医療費の明細って、見てもよく分からない項目が多い。

先月末から、立て続けに医療系のネット記事になっている話題がある。

それは、「特定疾患療養管理料」から「糖尿病、脂質異常症、高血圧」を除外する、というものだ。

 

2024年1月26日付

特定疾患療養管理料から「糖尿病、脂質異常症、高血圧」除外へ(要登録)

生活習慣病管理料と外来管理加算の併算定禁止も盛り込む

 

 

 

2024年2月1日付

厚労省が個別改定項目を提示
生活習慣病関連の管理料等は厳格化へ(要登録)
地域包括診療料等に新規要件を追加し、かかりつけ医機能を促進する案も

 

 

 

2024年2月6日付

特定疾患療養管理料、3疾患除外だが「受け皿」用意 - 眞鍋馨・厚労省保険局医療課長に聞く(要登録)

算定ハードル上がるも「生活習慣病管理料」への移行期待

 

 

 

2024年2月14日付

新設の「生活習慣病管理料(II)」、「333点」に設定の訳(要登録)

3疾患除外の特定疾患療養管理料からの移行が焦点

 

 

わたしは大きな総合病院に通っているので含まれていないのだけれど、糖尿病治療でクリニックに通っている人の場合、医療費明細には「特定疾患療養管理料 225点」というのが含まれていると思う。

 

特定疾患療養管理料が算定される疾患はたくさんある。

・結核
・悪性新生物
・甲状腺障害、処置後甲状腺機能低下症
糖尿病
・スフィンゴリピド代謝障害及びその他の脂質蓄積障害、ムコ脂質症、リポ蛋白代謝障害及びその他の脂(質)血症、リポジストロフィー、ローノア・ベンソード腺脂肪腫症
高血圧性疾患
・虚血性心疾患、不整脈、心不全
・脳血管疾患、一過性脳虚血発作及び関連症候群
・単純性慢性気管支炎及び粘液膿性慢性気管支炎、詳細不明の慢性気管支炎、その他の慢性閉塞性肺疾患、肺気腫、喘息、喘息発作重積状態、気管支拡張症
・胃潰瘍、十二指腸潰瘍、胃炎及び十二指腸炎
・肝疾患(経過が慢性なものに限る)、慢性ウイルス肝炎、アルコール性慢性膵炎その他の慢性膵炎
・思春期早発症、性染色体異常

 

これらの疾患を「主病」とする患者に対し、医師が計画的な療養上の管理・指導を行った場合に算定することができる。

 

請求できる金額は医療機関の規模によって異なっていて、

 

B000 特定疾患療養管理料(月2回まで)
1 診療所の場合 225点
2 許可病床数が100未満の病院の場合 147点
3 許可病床数が100床以上200床未満の病院の場合 87点

 

と、入院施設のないクリニックが一番高く、病床数が多くなるにつれて点数が低くなっている。病床数が200床以上だと算定できないので、わたしが通っている病院では加算されない。

225点(2250円)の3割負担だと、675円の患者負担となる。

 

この「特定疾患療養管理料」で扱う疾患のうち、「糖尿病、脂質異常症、高血圧」を除くというのだ。

 

…あれ?

上記に列挙した疾患名の中に、単純な「脂質異常症」って含まれていないような…?

「その他の脂(質)血症」の中に含まれてるんだろうか? それとも、脳心臓疾患の要因として含まれている?

 

よく分からないけど、とにかく「糖尿病、脂質異常症、高血圧」という、患者数がものすごく多い三大生活習慣病は、2024年6月から「特定疾患療養管理料」から除外されることになったらしい。

 

その代わりに算定されるのが「生活習慣病管理料」というもの。

 

うわー、すげー嫌な響きだね。だらしないお前の「生活習慣」を「管理」してやるから金を払え!と言われてるみたい。

 

記事を読んでもイマイチ理解できないのだけれど、以前から「生活習慣病管理料」という項目は存在していて、管理の難しい生活習慣病患者には算定できていたようだ。

 

生活習慣病管理料(月1回まで、検査等は包括制)

脂質異常症を主病とする場合 570点

高血圧症を主病とする場合 620点

糖尿病を主病とする場合 720点

 

しかし、これを算定するためには医療機関側の負担が大きいので、それを避けるために「特定疾患療養管理料」で請求している医療機関がほとんどだったようだ。

「特定疾患療養管理料」で算定する場合、これに加えて

「外来管理加算 52点」(月2回まで)

「特定疾患処方管理加算2 66点」(28日以上の処方 月1回まで)

これらも加算できる。

これで合計343点。

検査は出来高制の別請求なので、ここに検査料が加わる。

(28日未満の処方の場合、「特定疾患処方管理加算1 18点」が月2回まで)

 

糖尿病でクリニックに通っているうちの両親の場合、長年、14日分しか薬を処方してもらえなかった。28日分処方して欲しいと希望しても、なぜか医師から「できない」と拒否されていた。先代医師から二代目医師になり、やっと少し要望が通ったものの、28日ではなく21日分の処方。

14日の処方だと、特定疾患処方管理加算1の18点を月2回(計36点)なので加算2の66点よりは低くなるが、その分、「再診料」「特定疾患療養管理料」「外来管理加算」を請求できる。

21日の処方だと月1回の受診月と2回の受診月となるわけだが、毎月1回の受診よりは受診回数がまだ多い。

 

クリニックに通っている患者の場合、多くは少なくとも毎月受診だと思う。

理由は、「定期的な検査と問診により、投薬内容が適切かどうか、治療目標を達成できているかどうかを確認する必要があるため」とされていると思う。

受診間隔が長くなるとその観察ができなくなり、検査結果が悪化してしまう可能性がある、というわけだ。

 

まあ、その言い分は理解はできるよ?

うちの両親を見ててもそうだけど、血液検査が近くなると「ちょっと節制しよう」という意識になるんだよね。

もし、受診間隔が長くなったら、気が緩む期間も長くなって、検査結果が悪化する可能性は高い。

 

だけど、それを言うなら、クリニックに通う患者だけでなく、大きな総合病院に通っている患者にも同じことが言えるはず。

むしろ、大きな病院に通っている患者というのは、一般のクリニックでは手に負えないやっかいな患者が紹介されてきているはずで、より一層きめ細やかな治療が求められるはずだ。本来は。

でも、実際は、大きな病院ほど2、3か月に1回の診察じゃない?

もちろん、患者によるんだろうけども。

 

少なくともわたしの場合、以前の市立病院や、今通っている大きな総合病院では、基本的には9週ごとの診察だ。(今はリブレを使っている関係上、8週ごとになっている)

クリニックでは毎月受診だった(予約制ではないので、薬がなくなりそうになったら自分の都合で受診するスタイル。薬は30日処方だった)。

 

大きな病院では9週ごとで患者の管理ができるのに、状態が落ち着いている患者が集まっているはずのクリニックでは4週ごとでないと患者の管理ができないって、どういうことなんだろうね?

 

以前、泌尿器科クリニックに通っていたころ、症状は落ち着いているし、単に薬をもらいに行くだけの感じになっていたので、「毎月ではなく2、3か月に1回にできないか?」と相談したことがある。

医師が「今は糖尿病はどこに通っているんでしたっけ」と聞くので、「以前は(泌尿器科クリニックのすぐ近くの)内科クリニックだったけど、今は○○(総合病院)です」と答えたら、「ああ、それだったら2か月に1回にしましょうか」となった。

 

「それだったら」ってどういうこと?

内科クリニックに通っていたら、2か月に1回にはしてもらえなかったということ?

 

おそらく、そういうことだと思う。

地域の医師会で、そのような「縛り」があるんだろう。

 

ちなみに、糖尿病治療では「特定疾患療養管理料」は算定されないわたしだが、甲状腺専門病院ではしっかり加算されている。甲状腺を全摘していて、その経過観察(ホルモン剤の調整)が必要なので、「病床100床未満 147点」が入っている。加えて、「外来管理加算 52点」と「特定疾患処方管理加算2 66点」も入っている。

特定疾患処方管理加算2は、6月以降は56点に引き下げられるようなので、その分は負担が少なくなると思われる。

 

 

とにかく、2024年6月から医療費が変わる。

「特定疾患療養管理料」から「糖尿病、脂質異常症、高血圧症」が除外され、「生活習慣病管理料」に変更される。

そして、「外来管理加算」と「特定疾患処方管理加算」が併算できなくなる。

 

このことについて、もう少し中身を見ていこうと思う。

長くなるので、続きは次回に。