この3日間、天気がよくて気持ちがよかった。

ウォーキングしていると、あちこちの家の庭先でワイワイとBBQを楽しんでいた。いいニオイが漂ってきて、羨ましく思いながら帰宅して、野菜と魚と玄米(もしくはもち麦、あるいは全粒粉パン)の食事をした。

これでHbA1cが上がって「不摂生したからだ」と言われたら、ブチ切れてもよい?

 

* * * * *

 

昨年末に興味深く読んだネット記事があった。その完結編が、先日アップされた。

 

74歳男性の「岡田さん」は、健康診断で「糖尿病予備群かも」と指摘されたことがあるらしい。

医師から「このままだと糖尿病になるよ」と言われたことがきっかけで、パーソナルジムに通うことを決意した。

その様子を密着した記事だ。

 

Vol. 01

“糖尿病にならない体”を半年間トレーニングで目指す~糖尿病予備軍の70代男性が決意した未来~

 

 

岡田さんの健康診断結果は、いくつか「引っかかる」検査項目があるものの、同年代の人と比べるといい数値、というレベルらしい。

ただ、具体的な数値は紹介されておらず、記事を読んでも空腹時血糖値やHbA1cについては不明だった。

 

Vol. 02

動きを鍛える。70 代男性が糖尿病予防のため本気トレーニングに挑む

 

 

第2回の記事では、岡田さんのトレーニング内容が紹介されていた。

こうやって、ちゃんとトレーナーに付いてもらって、正しいトレーニングの仕方を教えてもらうのがいいんだろうなぁ。

てか、やっぱ、ここまでしないと「運動療法」とは言えないのかな。だとしたら、やっぱりわたしは「寝たきり」レベルなのかも。

厳しいなぁ…

そう思いながら読んだ。

 

食事療法については、まあ、糖尿病予備群の人なら、玄米や全粒粉を勧める程度でいいよね。揚げ物NG、アブラNGについてはノーコメント。

 

Vol. 03

下半身を鍛えるトレーニング。糖尿病予防のため70代男性が本気で挑む

 

 

年明けにアップされた第3回の記事。

岡田さんがトレーニングを始めてからの中間報告。

と言っても、検査結果の中間報告ではない。

 

そして、4月30日に密着取材の最終記事がアップされた。

 

Vol. 04

糖尿病を予防する有酸素運動。半年間密着の結果とは

 

 

岡田さん、半年間がんばったんだねぇ…と思いながら読んでいたのだが。

 

ちょっと待ったー!

 

EBHSが114.9→122.5とかなり改善し(EBHS +7.6)、想定される寿命は88.94歳から89.92歳、空腹時血糖値は160という結果になりました。

 

ええーっ?

それは完全に糖尿病型じゃないの!?

なのに健診で「糖尿病予備群かも」と言われたのは、HbA1cが6.4%以下だから?

 

よく利用される、平均血糖値とHbA1cの関係式で確認してみよう。

推定HbA1c = (平均血糖値 + 46.7) / 28.7

もし、平均血糖値が160 mg/dLなら、推定HbA1cは7.2%となり、完全に糖尿病だ。

岡田さんは暁現象が酷くて、早朝空腹時血糖値がものすごく高くなってるのか? 就寝中も日中も、早朝空腹時血糖値よりもっと低い? 食後高血糖は起きていないのか?

そう考えないと、1日の平均血糖値が早朝空腹時血糖値を下回ることはないだろう。

岡田さん、パーソナルトレーニングもいいけど、リブレを着けてデータを見せてくれー!

 

そんな岡田さん、半年間パーソナルジムに通ってトレーニングし、食事指導も受けたにもかかわらず、空腹時血糖値は高いまま改善されなかったわけだ。

記事タイトルの「糖尿病を予防する有酸素運動。半年間密着の結果とは」の答えとしては、「運動は糖尿病を予防できなかった」になっちゃうんじゃないの?

てか、パーソナルジムでおこなっていた運動って、筋トレじゃなくて有酸素運動だったのか。

 

しっかり運動してもこの結果なのね…

努力って、一体なんなんだろうね?

夢も希望もないシリーズ記事だった。

 

* * * * *

 

うちの両親、連休前にクリニックに行って、二人とも糖尿病治療薬が変更になったようだ。

母親は、長年スイニー(DPP-4阻害薬)単剤だったのが、最近になってフォシーガ(SGLT2阻害薬)が追加されていた。

今回、スイニーを中止して、かわりにテネリア(DPP-4阻害薬)になった。フォシーガは継続。

 

わたしが、「スイニーもテネリアも、どっちもDPP-4阻害薬という同じ種類の薬だ」と説明すると、「なんで変更になったんやろ?」と不思議がっていた。

知らんがな。医師の考えをわたしが分かるわけがない。

 

ネットで調べてみたところ、今年3月までは三和化学と興和の2社がスイニーを販売していたが、興和が契約終了に伴い終売し、三和化学だけで販売継続する、という動きがあったようだ。もしかすると、これまで母親が処方されていたのは興和のもので、販売会社が変更になるのを機に、薬剤そのものも変更しようと医師が思ったのか?

スイニーの販売開始は2012年11月。テネリアは2012年9月。だから、母親がスイニーを処方されたころはまだテネリアが出ていなかった、というわけではなさそう。

うーん、新薬でもないし、今さらMRさんの営業が影響したとも思えんが…

長年、同じ薬を処方し続けることでクリニカルイナーシャを疑われる(レセプトが査定される?)から、たまに薬剤を変更するとか? 同じDPP-4阻害薬の中で変更することに、どれだけ意味があるのか知らんけど。

 

とりあえず、各DPP-4阻害薬の特徴をメモっておこう。(ここ参照)

 

グラクティブ/ジャヌビア(シタグリプチン)
・腎機能の影響を受けやすい。腎機能が低下している場合は減量するなど調節する場合がある
・SGLT2阻害薬スーグラ(イプラグリフロジン)との配合剤(スージャヌ配合錠)がある


エクア(ビルダグリプチン)
・肝機能の影響を受けやすい。原則として、重度の肝機能障害がある患者へは使用しない
・ビグアナイド薬(メトホルミン)との配合剤(エクメット配合錠)がある


ネシーナ(アログリプチン)
・チアゾリジン薬アクトス(ピオグリタゾン)との配合剤(リオベル配合錠)がある
 ビグアナイド薬(メトホルミン)との配合剤(イニシンク配合錠)がある


トラゼンタ(リナグリプチン)
・胆汁排泄型の特徴を持ち、一般的に腎機能障害や肝機能障害がある場合でも用量の調節が不要とされる
・SGLT2阻害薬ジャディアンス(エンパグリフロジン)との配合剤(トラディアンス配合錠)がある


テネリア(テネリグリプチン)
・OD錠(口腔内崩壊錠)の剤形もあり、嚥下能力の低下した患者などへのメリットも考えられる
・体内で薬剤の成分が肝臓と腎臓の2つのルートで消失する特徴を持つ
・SGLT2阻害薬カナグル(カナグリフロジン)との配合剤(カナリア配合錠)がある


スイニー(アナグリプチン)
・肝臓での代謝をほとんど受けないことから、肝機能障害がある場合でも投与によるリスクが少ないなどのメリットが考えられる
・ビグアナイド薬(メトホルミン)との配合剤(メトアナ配合錠)がある


オングリザ(サキサグリプチン)


ザファテック(トレラグリプチン)
・週に1回服用するタイプの薬剤


マリゼブ(オマリグリプチン)
・週に1回服用するタイプの薬剤

 

母親は腎機能も肝機能も全く問題ないので、それが変更理由ではないだろう。嚥下機能も問題ないので、OD錠が処方されたわけでもない。

もしかすると、いずれはSGLT2阻害薬をカナグルにして、カナリア配合錠を処方するつもりなのかな?

 

スイニーの薬価は35.4円/錠、1日2錠なので、70.8円/日。

テネリア 20mgの薬価は106.3円/錠、1日1錠なので、106.3円/日。

ということで、医療費が上がったようだ。自己負担額としては、それほど負担が増えたわけでもないだろうけど。

 

フォシーガ 5mgの薬価は169.9円/錠、1日1錠なので、169.9円/日。

カナグルの薬価は158.5円/錠、1日1錠なので、158.5円/日。

カナリア配合錠の薬価は220円/錠、1日1錠なので、220円/日。

なるほど、配合錠になれば医療費は下がるのね。

 

母親はいろんな薬をクリニックで出してもらっているから、クリニックとしては7剤以上にならないよう減らしたいという思惑があるのかも。7剤以上になると、院外処方料が68点から40点に減算されてしまうもんね。

 

ていうか、なぜ薬が変更になるのか?を、医師と患者がもっと気軽に話し合えればいいのに。

 

 

さて、問題は父親だ。

前に、HbA1cが8.8%まで上昇してしまったので、薬を追加されたことを書いた。

 

 

もともとはジャヌビア(DPP-4阻害薬)単剤を処方されていたのだが、常にHbA1cが大きく7%を超えるようになり、デベルザ(SGLT2阻害薬)を追加されていた。

しかし、それでもHbA1cが8.8%にまで上がってしまったために、さらに薬を追加されたのだ。

なにを追加されたのか確認してみたところ、なんと、DPP-4阻害薬のテネリアだった。

つまり、DPP-4阻害薬+DPP-4阻害薬+SGLT2阻害薬の3剤を処方されたのだ。

 

こんな処方はあるのだろうか?間違いじゃないのか?と思ったが、ちゃんと薬局で処方されているのだから、なにか医師に考えがあるということなのだろう。そう思いたい、と記事に書いた。

 

ところが!

 

今回の受診で、医師は「うっかり勘違いしていたので、薬をひとつ減らします」と言ったというのだ!

 

ちょ、待てよ!

 

そんな「うっかり」、糖尿病専門医がやっていいのか!?

そして、調剤薬局の薬剤師は、DPP-4阻害薬が重ねて処方されていることに、疑義照会しなかったのか!?

結局、血糖降下作用は強くならず、副作用リスクだけが上がっていたの?

どっちも、ちゃんと仕事してくれー orz

 

結局、父親はカナリア配合錠に変更された。

テネリアとカナグル(SGLT2阻害薬)の配合剤なので、つまりは、ジャヌビアを中止してテネリアを残し、デベルザをカナグルに変更、ということになる。

 

今回のHbA1cは8.6%だったようで、医師から「次の検査で下がっていなければ、注射薬を処方する」と言われたらしい。本人は「注射は絶対にイヤだ!」と宣言したようだが。

医師にサンプルを見せてもらったらしく、一緒に説明を受けた母親が言うには「週1回の注射で、1回ごとに使い捨てだった」とのこと。なので、インスリン製剤ではなくGLP-1受容体作動薬だろう。1回使い捨てということは、オゼンピックではなくトルリシティか。(オゼンピックは、今は2 mg製剤だから1回使い捨てじゃないよね? 違ったっけ?)

 

父親は前々から「注射は絶対イヤ」と医師に言っていたようだから、もしGLP-1受容体作動薬に変更するなら、医師は経口薬のリベルサスを勧めるのかと思っていた。でも、どうやらトルリシティを考えているようだ。

なんでだろう? 父親のBMIが20弱だから、体重減少効果があるリベルサスを避けるつもりだろうか?(父親は新型コロナ感染で食欲が落ちたときに体重が5キロ減り、BMIが20を切ってしまった。そのまま戻っていないようだ)

せっかく経口薬があるのに、やせているから使えないというのはもどかしいところだ。肥満患者であれば、なんの問題もなく処方してもらえるのだろうが。

 

てか、あれ?

新規にトルリシティを処方できるの? 流通逼迫は解除されたの?

と思って調べたら、4月22日から通常出荷になったようだ。

てことは、わたしも今月の診察で、ジャヌビアからトルリシティに戻すことになるかな?

以前の診察で、HbA1cが少し高くなって、医師にそれとなく「薬剤を変更したせいじゃないか」と言ったら、「なんですか?薬を変えてほしいんですか?でもね、今は出せないんです!」とキレられ、それ以降はなにも言えなくなった(そして、HbA1cが上がったのは食べすぎのせいにされた)。

さて、次の診察ではどうなることやら。なんせ、今度はHbA1cがめっちゃ上がっているだろうからね。トルリシティでは歯が立たなさそう。このままだと、超速効型インスリンを処方されるかな?

 

GLP-1受容体作動薬のサンプルを見た母親は、「すでに針が付いていて、自動的に針が刺さるみたいだった。注射と言っても簡単そうだった」と言っていた。

ふっふっふ。そう甘くはないのだよ。

注射の手技そのものは簡単だけどね、皮下に液体を500 µLも注入するのは、それなりに負担が大きいのだよ。打つ前はかなりの覚悟が必要なのだ。

 

インスリン製剤の場合、わたしが使ったことがある針は、テルモのナノパス34G(市立病院と内科クリニック)、BDのマイクロファインプラス32Gx4mm(今の総合病院)だ。それに対し、トルリシティの針は29G。針の太さを表すG(ゲージ)は数字が大きいほど細いので、トルリシティの針の方が太いことが分かる。

(ちなみに、ネットの情報によると、採血の時の針は21〜22Gらしい)

インスリンを打つときは自分で針を皮膚に突き刺すが、トルリシティは注入ボタンを押すと容赦なく勝手に針が突き刺さる。インスリンなら突き刺す前に針で皮膚をツンツンしてみて痛くないか確認することができるけど、トルリシティの場合はうっかり痛点に刺してしまう可能性がある。

また、打つ前にしっかり常温に戻しておかないと、冷蔵庫から出して冷たいまま打つとめっちゃ痛い。常温に戻していても、そこそこ痛いのに。

 

なーんてことを父親に言ったら、ビビって余計に「注射は絶対にイヤ!」と言い張るから言わないけどねw

 

しかしまあ、注射を嫌がる糖尿病患者は多いのに、世間では自ら注射薬を求める人の多いことよ。この違いはなんなのか。

人は己の欲望のためならなんでもできるのだ。

父よ、甘えるな!(?)

 

そんなに注射を回避したいなら、HbA1cが改善するよう、自分で気をつけてくれればいいんだけどねぇ…

この前、一緒にチューリップを見に行ったとき、両親二人は「歩くのがしんどい」と言ってベンチに座ってしまったので、わたし一人で園内をぐるっと一周した(昼食のパンで上がった血糖値の対策をしないと!)。

両親と合流して、さあ帰ろうというときに、父親がソフトクリームを食べると言い出した。こうなると、母親も一緒になって食べてしまう。二人してソフトクリームを食べていた。

 

最近の両親はモーニングに凝っていて、いろんな喫茶店を開拓しているようだ。

知り合いから「ボリュームがたっぷりなのがいい」と聞いた店に行ってみると、たしかにボリュームいっぱいだったらしい。トーストかサンドイッチを選べ、それ以外にスパゲティとそうめんの小鉢。お菓子が5種類ほど(ラムネ菓子、チョコレート、せんべい、小さな最中など)。

母親は「パンにスパゲティにそうめん。たしかにボリュームたっぷりやけど、サラダやゆで玉子があるかと思ってたのになかった。これはちょっと…」という評価だったが、父親は「あの店はよかった!また行きたい!」という予想通りの反応。いろんなお菓子を持って帰ってきて嬉しかったようだ。子どもか!w

 

80歳を超えたら、何でも好きな物を食べていいとも思うけどさ。

糖質ばかりに偏るのは止めてくれー

 

 

それはともかく、両親が通っているクリニックは糖尿病専門医だから、そこは信用してたんだけどなぁ…

大叔父の件があって、糖尿病専門医ではない内科クリニックの恐ろしさを知ったわけだが、専門医でも…(以下略)