糖尿病ブログらしく、血糖値実験室シリーズの記事を。

 

以前、たんぱく質で血糖値は上がるのか?ということで、

SAVASプロテインを飲んで調べてみた(そのときの記事はコチラ)。

あのときは、たんぱく質量として20g分を摂取した。

 

先日、江部医師のブログでたんぱく質による血糖値の変化について、

ブログ記事になっていた。

蛋白質・脂質・糖質と血糖値上昇に関しての論考。

 

この記事によると、鶏ささみ200g、たんぱく質46.0gの摂取によって

グルカゴンの分泌が誘導され、

その結果、特に1型糖尿病の人では血糖値がかなり上がるということだった。

ブログに記載されていたデータを転載する。

 

2型糖尿病のAさん。60代男性。

          血糖値    インスリン     グルカゴン

0分後        139      8.0          151

30分後       140    7.7           190

60分後       151    23.3         257

2時間後       147    26.2          195

3時間後       137    7.5           144

4時間後       127    5.7           100

 

1型糖尿病のBさん。インスリン強化療法中。10代男性。

          血糖値     CPR         グルカゴン

0分後        115   0.6(1.5~3.5ng/ml)  128

30分後       160    1.0         229

60分後       176    1.3         186

2時間後       193    1.3         154

3時間後       167    1.2         173

4時間後       159    0.9         122

 

2型糖尿病の人の場合は、

グルカゴンが分泌されるがインスリンも同時に分泌されるため、

結果として血糖値の上昇は12mg/dlに抑えられている。

それに対して、1型糖尿病の人の場合は

インスリン(CPR)分泌が少し残っているものの弱く、

グルカゴンにより78mg/dlも血糖値が上昇している。

 

やっぱり、わたしも肉を食べて血糖値を調べてみよう。

プロテインは液体だし、3.6gとは言え炭水化物が含まれていたし。

もしかしたら、スクラロースやアセスルファムKといった甘味料の影響も

あるかもしれないしね。

 

 

ということで、鶏肉を食べて実験してみた。

ささみではなく、皮なしのむね肉を200g、蒸し焼きにして食べた。

味なしでは食べるのが辛いので、軽く塩コショウをした。

 

実験はいつもの通り、朝におこなった。

前日の夜からおよそ12時間の絶食状態にある。

摂取後、30分ごとに180分までの血糖値(mg/dl)を測定した。

摂取後はメトホルミンは服用していない。

持効型インスリンは6単位使用している。

 

鶏むね肉200gあたり

エネルギー 232kcal

たんぱく質 46.6g

脂質 3.8g

糖質 0.2g

 

摂取前 84

30分 95

60分 105

90分 122

120分 140

150分 138

180分 127

 

結果をグラフにしてみた。

 

 

最初はダラダラと上がり始め、

1時間後からグッと上昇し、2時間後にピークを迎えた。

46.6gのたんぱく質で56mg/dlの血糖値上昇。

うわー、結構上がったな。

 

江部医師のブログにあったデータと合わせてみる。

ついでに、プロテイン摂取のときのデータも。

分かりやすいように、血糖上昇値でのグラフとした。

 

 

青のグラフが、今回のわたしのデータ。

黄色のグラフは、SAVASプロテイン摂取時のデータ。

オレンジのグラフは、江部医師のブログの2型糖尿病の人。

緑のグラフは、江部医師のブログの1型糖尿病の人。

 

プロテイン摂取のときは、30分後に鋭いピークを描いた。

わたしはこれをグルカゴンによる血糖値上昇だと解釈した。

液体での摂取なので素早くグルカゴンが分泌され、

肝グリコーゲン分解により肝臓からのグルコース放出が

早い時間に起きるだろうと予想したので、

15分ごとに血糖値を測定した。

すると、予想通り素早いピークを描いたのだが。

 

鶏むね肉の場合は全く違う血糖値の変化となった。

これはどう解釈すればいいのだろう?

 

人体の代謝の経時変化ってよく分からないんだけど、

糖新生は素早く起きる反応ではなく、

比較的ゆっくりダラダラと血糖値を上昇させるイメージがある。

だから、わたしの鶏むね肉チャレンジで得られたデータというのは、

グルカゴンによる糖新生の結果として腑に落ちる。

30分後くらいに見られる素早い血糖値上昇は、

糖新生というよりは肝グリコーゲンからの糖放出。

という解釈は間違ってるかな?

 

プロテインの時はたんぱく質量としては20gの摂取だったので、

鶏むね肉に比べると半分以下しかない。

消化吸収も早いので、グルカゴンがパッと多めに出て、

そのために肝糖放出が起き、

その後はグルカゴンは低下したんじゃないだろうか。

一方、鶏むね肉は消化に少し時間がかかり、

グルカゴンはじわじわと分泌量が多くなったために、

肝糖放出は血糖値として強くは反映しなかった。

しかし、消化吸収が進むにつれてどんどんアミノ酸が体内に入り続けるので、

グルカゴンが分泌し続けた結果、糖新生が起きた。

健常者なら糖新生によって血糖値が上昇を始めると、

すぐにインスリンが分泌されて血糖値の上昇を抑えてくれる。

しかし、わたしの場合はインスリン分泌があまり誘導されないために

血糖値が上がってしまった…ということだろうか。

 

ま、血糖値の変化だけでは何とも言えないけどね。

わたしもグルカゴンとCペプチド値を測定してほしいなー

その値があれば、

たとえばプロテインでピコッと上がった血糖値はグルカゴンのせいじゃなくて、

実はデキストリンによるものだった、とか分かるんだけど。

 

江部医師の2型糖尿病の人のデータと比べると、

明らかにわたしの方が血糖値が上昇した。

1型と2型の中間、1.5型と言うような感じ。

1型の人は30分後から急激に血糖値が上昇している。

これを見ると、1型の人が血糖コントロールをするのは

本当に難しいんだろうなとその苦労が分かる。

このデータの人はまだ少しインスリン分泌が残っているにもかかわらず、

たんぱく質でこれだけ血糖値が上がるのだから、

完全にインスリンが枯渇してしまったら

もっと血糖値の上昇は激しくなるんだろう。

 

1型糖尿病の人は、空腹時のCペプチドが0.6 ng/ml。

わたしは去年の3月に空腹時に測定したとき、0.68 ng/mlだった。

糖質量が20〜30gの食事をしたあとは2.61〜3.05 ng/mlだったので、

それなりにインスリンは出ているらしい。

この結果を踏まえると、

鶏むね肉チャレンジで1.5型っぽい血糖値を示したのは妥当なのかな?

 

しかしまあ、たんぱく質でこれだけ2時間後の血糖値が上がるなら、

糖質量だけで血糖値をコントロールするのはムリだわ。

もちろん、普段の食事では、

おそらくこんなにたくさんのたんぱく質は摂取していない。

多くても30gくらいだと思う。

そこに、30gくらいの糖質と、あとは脂質が入ってくるわけだ。

そして、その日その時のいろんなホルモンたちの状態が絡み合うんだから、

フクザツな結果になって当然よねー

 

ま、適当に、適当にw