退院して嬉しいのは、やっぱり自分のベッドで眠れることだ。

カーテンで仕切られただけの4人相部屋は、

それなりにストレスが多かった。

トイレだって気を遣う。

排尿障害のせいでトイレに行く回数自体は少なかったが、

大の方は自分で出す必要がある。

が、それがなかなか難しく、

入院中は便秘薬を出してもらっていたのだった。

 

気楽に過ごせるようになった反面、

いきなり直面するのが食事の問題である。

病院では、何も考えず出されたものを食べていればよかった。

これからは自己管理をする必要がある。

ああ、面倒くさい。

それに、間食の誘惑もある。

もちろん、愛するビールの誘惑も。

果たして、わたしはこれらの誘惑に勝つことができるんだろうか…?

 

とにかく、今までのわたしの食生活の問題は

毎晩のビール、ロング缶3本の消費にあったことは間違いない。

もともと、ケーキなどのスイーツ類はほとんど食しなかった。

いや、決して嫌いなわけではない。むしろ好きだ。

ただ、酒も甘い物も両方摂ることには

さすがに抵抗があったので、

ビールかケーキか自分に問いかけ、ビールを選んでいたのだった。

 

管理栄養士からは、血糖コントロールが上手くいっていれば、

350 ml缶を1本程度なら飲んでもかまわない、と言われていた。

だが、このわたしがそんな程度で抑えられるわけがない。

呼び水となってしまいそうだ。

ということで、ノンアルコールで誤魔化すことにした。

いつまで続くことやら、である。

 

ごはんの量は、自分で用意するときは

今までは1合を3等分して食べていた。

つまり、一食分は約107グラムである。

これを140グラム食べるとすると

むしろ以前より増えることになる。

なんだかヘンな気もするが、まあ、いいや。

あんまり考え込んでも疲れるだけだし。

疲れたら続かないし。

気楽に、気楽に。

 

ビールの誘惑を断ち切ることができるのか不安だったが、

なんとか最初の診察日までの16日間、

ノンアルで乗りきることができた。

ビールならロング缶3本、つまり1.5リットルもの液体が

するっと体内に入っていたわけだが、

やはり酔わないとそんな量は飲めない。

ノンアルだとせいぜい350 mlを2本、

場合によっては1本で飲む気がしなくなった。

 

そんなこんなで16日を過ごした結果、

自己測定をした血糖値 (mg/dl)は以下の通り。

超速効型インスリン10単位、持効型インスリン8単位、

DPP-4阻害薬を使用している。

 

朝食前 101 - 200 平均値 130.3 中央値 123.0

昼食前 98 - 255 平均値 165.3 中央値 155.0

夕食前 120 - 293 平均値 188.4 中央値 167.5

就寝前 103 - 222 平均値 137.1 中央値 128.5

 

正常な人に比べれば、とんでもなく高い値なのは分かっている。

しかし、スタート時からしてみたら

かなり下がっているのは確かである。

さて、HbA1cはどうなっただろうか?

 

検査の結果。

 

HbA1cは11.7 %だった。

 

約15 %からのスタート、治療27日目の結果である。

よく頑張った、と医師から褒められた。

無理して頑張ったつもりはなかったし、

努力よりはインスリンのおかげだろうが、

そう言われれば悪い気はしない。

毎食前の血糖値測定とインスリン注射は面倒くさいけど

(特に昼食前)、

ま、これくらいの努力でいいのなら続けられそうだな。

気楽にそう思った。