糖尿病だと、タンパク質摂取でもそれなりに血糖値が上がる。
そのことをブログで報告する人を、特にここ最近チラホラ見かける。
健常人ならば即座にインスリンが分泌されてグルカゴンの作用を打ち消し、
見かけの血糖値はほぼ変化しない。
しかし、インスリン分泌が遅れてしまう糖尿病患者では、
グルカゴンの作用を抑えることができずに血糖値が上がってしまう、と。
でもね、わたしはGLP-1受動体作動薬を使っているわけで。
この薬剤による血糖降下作用は、
半分以上はグルカゴン分泌を抑制することによると言われている。
だから、わたしはタンパク質摂取でそんなに血糖値が上がることはないはず。
ないはず、絶対。
ないはず、きっと。
ないはず、多分…
本当にGLP-1RAがグルカゴンを抑制してくれているのか、
ちょっと確かめておいた方がいいな、うん。
というわけで、タンパク質で血糖値が上がるかどうか調べてみることにした。
しかし、付け合わせなしに肉だけをモグモグ食べるのはちょっとしんどい。
ちょうど都合のいいことに、
今のわたしにはプロテインという便利なものがある。
プロテインならゴクゴク飲めそうだ。
タンパク質の摂取量はどれくらいに設定しよう?
あんまり少ないと血糖値の変動が分かりにくいかも。
普段の食事で、1回に摂取するタンパク質の量ってどれくらいかな。
メニューによってかなり違うだろうけど、多分、20〜30gくらいだと思う。
一方、わたしがたまに飲んでいるSAVASホエイプロテイン100ココア味は、
1回21gあたりタンパク質は15g含まれているようだ。
いつもはこれを低脂肪乳200mlくらいに溶かして飲むのだが、
これをタンパク質20g分、水に溶かして摂取してみよう。
原材料名; 乳清タンパク、ココアパウダー、デキストリン、植物油脂、食塩、乳化剤、VC、香料、増粘剤(プルラン)、甘味料(スクラロース、アセスルファムK)、ナイアシン、VB2、VB1、VB6、パントテン酸Ca、葉酸、VB12
28gあたり
エネルギー 110.7kcal
タンパク質 20.0g
脂質 1.7g
炭水化物 3.6g
どうでもいいけど、SAVASって甘すぎる。
甘味料を使いすぎなんじゃない?
ほかのメーカーのものもこんなに甘いのかしら?
実験はいつもの通り、朝におこなった。
前日の夜からおよそ12時間の絶食状態にある。
摂取後、15分ごとに120分までの血糖値(mg/dl)を測定した。
摂取後はメトホルミンは服用していない。
摂取前 118
15分 126
30分 159
45分 145
60分 139
75分 137
90分 138
105分 134
120分 132
結果をグラフにしてみた。
上がってる、上がってるよ! 敵襲だー!
ほぼ純粋なタンパク質で、こんなに上がるんだな。
20gのタンパク質で、約40ml/dlの上昇。
これがグルカゴン反乱軍の力なのか。
GLP-1受動体作動薬を持ってしても、この有様。
むむぅ、侮れぬ。
ま、1回しか測定してないから確定ではないけども。
ピークが30分後とかなり早い。
これは液体だからか?
そして、そのあとすんなり下がるのかと思ったら、
なかなか下がらなかった。
これは何を現してるんだろう?
タンパク質の刺激でグルカゴンが一瞬パッと出て、
そのあとは少し落ち着くということなのかな。
ベースラインまで下がるのは何分後なんだろう?
この様子だと180分以上かかりそうだ。
タンパク質自体が血糖値を上げるわけではないから、
やっぱりこれはグルカゴンによる肝臓からの糖放出なんだろう。
ここに脂質が加わったらどうなるのかな。
タンパク質単体よりも多くGIPが分泌されそう。
だとしたら、糖尿病のわたしの場合、
GIPによるインスリン分泌誘導は減弱しているので、
結果的にグルカゴン分泌がさらに強く誘導されるんだろうか?
この結果を受けて、以前の実験結果の解釈が変わってきそうだ。
例の、恐怖の玉子かけごはん。
巷では、タンパク質や脂質と一緒に糖質を摂ると、
血糖値の上昇が穏やかになると言われている。
ラーメン好きの亀川医師は、ラーメンを食べるときはチャーシューましましで、
スープは塩や醤油より豚骨!と主張している。
だから、タンパク質も脂質も含まれている玉子をかけてもち麦を食べれば、
血糖値の上昇は抑えられると思っていたのに。
結果は、真逆もいいところとなってしまった。
あの玉子かけごはんの結果は、
玉子によってグルカゴンが強く分泌誘導され、
消化吸収された糖質と一緒になり血糖値を押し上げたのだと考えると、
あのような目が飛び出るほどの高血糖になったのも不思議じゃない、かも。
しっかし、ホエイプロテインはGLP-1分泌を効率よく誘導するとされるのに、
わたしの体は血糖値スパイクを起こすとはなぁ。
うーん、ということは、食前のヨーグルトは逆効果なのか?
GLP-1の分泌を促進しているつもりが、
グルカゴンを分泌してしまっている…?
ヨーグルト100g程度であればタンパク質はたった3.4gだから、
グルカゴンはそれほど分泌されないだろうか。
というか、たったこれっぽっちの摂取では、
そもそもGLP-1もそれほど分泌されないような気もする。
テレビの健康情報バラエティーでは、
食前に100gほどのヨーグルトを食べるだけで
食後の血糖値の上昇が抑えられてたけどね。
所詮、健常人の結果ということなんだな(しかもn=1)。
タンパク質でこれだけ血糖値が上がるとなると、
食後の血糖コントロールは本当に難しいな。
やっぱ、単純に糖質量だけではコントロールはできないということだ。
このグルカゴン反乱軍をどうにかしないといけないわけだが、
GLP-1受動体作動薬という援軍をもってしても抑えきれないなんて、
援軍がいなかったら一体どこまで反乱軍は暴れるんだろう?
長年の麦飯習慣でも太刀打ちできなかったし、どうしたもんか。
今回、初めて自分の体の中の反乱軍を目の当たりにして、
かなり興味深かった。
今さらながらやっかいな病態であることを確認してしまったわけだが、
本当にグルカゴンの反乱ってあるんだな〜とフフっと笑ってしまった。
わたしの場合、純粋な脂質摂取でも
GIPによってグルカゴンが出て血糖値が上がったりして。
だけど、その実験のためにバターのみを食べるとかは
気持ち悪くてちょっとヤだなあ。
どんなデータが得られるのか、興味はあるけどね〜