朝食のセカンドミール効果を確認する方法は、いろいろあるようだ。

一番シンプルなのは「朝食を欠食 vs 朝食を摂る」の比較だが、「たっぷり摂る vs 少なく摂る」や、「食物繊維を多く摂る vs 少なく摂る」、「たんぱく質を多く摂る vs 少なく摂る」など、いろんなパターンがある。

 

たとえば、「普段の朝食」に対し、納豆あるいは豆乳を加えたときのセカンドミール効果を調べた研究があった。

 

健常大学生における豆乳・納豆のセカンドミール血糖上昇抑制効果

(リンクを貼りたいのだが、Google検索でトップに出る「愛知学院大学機関リポジトリ」のページをクリックすると、いきなりPDFのダウンロードになってしまう。読みたい人は、各自で検索してほしい)

 

大学生29人が対象。

まずはふだん通りの朝食を摂ってきてもらい、午前中は大学の講義を受けてもらった。その後、昼食に基準食(サトウのごはん150g)での血糖値を測定した(対照実験)。

次に、対照実験のときと同じ朝食に加えて納豆(90g)を摂る群15人、豆乳(400mL)を摂る群14人にわけ、同じように昼食に基準食での血糖値を測定した。

 

豆乳と納豆で異なる点は、

豆乳;たんぱく質と脂質が多い

納豆;食物繊維が多い

 

 

豆乳を摂ると食後血糖値のピークが後ろにずれた。

食後30分の血糖値は、豆乳を摂ったときの方が有意に低かった。

しかしながら、血糖曲線下面積(AUC)に有意差はなかった。

 

 

 

納豆を摂ると、やはり食後血糖値のピークが後ろにずれた。

食後15分、30分、45分の血糖値は、納豆を摂ったときの方が有意に低かった。

AUCに有意差はなかったものの、納豆で低くなる傾向にあった(p=0.077)。

 

まあ、若い大学生が対象だからね。差が出たとしても小さくて当然だろう。

というか、納豆群での対照実験で、血糖値が上振れしてるんじゃないの?と思う。

納豆群のグラフにはなぜか補助線がないので分かりづらいが、普段の朝食のときの血糖値はピークが150 mg/dLを超えているし、エラーバーが大きい。

なんか、たまたま血糖値が高くなった学生がいたんじゃないの?と思ってしまう。

そのせいで、納豆を摂ったときとの差が大きく見えたのでは?と。

 

まあでも、結果は結果。

普段の朝食に納豆を加えると、朝食の血糖上昇を抑制することができるかもしれない。

ただし、納豆の摂取量は90g(2パック)なので、一般的な摂取量の2杯であることに注意が必要だ。

 

ここで話が終わらないところが面白いところ。

同じ研究チームが、同じような実験を繰り返しているのだ。

 

健常大学生における朝の豆腐・納豆食が昼の米飯摂取後の食後血糖に及ぼす影響

—大豆製品のセカンドミール血糖上昇抑制効果(2)—

 

前回の実験のリミテーションは、朝食の内容が学生によってバラバラだったこと。

したがって、今回は朝食も基準食とし、それに加えて豆腐400g、もしくは納豆90gを摂取したときの効果を調べた。

炭水化物量を50gに揃えるために、対照実験ではごはん150g、豆腐群はごはん105g、納豆群はごはん108gとした。

昼食にはごはん150gを摂取した。

対象者は大学生9人で、ランダムな順で、日を置いてクロスオーバー実験をおこなった。

 

豆腐は豆乳と同じで、たんぱく質と脂質が多かった。

納豆はやはり食物繊維が多かった。

 

 

 

 

結果、豆腐群では朝食の血糖上昇が有意に抑制された。

しかし、セカンドミール効果は豆腐群、納豆群、いずれもみられなかった。

 

ということで、テーマを深掘りした結果、「効果なし」というネガティブデータになってしまったのだった。

 

そもそも、食後血糖値が大きく上昇しない健常人が対象なのだ。

セカンドミール効果など狙わず、普通に食べても血糖値は上昇しない。

 

こんな実験ではなく、食後血糖値が爆上がりする耐糖能異常者を被験者にして、危険なほど上がってしまう血糖値を安全域にまで抑制できる食べ方・食べ物を探してほしいと思う。

 

先日の記事で、「朝食をたっぷり摂り、夕食を軽くすると血糖上昇が穏やかになる」というデータを紹介した(ここ)。

これは2型糖尿病患者が対象だったが、注意が必要だと思う。

704kcal PFC (%) = 31 : 22 : 47の朝食を摂っても、血糖値が130 mg/dLから235 mg/dLくらいしか上がっていない集団なのだ。

一般的に、2型糖尿病患者では、1日のうちで朝食が一番血糖値が上がりやすいと言われている。前の食事からの絶食時間が長いからだ。

血糖値が上がりやすい朝食を大量に摂っているにもかかわらず、ピークが235 mg/dLで収まるものなのか? 私が同じ食事を摂ったら悲惨な状況になりそうなのだが、どうなるんだろうか?

 

* * * * *

 

おやつ(間食)にもセカンドミール効果があると言われている。

食事と食事の間が長くなりそうな場合、積極的におやつを摂取することで、次の食事の血糖上昇を抑制できるというのだ。

 

いろんなおやつについて、カルビーが検討している。

 

4種の間食と間食の摂取時間が夕食後の食後血糖値に及ぼす影響

 

 

黒豆、ポテトチップス、フルーツグラノーラ、焼き芋、それぞれ200 kcalずつを摂取し、次の食事の食後血糖値に対する影響を調べている。

 

12時に昼食、15時におやつ、19時に夕食というパターンの場合。

NO 間食なし

BB 黒豆

PC ポテトチップス

FG フルーツグラノーラ

SP 焼き芋

 

 

Bは夕食後の血糖値のピーク。Cは夕食後の血糖曲線下面積(AUC)。

間食に焼き芋を食べると、夕食後の血糖値がピークでもAUCでも有意に抑えられている(フルーツグラノーラも)。

ただ… 間食したときの血糖値を見ると、焼き芋とフルーツグラノーラは、ガッツリ血糖値が上がっていることが分かる。

 

いくらセカンドミール効果があったって、間食でこれだけ血糖値を上げちゃイカンだろ…(呆)

焼き芋を食べたあと血糖値が急降下していることにも注目だ。

めっちゃ血糖値スパイク起こしとるやん…

 

12時に昼食、17時に間食、19時に夕食というパターンの場合。

ここまで来ると、セカンドミール効果と言うよりは、「先食べ効果」と言った方がいいんじゃないだろうか。

 

 

夕食の結果だけを見ると、やはり焼き芋(ついでフルーツグラノーラ)で血糖値のピークもAUCも有意に抑えられていた。

が、焼き芋で血糖値スパイクおこしてるやん!

しかも、15時に食べたときより血糖値がドカーンと上がってるやん!

あかんやん!w

 

それに比べると、ポテトチップスは間食で少し血糖値が上がったものの驚くほどではなく、さらに夕食の血糖上昇を有意に抑制していた。

 

この研究を報告した論文はここ

論文では、間食での血糖値についてもきちんとグラフ化しているので、焼き芋を食べるとヤバいことになることがはっきり分かる。

また、間食と夕食を合計した総AUCについてもグラフ化している。

 

 

15時におやつを食べようが、17時におやつを食べようが、夕食で血糖上昇が抑制されたとしてもおやつで血糖値が上がるので、総AUCとしてはどれも有意差なし。

残念!

 

ただ、血糖値のピークを抑制したいということなら、ポテチ一択になるだろう。

 

ということで!

食べるなら、夕食の2時間前に、200kcal分のポテトチップスだ!

ただし、2型糖尿病患者が真似をして、どうなるかは知らん!

超加工食品で絶対的悪者として名高いポテトチップスを2型糖尿病が食べるなんて、医師や栄養士が知ったら目をむいて怒るだろう。

おやつにポテトチップスを食べるくらいなら、低脂肪であるまんじゅうや焼き芋を食べなさい! 焼き芋には食物繊維も豊富です!

そう指導されるはずだ。

そしたら、その間食で血糖値が大爆発するだろうね。

絶対悪のアブラを摂るくらいなら、高血糖になるくらい、どうでもいいんだろう。

知らんけど。

 

わたしがポテチを200kcal分摂ったら、血糖値はどうなるのかなー?

糖尿病で入院して以来、ポテチは一度も食べてないよ。

なので、丸7年食べてないってことだね。

以前はのり塩が大好きだったなぁ。堅あげとピザポテトも好きだった。

 

のりしおの60gパックで335kcal。半分ちょっと食べると200kcalか。

うわー、めっちゃ食べたい。

一緒にビール飲みたい。

 

一番ダメなパターンだw