テロメアが長くても寿命が延びるどころか「がん」リスクが急増するだけと判明!

 

 

まあ、そうだよね。という感じ。

テロメア長が細胞の寿命を決めているなら、テロメアが長ければ問題解決!なんて単純な話にはならんよね。

そもそも、細胞の増殖とがんは紙一重で、増殖の制御が少しでも狂うとがんになる。

異常を示した細胞のほとんどは、がんとして成長する前に除去されてしまうので事なきを得る。しかし、加齢とともに遺伝子が変異して増殖の制御が狂いやすくなるし、除去システムも正常に稼働しなくなって、がん化しやすくなってしまう。

 

老化というのは単一のシステムのどこかが劣化するのではなく、いろんなシステムのあちこちが劣化する現象だと思うので、その全てを正常化しないと老化に抗うのは難しいと思う。

 

全てが解明されて、完全なアンチエイジングができるようになったとして。

それで幸せになれるのかなぁ?

誰もが将来の不安なくのんびりと、理論上ヒトの寿命とされる120歳まで生きられるなら幸せかもしれないけれどね。ストレス抱えながら働き続けての120歳はちょっと、いや、かなりイヤかも…

 

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健康的な食事のタンパク質比率が判明 高齢期にむけた健康的な食事のタンパク質比率は25〜35%ここ

 

へぇ〜っと思ったけど、マウスちゃんの話だったか。

農林水産省の令和3年度食料需給表(概算)によると、日本における1人・1日あたり供給熱量は2271 kcal、熱量比率の内訳はタンパク質が13.8%、脂質が32.5%、炭水化物が53.7%です。

そうなんだ? 思ったより少し脂質が多く、炭水化物が少ないな。やっぱり「食の欧米化」が進んでいるから?

 

この研究では、

若齢(6月齢)と中齢(16月齢)の雄マウスにタンパク質比率の異なる食餌(カロリー比率5%(P5群), 15%(P15群), 25%(P25群), 35%(P35群), 45%(P45群))を与えて2ヶ月間飼育

各食餌のカロリーを4.2 kcal/gに揃えるため、脂質の比率は日本を想定した25%に固定して、炭水化物の比率を変えました。

ということなので、実際には以下のような比率となった。

P5群(タンパク質5% 炭水化物70% 脂質25%)

P15群(タンパク質15% 炭水化物60% 脂質25%)

P25群(タンパク質25% 炭水化物50% 脂質25%)

P35群(タンパク質35% 炭水化物40% 脂質25%)

P45群(タンパク質45% 炭水化物30% 脂質25%)

このうち、P15群が現在の日本における三大栄養素バランスに最も近かった。

 

その結果。

 

 

若齢および中齢のマウスにタンパク質比率が25%または35%の食餌を与えると、15%(日本の平均)に比べて肝臓の中性脂肪量や血糖値、血液中の脂質濃度が抑制された。

 

食べた餌の量に関しては、次のように説明されている。

P5群の摂食量は他群よりも多かったものの、P45群では少ないこともわかりました。体内のタンパク質量を調節するため、摂取するタンパク質が不足すると摂食量が増える、もしくは摂取タンパク質量が増加すると摂食量が減るという現象は、「Protein leverage(タンパク質のてこ)」として知られています。

「食餌の量は、含まれているタンパク質の量で決まる」つまり、それだけタンパク質は生存にとって必要な栄養素ということを示しているのだろう。

肉魚はガマンせずに食べてよいとするロカボや糖質制限がなぜ満足度が高いのにダイエットに有効なのかというと、食事中のタンパク質量が豊富なために、必要なタンパク質を摂取できると食欲がその時点で抑えられるからだろう。(多くの人は食欲が止まるが、もちろん例外はある)

 

P5群については、完全に栄養失調の状態だ。

エネルギー比で5%のタンパク質ということは、摂取エネルギーが1600 kcalだとすると20 gのタンパク質摂取量か。低栄養状態だと脂肪肝になることが知られている。酷い場合をクワシオルコルと言い、飢餓でやせ細った幼児がお腹だけカエル腹になっている姿を見たことのある人は多いだろう。飢餓だけではなく、炭水化物主体の食事が習慣の地域では、タンパク質が豊富な母乳ではなく離乳食を摂るようになった子どもが発症することもあるようだ。

一方、25%だと100 gのタンパク質摂取量となる。これはかなり多い。糖質制限をしてタンパク質を少し増やしているわたしでも、1日100 g未満だと思う。まして、高齢者が1日に100 gのタンパク質を摂るのは至難の業じゃないだろうか。

 

しかも、この実験では、脂質の割合を25%に固定している。

通常、タンパク質を多く含む食品(肉・魚)は脂質も多く含んでいる。タンパク質摂取量を増やすために肉魚の摂取量を増やすと、自動的に脂質の摂取量も増えてしまう。そうすると、炭水化物の量を減らさないと、摂取エネルギーがオーバーしてしまう。

脂質を抑えたままタンパク質だけを増やそうとすると、プロテインを利用するしかなさそうだ。肉は皮なし鶏むね肉やささみ限定、魚は脂の少ない白身魚か。あるいは、高野豆腐?大豆ミート?

ちょっと、現実的ではなさそう。

 

P45群の食事は炭水化物30%なので、糖質制限食と言えるだろう。

しかし、高脂肪食ではないため、ケトン体産生はあまり期待できないと思われる。

肉魚食べ放題とされる糖質制限食でも、エネルギー比率は脂質>タンパク質だろう。

したがって、P45群の結果は糖質制限食の結果を表しているわけではないと考えられる。

 

この実験では2ヶ月間しか飼育していないので、P25群やP35群が長生きするのかどうかは分からない。中性脂肪やコレステロール、血糖値が低くなっていたからといって、それが健康長寿につながらなければ意味がない。(論文中にはデータがあるのかもしれないが、リンク先の記事を読む限りは不明)

 

ただ、少なくとも高齢になってからは、意識してタンパク質を摂取した方がいいのかも。高齢になると炭水化物に偏りがちになる傾向があるので。←うちの父親が典型的

 

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空腹感自体がハエの加齢を遅らせる可能性がある

 

 

これ、理解するのが難しい〜

 

これまで動物での研究から、カロリー制限をすると長寿になることが示されていた。

あるいは、空腹の時間を長く設ける断食の有効性が報告されていたり。

16時間断食にしろ、週に1回の断食(いわゆる「月曜断食」)にしろ、断食をすればトータルで摂取カロリー量が抑えられるので、空腹時間が長いことがいいのか、カロリー制限がいいのかはよく分からない。

とにかく言えることは、過剰なカロリー摂取は長寿にとってはマイナスになる、ということだろう。

カロリー摂取を控えれば、当然ながらお腹が空く。

この「お腹空いたー!なんか食べたいー!」という本能に抗えるかどうかで、食事療法が成功するかが決まってくるのだろう。

 

しかし。

リンク先の冒頭の記述にはビックリだ。

先行研究では、食べ物を摂取しなくても、食べ物の味や匂いでさえ、食事制限による有益な延命効果が逆転する可能性があることが実証されている。

そんなことが実証されてるんだー?

断食の健康効果を期待して、目の前に食べ物があってもグッとガマンしているのに、匂いだけで効果が消えちゃうって?

あらら〜

 

リンク先で紹介されている研究は、ショウジョウバエの空腹感を調べている。

まず、低BCAA食、または高BCAA食を与え、その後に糖を含んだエサと酵母を含んだエサを自由に食べさせた。(BCAAとは分岐鎖アミノ酸のこと。バリン、ロイシン、イソロイシンの3つの必須アミノ酸を指す)

その結果、低BCAA食群では、酵母を含んだエサを好んで食べた。これは、不足していたBCAAを補おうと栄養豊富な酵母が含まれたエサを選択したからだと考えられ、必要に基づく空腹の指標の 1 つとなる。

 

ここはわたしの想像だが、おそらく、BCAAが不足していない状況では、ショウジョウバエは糖を含むエサの方を好むのだと思う。つまり、より嗜好性が高いのが糖を含むエサであり、たとえ空腹でなくとも目の前に糖を含むエサがあれば、快楽のために食べてしまうのではないか。

一方、BCAAが不足していると、目の前に糖を含む美味しいエサがあったとしても、糖よりは美味しくない酵母入りエサの方を選んで食べる。この行動こそ、真に体が栄養を求めている(=空腹)ことを示しているということなのだろう。

 

次に、ショウジョウバエを低BCAA食と高BCAA食で飼育し続けた。

その結果、低BCAA食群は高BCAA食群より多くエサを食べ、カロリー摂取量が多かった。

つまり、食餌量としては低BCAA食群の方が多かった。

しかしながら、低BCAA食群の方が著しく長生きした。

 

さらに、ショウジョウバエの空腹を司る神経を刺激し、強制的に空腹を生じさせた。

すると、当然ながらこのハエは食餌量が増え、通常の2倍の餌を食べた。

通常ならメタボになるコースだ(ハエにメタボがあるのか知らんけど)。

しかし、空腹ニューロンを刺激された群は、刺激されなかった対照群と比較して著しく長生きした。

 

…うーむ。奥が深い。

 

低BCAA食での実験結果だけなら、「BCAAが少ない」ことが重要で、低BCAA食なら目一杯食べても長寿効果があるということか?と思うのだが。

空腹ニューロンを刺激した実験では、通常のエサをガツガツ食べたハエでも長生きしているのだ。

 

ええ…? どういうこと…???

 

論文のアブストラクトを見るとヒストンアセチル化酵素が絡んでいるようなので、神経系での遺伝子発現の変化が起きているのだろうが、よく分からん。

 

物理的に「腹八分目か、満腹か?」が重要なのではなく、「満腹感が満たされたか、満たされてないか?」が重要だということなのだろうか?

「あー、お腹いっぱい!」と幸せな気持ちになったらアウトで、いくら食べても食べてもまだ満たされないならオッケーってこと?

 

幸福を感じると短命で、常に飢餓感を覚えていると長命なのだとしたら。

 

わたしなら、幸福を感じながら短命の方がいいかなw

 

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「世界最高齢」の野生ライオン、マサイ戦士にやりで突かれて死ぬ ケニア

 

 

7、8年前だろうか、知り合いの某国立大教授(当時)と久しぶりに会ってランチをしたときの会話を思い出した。うろ覚えで記憶が曖昧だが、次のような会話をしたように思う。

 

会話の流れから、わたしは「自然を保護しよう、地球に優しく」というフレーズは好きではない、という話をした。地球環境を保護することは必要だと思うが、それはヒトがよりよく生きていく上で必要だから。現在の地球環境に最適なように文明が発展していて、温暖化や寒冷化に脆弱だ。また、ヒト以外の生物の多様性を保つことが、回り回ってヒトにとって有益となる。ヒトのためであるという目的を見ないフリをして、地球を守ろうとか地球に優しくとか、そういう耳障りのいいキャッチコピーがひとり歩きすることを危惧している。あたかもヒトを「地球のがん」のように扱っていると、究極的には「ヒトは地球のために絶滅しなければならない」という結論に至ってしまう。それは間違っていると思う。

 

これを受けて彼が語ってくれたのは、自分が所属する大学での話だった。

この大学の生物系はもともとフィールドワークが盛んで、今でもその分野に進む大学院生が多い。(研究室内での実験ですむ分野ではなく、野外に出て生物の生態調査などをおこなう分野のこと。この教授自身の研究分野は研究室内ですむ方)

しかし、このような道に進んでもなかなか就職先がない。

そこで、学生の就職先を作ろうと大学は考えた。

 

現在、各国に動物園が存在しているが、本来はその動物の生息地域で保護することが望ましい。将来的には動物園に動物を見に行くのではなく、動物を見たいなら動物の生活環境に人間の方が出向くようになっていくだろう(いくべきだ)。そのような場所を大学と現地が協力して作り上げていこう。そして、卒業生を研究員として送り込めば、就職先として確保できる。

 

ということで、アフリカで、現地の人たちと話を進めてきた。

しかし、これがなかなか難しい。

こちらが「ライオンは貴重な生き物なので保護しよう」と提案しても、向こうは「あいつらは自分たちの家畜を襲うし、人間も襲うことがある。襲われたらやり返す必要がある」と反発する。

「生活の方が大事だ」と言われると、反論するのが難しい。

 

…というような話だったと思う。

 

このニュース記事では、単に、世界最高齢のライオンがマサイの戦士にやりで突かれて死んだこと、このライオンが家畜の囲いに迷い込んでいたこと、年を取ったライオンは襲いやすい家畜を獲物にすること、これらの事実を伝えているだけで、ライオンが殺されたことについての是非については述べていない。

それでいいと思う。

このニュースについて各自がどう考えるか、それが大事なんじゃないかな。

 

このテの話は以前にも書いたことがある。

 

 

リンク先の最後の方にちょろっと書いた。

 

で、自分で書いた過去記事を改めて読んで、その内容のシンクロさに笑ってしまった。

だって、

「低炭水化物食で2型糖尿病患者の血糖調節力が向上」

というネット記事を紹介してるんだもん。「低炭水化物、高タンパク質、中程度脂質食は肝臓脂肪量を低下させた」のだとか。

これって、今日の記事で紹介した、マウスの高タンパク質食の結果と似てない?

すでにヒトで研究があったんだ。忘れてたw

 

元論文を見てみたら、この研究で使われた「低炭水化物、高タンパク質、中程度脂質食」は、エネルギー比でPFC = 30 : 40 : 30だったようだ。高タンパク質中脂肪と言いつつ、やっぱりタンパク質より脂質の方がエネルギー比として多い。そりゃそうだよなー

 

この高タンパク質食を6週間摂取すると、通常の高炭水化物の糖尿病食6週間と比較して、食後血糖値、HbA1c、肝脂肪、膵臓脂肪などが有意に低下した。24時間の血圧、筋肉、内臓脂肪、皮下脂肪は食事間で差がなかった。

 

これは平均BMI 30のデンマーク人での研究なので、日本人2型糖尿病患者ではどうなるのかは分からないし、6週間以上の長期ではどうなるのか分からない。

 

それにしても、自分が書いた過去記事の内容をすっかり忘れてるなんて…orz

何年もブログを続けてたら仕方がないかw <開き直り