以前、コメント欄で、

「血糖値も測れるスマートウォッチの広告」

があることを教えてもらった。

その広告にはオムロンのロゴが付いていたようだ。

 

本当にオムロンがそんなスマートウォッチを出したなら、大きな話題になっているはず。

というか、そもそも、スマートウォッチで血糖測定ができる技術は、今現在のところ開発されていないはず。

 

そこで、オムロンの公式サイトを見てみたら、こんな注意喚起が出ていた。

 

【注意喚起】重要なお知らせ:オムロンブランドをかたる偽サイト・製品の販売にご注意ください

 

 

その後、わたしもスマホの広告で、オムロンを騙るスマートウォッチを何度も見かけて、「あー、このことかー」と思った。

今でも堂々と「血糖測定ができる」ことを謳っているようだ。

オムロンのロゴを無断使用するあたり、日本人をターゲットにしていることがよく分かる。

全く、油断も隙もないね。

 

こんなニセモノを買ってしまうと、悪質な業者に金を貢いでしまうことになる。

その上、全くアテにならない「血糖値」を信用してしまうと、自分の健康管理を誤ってしまう。

単に「騙された〜」というだけではすまない、シャレにならない話だ。

 

日本では野放し状態の「血糖測定できるスマートウォッチ」だが、アメリカではFDA(米国食品医薬品局)が警告を出したようだ。

 

スマートウォッチでの「非侵襲的」な血糖値測定に米FDAが警告

 

 

ただ、記事を読む限りでは、ちょっと疑問に思うことがいくつかあった。

FDAは2月21日、消費者、患者、医療従事者および介護者に対して、皮膚穿刺によらない「非侵襲的」方法で血糖値を測定するスマートウォッチやスマートリングを同局が承認していないことを明言した。

アメリカのことはよく分からないけど、日本人がこれを読むと、「FDAがまだ承認していないだけで、すでに技術としては開発され実用化されてるんじゃないの?」と思ってしまいそうだ。「別に承認前でも、ある程度の血糖値が分かるなら、それなりに使えるんじゃないの?」と。

 

いや、「ある程度の血糖値」でさえ、非侵襲的に血糖値を測定する技術はまだ実用化されていない。

スマートウォッチに何らかの数値が表示されたとしても、それは全くのデタラメである可能性が高いだろう。

 

不正確な測定は、不正確なインスリン投与や血糖値を急激に降下させる薬品の摂取につながり、「エラーから数時間以内」に昏睡、精神錯乱、さらには死の危険を高める恐れがあることを付け加えた。

さすがに、インスリン療法をしている患者が、このデバイスを信用して投与量を決めるとは思えない。仮に、興味を持ってスマートウォッチを購入したとしても、これらの患者はSMBGの機器も持っているだろうから、自分で答え合わせができる。それで全く使えないと思えば、危険は回避できるだろう。

 

それよりは、血糖測定をしていない2型糖尿病患者や、「血糖値が気になる」程度の人たちが問題になる。SMBGで答え合わせができないため、スマートウォッチに表示された数値を信じるしかないからだ。

 

今回の警告は、アップルが同社のスマートウォッチ用に非侵襲的な血糖値の測定技術を開発しようとしているという報道の中で発表された。アップルがFDAの承認を得ようとしているかどうかは不明だが、ブルームバーグによると、同技術の初期バージョンは、血糖値レベルの傾向が間違った方向に変化しているかどうかをユーザーに知らせるだけで、正確な測定値を調べるものではないという。

この記事では、具体的なメーカー名としてはAppleしか出していない。

たしかに、AppleはAppleWatchで非侵襲的に血糖値を測定する技術の開発を進めているし、たびたびニュースになっている。

ただ、まだ開発段階であると報道されているし、本当に血糖値が測定できるAppleWatchが開発されたら、公式に大々的に発表されるはずだ。が、まだそんな発表はない。

 

Appleがまだ製品を出していないなら、FDAがわざわざ警告を出す必要はないんじゃないの?と思う。

おそらく、この記事には書いてないが、アメリカでも「血糖測定ができる」というスマートウォッチが出回っているのではないだろうか。

で、消費者は「そう言えば、前にAppleが血糖測定できるAppleWatchを開発中と言ってたな。でも、先に別のメーカーが開発に成功したんだな。しかも、AppleWatchに比べたら格安じゃないか!」と、飛びついているのかもしれない。

 

なんか、この記事を読むと、あたかもAppleが精度の低い製品を出そうとして、それをFDAが止めようとしている構図に見えてしまうなぁ…

少なくとも、Appleは真面目に開発を進めているよ。なかなか求める精度を出せないようだけど。

 

針を突き刺すタイプのリブレセンサーでさえ、まだまだ精度に不満を感じるのに。

非侵襲的に血糖測定ができるなら、しかも、消耗品なしに長期間測定できるなら、そりゃ便利に決まってる。

各メーカーや大学の研究室で、いろいろな技術が開発中であることは間違いない。

そんな中、デタラメな粗悪品を売りつけて、非侵襲的測定についてのイメージを貶めている悪質な業者には、本当に腹が立つよね。

 

こういうのを堂々と売りつける業者をなんとか取り締まってほしいものだけど、業者が海外だと取り締まれないんだろうなぁ…

 

消費者が賢くなるしかないねぇ…