジカが吹き上がっているんだ。
目にも見える程高濃度に圧縮されたマジカの奔流。
それは炎にも似た輝きで周囲を照らす。
お蔭でほんの少しだけど辺りの様子が分かる。
その明かりを頼りにわたしは塔を登る。
あの吹き上がるマジカ…絶対に何かある。
わたしの予想が正しいなら、恐らくはゲートを安定させる装置か何かにエネルギーを供給してるはず。
塔の中に住み着いてるスキャンプと呼ばれる小鬼を退けながらマジカの柱を辿るけど…。
鍵のかかった扉に行く手を阻まれる。
門番みたいなのは居なかったと思うけど…。
叩いて壊せるような貧相なモノじゃないし、やっぱり鍵を探さないと。
暗がりの中に見える扉が他にも幾つかある。どこかにあると良いんだけど。
扉の一つから外に出ることが出来た。そしてその先には隣の塔へと続く連絡路。
「ひぅ…!?」
危うく声を出すところだった。
隣の小塔に入ったところに暖簾のつもりなのか、朽ち果てた死体が…吊るされていた。
まったくこう言う趣味の悪いことはやめて欲しい。見た目も悪いから写真とかは載せないわよ?
こっちは小さい塔なので、ほぼ下から上まで吹き抜けになっている。
わたしは丁度2階部分から入った形になっていて、下を覗き込むと針山の様なヘンな装置がある。
そのまま視線を上階に向けると、何かいる。
そして人の声の様な物も聞こえる。戦っているような気配ではないけど…。
わたしは弓を用意すると呼吸を整えて一気に上階に駆け上がる。
見えるのは檻に閉じ込められた人とそれを見張ってるドレモラが一人。
この状況でやることはもう決まっている。
わたしの放つ矢が開戦の火ぶたを切って落とす!
「そいつの持ってる鍵であの塔の最上階に行け!そこに奴等が印石と呼んでいるものがあるはずだ!それを取り外せばゲートが閉じる!」
檻に囚われた衛兵は早口にまくしたてる。その視線の先には無数の矢を生やした動かないドレモラ。
わたしは衛兵を助けようと檻を操作する仕掛けを探そうとしたけど、それすらも制止して早く行けと急かす。
「優先順位を見誤るな!俺の事よりこのゲートをどうにかするんだ!」
結局仕掛けを見付けられなかったわたしは印石を探しに行くしかなかった。
鍵のかかった扉の先に道はあるはず。
扉の先はこれまでと同じように緩やかな螺旋を描いて上に繋がっている。
時々見かけるドレモラを毒矢でこっそりと仕留めながら上へ、上へ。
こんなことならもっと毒を用意しとくんだったわ。
上り坂も遂に終点。毒で悶死したドレモラの死体を踏み越えて印石とやらを探す。
あれね。
1階から吹き上がるマジカを浴びて真っ赤に輝く丸い石。これが印石じゃなかったら何なのかと問いたい。

…でもこれ、触って大丈夫なのかしら?迂闊に触ったら手とか吹き飛びそうな気がする。
わたしは手にマジカを集中させて手袋の様に張り巡らせる。…これで少しはマシ、かしら?
ここまで来て何もしないってわけにもいかないし…深呼吸を一つすると、その印石を掴み取った。
掴んだ時に「あっ」と思った。これ取ったらゲートが閉じるのよね?
ってことは、どうやって現世に出ればいいのかしら?浅はかだったと後悔し始めたところで異変が始まる!
今まで印石が受け止めていたマジカの奔流が荒れ狂う。
現世に帰る以前にこの場でマジカに焼かれて死ぬかも!?
そう思った瞬間、静寂に包まれた。
どうなったの?わたしは恐る恐る目を開けると…そこはクヴァッチの城門前だった。
オブリビオンゲートは砕け散ったのか、土台の一部を残して無くなっていた。
「出てこれた…の?」
何がどうなったのかはさっぱりだけど、戻ってこれたみたい。
そこでふと思い出したのは、囚われの衛兵。
でも周囲を見回しても人影は無く…出てこれたのはわたしだけってこと?
わたしとその衛兵の運命を分けたのが何なのか…手の中にある印石を見る。
これを掴んだ人だけが現世に出られる、とか?
もしそうだとしたら…オブリビオンゲートの攻略は単騎駆けしないといけないのかしら?
…いや考えるだけ無駄か。もうゲートは閉じてしまった。
もうゲートに入ることも無いだろう。
ただ置き去りにしてしまった衛兵の無事を祈るとわたしはサヴリアンのところに戻ることにした。