最後の言葉は日本語で「アリガトウ!じゃあね」。いつもは更に「マタネ」と続くところですが、今日はなかった。それがちょっと寂しかったですけど、ライヴはウェットな部分いっさいなし!明るく、元気で、楽しいシンディを見せつけてくれました。ちょこっとレポート書いてみましたので(ネタバレ注意ということで)

 

シンディ・ローパー・フェアウェルJAPANツアー初日、ASUEアリーナ大阪公演レポート

 

シンディ・ローパーの6年振り、通算15度目にして最後となる単独ジャパン・ツアーが4月19日(土)、大阪よりスタート。最初から最後まで全身全霊を込めたノンストップの全力投球パフォーマンスはもちろん、ステージ背景の巨大スクリーンの美しさ、照明や演出の超ゴージャスさといい、たぶんシンディ史上最高のライヴといっても過言ではないのではないかと。セットリストもデビューアルバム『She's So Unusual』(1983年)から最新作の『Detour』(2016年)までの各年代の名曲の数々をバランスよく披露。グレイテスト・ヒッツ的であるとともに、これまでの彼女の姿勢や活動にとって重要な楽曲が選曲されていた。

 

 

全体を通して最も強く感じたことは、フェアウェル・ツアーということで、本人も少ししんみりとウェットな気持ちになるかなと思いきや、そんなことは微塵も感じさせない力強くポジティヴさに満ち溢れた、あくまでも前を向く現在進行形の彼女の姿。オープニングで彼女が語ったこの言葉がこの日のライヴを象徴していたと思う。

 

「今日は音楽とアート、それをみんなで一緒に創り上げましょう。皆さんにさよならを言うために来たんだけど、せっかくさよならするなら思いっきり、みんなに元気にさよならしたいと思うわ」

 

 

(以下ネタバレありますので、ご注意を)

 

会場はASUEアリーナ大阪、上の上まで超満員。18時10分過ぎにショーはスタート。客電が落ちると、ステージ背景に設置された超高画質大スクリーンにシンディのこれまでの活動を振り返る映像が流れだす(これがまずは素晴らしい)。美しい7色の紙吹雪が放たれ、ステージにシンディが登場し、一曲目は「She Bop」でスタート。頭から最高潮。

 

 

曲が終わると日本語で「コンバンワ・オーサカ!」。そして、「1986年初来日公演の時、True Colorsで一緒に歌ってくれたことを忘れられなくて、私はここまで頑張って来た。でも、そういうことがあったから、2011年の大震災の時も帰らずにここに残って歌いたかった」と語ると場内は大歓声。そして、日本語で「みんなで踊って歌ってパーティしよう!」。

 

みんなときちんとつながりたい、コミュニケートしたいということで、通訳を介して語る言葉の一つ一つが素晴らしかった。彼女がこれまでに言い続けてきた数々のメッセージが、今回きちんと会場中の観客に伝わったはず。

 

 

「みんなスマホをだして、ライトをつけて」とシンディが観客に伝えると会場中が美しい光で包まれる。「人間はこういう一つ一つの光、光のコミュニティなんだよ。忘れないで、回りが暗いと思っても、自分が光を灯すことができるってことを」という心に響く言葉とともに「Time After Time」が始まり、大合唱が沸き起こる。美しい光の渦とともに会場が一つになっていく瞬間はあまりにも感動的だった。

 

 

「I’m Gonna Be Strong」と「Shine」といった曲では圧巻のヴォーカルを聴かせてくれる。声を振り絞って歌い上げる様には誰もがシビれるはず。アップテンポのロックテイストの曲ではステージ所狭しと動き回り、その変らぬパワフルなヴォーカルと全力投球のパフォーマンスは、バックと務めるバンドとの絡みや(バンドが素晴らしい!)、スクリーン映像の演出と相まってお見事としかいいようながい。

 

今回のライヴでの最大の驚きは、アンコールに訪れる。武道館公演もあるので、現段階では差し控えるが、今までのシンディのライヴではなかった演出が!「True Colors」ではシンディが持つ虹色の布が風になびいて天に舞い上がり、初来日公演と同じように大合唱も。

 

 

ラストは「この女性に私は刺激を受けています。今96歳になって、“私は小さな思いを込めて宇宙に解き放つ。そこにあるのは愛・・・”という素敵な言葉を語ってくれる彼女とコラボすることができたんです!」と語ると、スクリーンには草間彌生さんの姿が。ステージの全員が草間彌生さんデザインの衣装を纏い、スクリーン含めて赤と白の水玉模様で埋め尽くされた「Girls Just Want to Have Fun」を披露。

 

歌い終えると、最後の一言は日本語で明るく元気に

「アリガトウ!じゃあね」

 

最後まで“自分らしさ”を貫き通した、シンディのアートの集大成的な圧巻のパフォーマンスを魅せつけてくれた大阪初日だった。残るは武道館公演3回。

 

(ネタバレ注意ですがセットリストは下記にありますので)

 

 

Photo by Yuki Kuroyanagi

 

2025年4月19日(土)
ASUEアリーナ大阪セットリスト

1.She Bop(『She's So Unusual』1983年)
2.The Goonies 'R' Good Enough(『The Goonies OST』1985年)
3.When You Were Mine(『She's So Unusual』1983年)
4.I Drove All Night(『A Night to Remember』1989年)
5.Who Let in the Rain(『Hat Full of Stars』1993年)
6.Iko Iko(『True Colors』1986年)
7.Funnel of Love(『Detour』2016年)
8.Sally's Pigeons(『Hat Full of Stars』1993年)
9.I'm Gonna Be Strong(『Twelve Deadly Cyns...and Then Some』1994年)
10.Sisters of Avalon(『Sisters of Avalon』1996年)
11.Change of Heart(『True Colors』1986年)
12.Time After Time(『She's So Unusual』1983年)
13.Money Changes Everything(『She's So Unusual』1983年)
Encore:
14.Shine(『Shine』(2004年)
15.True Colors(『True Colors』1986年)
16.Girls Just Want to Have Fun(『She's So Unusual』1983年)