下水道から脱出したわたしは早速修道院へと向かうことにした。

脱出 


できるだけ早くこのアミュレットとおさらばしたい。
こんなものを持っていて揉め事に巻き込まれるのはまっぴらご免。
本当に暗殺者がわたしを狙ってくるのか分からないけど、
用心に越したことは無い。

帝都で少し持ち物を整えたら一路コロールへ。
帝都を出て西に続く街道に沿って歩く。
今はもう廃墟と化した砦を超えて西へ西へ。

それは二つ目の廃砦に差し掛かった頃の事。
「金を出せ…さもなけりゃ」
廃砦の陰から出てきたのは…カジートの追剥だった…。
まったく!紛らわしいわね。暗殺者かと思ったじゃない。

「…そんなにお金持ってそうに見える?」
「あぁ、見えるね。お前からは金の匂いがするぜ!?」
牢から出て拾った錆の浮いた鎧を纏ったわたしのどこに
お金の気配を感じるのか知らないけど、追剥はこれ以上の
問答は不要とばかりに襲いかかってきた。
まったくもう!
わたしは呪術で編み上げた骸骨兵を呼び起こすと連携して

追剥を挟み撃ちにする。
猪突猛進にわたしへと迫る追剥の背中を骸骨兵の斧が切り裂く。
わたしは鎧の上にマジカの殻を身に纏い、ただ追剥の猛攻を
凌いでいればいい。

勝負は程なく決まった。
「ふぅ…」
わたしは溜息を一つ吐くと、傷薬の霊薬を飲み干す。
相手はただの追剥だったけど、やられるわけにはいかない。
これでも王族のアミュレットを預かっているんだし。

空は茜色に染まりそろそろ夕暮れ時。
ちょっと急がないとまずいかな…?
でも修道院まであと少しのはず。
わたしは旅路を急ぐことにした。