ネット記事よりいろいろと。

 

母乳が腸内細菌叢を介して与える影響が、子の脳発達に重要と判明(要登録)(ここ

 

 

母乳育児にはいろいろメリットがあると、以前から言われている。

母乳が腸内細菌に影響するのは、まあそうだろうなと想像できるけど、それを介して脳の発達にも影響するとはね。いや、母乳が脳の発達に影響すること自体も「そうなんだろうな」と思うんだけど、「腸内細菌を介して」というのが、へ〜って感じ。

 

マウスの母乳にはL型アミノ酸オキシダーゼ1(LAO1)という酵素が含まれていて、酵素反応の際に過酸化水素が発生する。この過酸化水素が、仔マウスの腸内細菌叢形成に重要な役割を果たしているらしい。

LAO1を欠損した母マウスの母乳で育った仔マウスは、成熟後に空間記憶を評価するモリス水迷路試験を行ったところ、空間記憶の異常が見られたのだとか。

 

そっかー

わたしが方向音痴なのは、ミルクで育ったからなんだなw

もし、母乳で育っていたら、方向音痴にはならなかったかもしれないし、学校の勉強ももっとできたかもしれん。

ミルクのせいだったなら、しゃーないな!

 

…と、思わず納得しかけたが。

 

同じように育ったはずの弟は、特に方向音痴だと聞いたことはないなぁ。学校の勉強も、わたしより数段よくできてたし。

 

母乳育児にメリットがあるのはその通りなんだろうけど、あんまり言うと、母乳が出ないお母さんたちが悩んでしまうよね。

こういう研究を通して、母乳と変わらないよう、どんどんミルクが改良されていくといいね。

 

* * * * *

 

格言「患者は高血圧・糖尿病・脂質異常を病気と捉えていない」の賛否は?(要登録)(ここ

 

医師の間には「患者は高血圧・糖尿病・脂質異常を病気と捉えていない」という格言があるらしい。この格言について、その通りだと思うかどうか、医師にアンケートしている。

結果、賛成・やや賛成・どちらでもない・やや反対・反対が見事にばらけた。

賛成とやや賛成が合わせて44.5%、反対とやや反対が合わせて30.4%、どちらでもないが25.1%だった(回答数2104)。

 

「賛成」と回答した医師のエピソードとして「なるほど」と思ったのは、体重が150kgで3食米を特盛りで食べ、鶏唐揚げ1kg以上を食べるような患者の例だった。

「HbA1c 14.0で糖尿病と診断され、心血管疾患リスクについて説明されても笑うだけで、生活を改善しようとしなかった。その2か月後、たまたま受けた検診で便潜血陽性になり、大腸内視鏡検査を受けたら大腸がんが見つかった。ステージ2で根治も十分見込めると話したが、泣き崩れていた。」

痛くも痒くもないのはステージ2の大腸がんも同じだったろうけど、糖尿病は笑い飛ばしてもがんは笑えなかったんだねぇ… 多分、同じような患者は多いんだと思う。

ちなみに、この患者はこの病院の麻酔科から手術の許可が下りず、大学病院に紹介されることになったらしい。つまり、一般病院では手術ができないほどの糖尿病だったわけ。そう告げられたとき、この患者がどう感じたのか知りたいところだ。

 

まあ、わたしだってHbA1c 15%だったんだし、その直後にがんなど手術が必要な疾患が見つかっていたら、「今すぐには手術はできません。まずは血糖コントロールからです!」と言われてたんだろうな。

わたしは一応、糖尿と診断されて治療を開始してからは生活を一変させたよ。わたしの場合は、「痛くも痒くもない状態」どころか「にっちもさっちもいかない状態」になってたからだけど。

もし、痛くも痒くもなかったら、わたしもまだビールを飲み続けてたかもね。

 

「どちらでもない」とした医師のエピソードは、降圧薬が処方されている患者に「高血圧をお持ちですね」と尋ねたら、「いいえ、高血圧はありません」と答える、というもの。薬のおかげで血圧が下がっているのに、その血圧値が正常だから、患者の理解では「自分は高血圧ではない」となってしまう。

我々医療従事者からすると「何言っているの、この人?」と思う

こういうことは、日常茶飯事なんだろうなぁ。

前に通っていた内科クリニックの医師もボヤいていたもんね。

「もう何年も通ってきているのに、急に『先生、わたしは糖尿病ですか?』と聞く患者がおる。あんたが手に持っている糖尿病手帳は何なんや?って、ずっこけるで、ほんま」

あるいは、父親の知人と母親の知人、別々の二人から聞いた同じ言葉も、似たようなパターンかもしれない。

「HbA1cは7%未満やったら糖尿病と違うんやろ?」

この二人は違うかかりつけ医に通っているので、同じ医師から間違った説明を受けたわけではない。そして、おそらくは医師から「7%未満だと合併症リスクが低いので、そこまで下げれば大丈夫」と説明されたことを、脳内で「7%未満だと糖尿病じゃない」と変換してしまったのだと思う。

 

なるほどなと思うエピソードを読んだ最後に、最も「なるほど」と思わせる意見があった。「反対」と回答した医師の意見だ。

「患者は病識が無い、困ったもんだ」といった言葉は、上から目線の医療者の決めつけだと思います。一般人である患者さんは、疾患に関する知識が無くて当然。高血圧・糖尿病・脂質異常が病気であることをきちんと説明し、患者さんに理解してもらうのは、医療側の仕事です【糖尿病科】

おお〜、医師の鑑だ! しかも、糖尿病科の医師というのがいいね。

とは言え、「きちんと説明し、理解してもらう」というのが「ガイドラインにガチガチに沿った教育」だとすると、それはそれで軋轢を生みそうな…アハハ

 

* * * * *

 

「高血圧の基準が変わった」と誤解している患者さん【Dr. 坂根の糖尿病外来NGワード】第46回(要登録)(ここ

 

いつごろからだったかなぁ…? ネット上で「2024年4月から高血圧の基準が変わるらしい(変わったらしい)」という書き込みを何回も見かけるようになった。書き込みによると、「現行の140/90から、160/100になる」とのこと。

以前からネット上では「血圧の基準は厳しすぎる。昔は『年齢+90』でいいと言われていた。高齢で血管が硬くなるから、末梢に血液を届けるために血圧が高くなるのは当たり前で、薬で血圧を無理に下げると血流が悪くなって認知症になる」という意見を多数目にしていた。

だから、「高血圧の基準が緩くなるらしい」という情報は、「そら見たことか」的な受け止めとともに拡散しているように思う。

 

ネット上でこのような情報が拡散していることに、医師も気づいたようだ。

患者から「高血圧の基準が変わったそうですね」と言われた場合の想定問答が記事になっていた。

NGワードは、患者に対して

「ずっと変わっていません」(頭から行動を否定)
「そんなことより、ちゃんと薬を飲んでおきなさい」(話題が違う方向に)
「もっと食事に気を付けなさい」(あいまいな食事指導)

と言ってしまうこと。

なぜ間違った情報が拡散されてしまったのか背景をきちんと説明し、誤解を解くことが重要で、情報源を聞いた上で、「公式」や「学会」といったキーワードを入れて検索するよう促すのがポイントだとあった。

 

わたしも、ネットでこの情報を目にしたとき、「そんなアホな!?」と思って自分で調べたのだった。

当然ながら、日本高血圧学会が定める高血圧の基準は変更されていない。

診察室血圧140/90以上、家庭血圧135/85以上なら高血圧だ。

では、何が変更されたのか?というと、「特定健診の受診勧奨値」の話だ。

特定健診を受診した際に、血圧が160/100以上であれば「すぐに医療機関の受診を」、140-159/90-99であれば「生活習慣を改善する努力をした上で、数値が改善しないなら医療機関の受診を」と対応するよう、血圧値によって対応を統一することが決められただけのこと。

 

もともと、血圧が140/90を少し超えても、すぐに投薬治療になるわけじゃなかった。肥満の人は減量するように言われたり、過剰な飲酒や喫煙の習慣があれば控えるよう言われたり、減塩するように言われ、その指導に従っても改善しなかったり、数値が悪化するようであれば投薬治療、という流れだった。

なので、特定健診の文言も同じことを言っているのだが、「『すぐに医者に行け』と言われない=高血圧ではない」と勘違いした人が、間違った情報を拡散してしまったようだ。

 

いろいろネットで調べていたときに、どこかでチラッと読んだのだが、受診勧奨値が決められた裏側には、健診結果を受け取ったときのトラブル事例があったようだ。

たとえば、

健診を受診したとき、問診の医師に「あなたは血圧が145/93と少し高かったので、生活習慣を改善してください」と説明され、「すぐに医療機関を受診しろ」とは言われなかった。なのに、後日、健診結果が郵送されると、そこには「あなたは高血圧です。医療機関を受診しましょう」みたいな文言が記されていた。問診の医師には「受診しろ」と言われなかったのになぜだ!?

こういうトラブルが頻発していたらしい。

つまり、「生活習慣の改善で様子見」という段階であっても、健診結果の用紙には、異常値の場合は一律に「医療機関を受診しろ」という文言が記されていたのがトラブルの元になっていたらしいのだ。

 

なので、今回、「この数値以上ならすぐに医療機関を受診するよう勧める、この数値なら生活習慣の指導のみおこなう」と、ルールを明確に決めたというわけ。

 

興味のある人は、以下の資料をどうぞ。

標準的な健診・保健指導プログラム(令和6年度版)PDF

血圧に関しては128ページから。

脂質に関しては130ページから。

血糖値に関しては139ページから。

高血圧の基準が「160/100に変更された」と誤解されたなら、脂質異常症だって「LDL-Cは180以上、TGは500以上に変更された」になる。糖尿病だけは「血糖値126以上、HbA1c 6.5%以上」だから、現行の診断基準と同じだね。

なんで、糖尿病だけは「血糖値126-135、HbA1c 6.5-7.0%は生活習慣の見直しで様子見」にならないんだろう?

不思議だね。

 

今回の間違った情報拡散への、日本高血圧学会の怒りの(?)声明はこちら。

特定健診における受診勧奨判定値についての正しいご理解をPDF

 

基準値はねー

厳しくなることはあっても、緩くなることはないと思うわ。

特に、中年、メタボ世代にとってはね。

高齢者の場合は、基準が緩くなることもあるけども。

 

自分に都合のいい情報に飛びついちゃうと、間違ってることがあるから要注意だね。