厳しい糖質制限ならもちろんのこと、

緩い糖質制限をしていても、

その分のカロリーを補うためには脂質の摂取量を増やさないといけない。

しかし、糖尿病関連の情報を見るたびに、

「高脂肪食は糖尿病のリスク」というタイトルが目に飛び込んでくる。

内容を読んでみると、高脂肪食は高カロリーだから肥満になるという、

そのテの話ばかりであって、

適正カロリー内の摂取であっても体に悪影響があるのかどうかという疑問を

解決することができずにいる。

 

そんな中、高脂肪食が肝臓の脂肪を増やすという論文を

紹介したブログがあった。

なになに?

どうやら、高脂肪、ブドウ糖、果糖それぞれ単独摂取や

高脂肪+ブドウ糖、高脂肪+果糖の組み合わせで摂取したら、

高脂肪単独、高脂肪+果糖の組み合わせだと肝臓の脂肪が増大した、

という論文らしい。

そのブログでは、だから高脂肪食はダメなんだと嗤っている。

 

うーん、やっぱり高脂肪食は肝臓の脂肪を増やすのか…

でも、なんかおかしい?

この論文で試したらしいのは、以下の組み合わせ。

 

1.絶食

2.高脂肪食(150g)

3.ブドウ糖のみ(0、2、4時間で50gの3回投与)

4.ブドウ糖+高脂肪食

5.果糖のみ(0、2、4時間で50gの3回投与)

6.果糖+高脂肪食

 

この6通りで比較している。

ブドウ糖と果糖は50gを3回に分けて投与しているので、計150g。

脂肪も150gなので、投与したグラム数は同じである。

しかし、そうすると摂取エネルギー量が違ってくる。

脂肪の方が2倍以上の高エネルギー量となっている。

しかも、脂肪は1回で150gの投与。

投与条件が違いすぎないか?

 

疑問に思ったので、この論文を自分で読んでみることにした。

 

Different acute effects of fructose and glucose administration on hepatic fat content

The American Journal of Clinical Nutrition, Volume 109, Issue 6, June 2019, Pages 1519–1526

 

まずは、細かい説明抜きにして、それぞれの摂取パターンにおける結果を示す。

 

 

分かりづらいかもしれないが、

左側のグラフは、絶食、グルコース、フルクトース投与の結果、

右側のグラフは、脂肪、脂肪+グルコース、脂肪+フルクトースの結果である。

上から、血中の中性脂肪、遊離脂肪酸、グルコース、インスリンである。

 

これの曲線下面積をまとめたものが、次のグラフである。

 

 

脂肪単独投与では血中の中性脂肪(TG)、遊離脂肪酸(NEFA)が増えた。

興味深いことに、絶食でも血中のNEFAが

脂肪単独投与と同じくらい増加した。

脂肪+グルコースと脂肪+フルクトースでは、

どちらも血中のTGは増えたが、

NEFAは脂肪単独投与に比べて低下していた。

血中グルコースとインスリンは、

当然ながらグルコース投与で上昇し、

フルクトース投与ではほとんど上昇しなかった。

 

肝脂肪量(HFC)の変化を見ると、

脂肪単独投与と脂肪+フルクトース投与で増加していた。

絶食、脂肪+グルコース、フルクトース単独投与では変化がなかった。

グルコース単独投与では減少していた。

このように、肝脂肪量に対するグルコースとフルクトースの効果は異なっていた。

 

長くなるので、

得られたデータからの考察は、後編に続く。