1月8日デヴィッド・ボウイの誕生日に、東京渋谷のセルリアンタワーで「David Bowie Memorial Night」と題したレコードコンサートが開催されました。プロデューサー立川直樹さんが企画をしているレコードコンサート自体は今回で3回目となるのですが、今回は写真家の鋤田正義さんをゲストに迎え、お二人のトークを交えながらボウイの名盤をTechnicsの極上オーディオ・セットで聴くという、音楽ファンにとっては堪らない時間でした。タワー39階にあるラウンジというロケーションも絶妙で、星に帰ってしまったスターマンにちょっとだけ近づいて、彼の誕生日をファンの皆さんとお祝いしました。

 


『ジギー・スターダスト』『スペース・オディティ』『アラジン・セイン』『ステーション・トゥ・ステーション』そしてもちろん鋤田さんが撮影したボウイのポートレイトがジャケットに使われている『ヒーローズ』などなど、ボウイの名盤から立川さんが選曲し、エピソードを交えながらの立川さんの解説を聞くという贅沢さ。『ジギー・スターダスト』は今から約50年近く前のオリジナル盤を聴いたのですが、スピーカーから流れてくるサウンドはとてもフレッシュで美しくクリア。古いレコードであってもその中に込められた音は今もなお息づいていて、素晴らしいオーディオ装置を使えばその音は時代を超えてとてもリアルに甦ってくれるのだということを体験することができました。

 


またレコードに合わせて、鋤田さんの撮影したそれぞれの時代のボウイの写真もふんだんにプロジェクターで投影され、ため息が出るようないくつもの美しいボウイの姿を堪能。『ヒーローズ』のジャケットの写真は、原宿の小さなスタジオで撮影されたそうで、用意された衣装は革のジャケット2、3点のみというカジュアルな雰囲気で行われたそうです。あの手をかざすポーズは、初めから意図したものではなく、色んなポーズを試している中で偶然生まれたそうで、その瞬間を切り取った鋤田さんの写真が名作ジャケットとして今も語り継がれている訳です。

 


そしてこの日はもう一人ゲストが参加していました。鋤田さんの事務所のスタッフを長く務められている功野一美さん。この方はもちろんボウイの大ファンなのですが、長年ボウイをテーマにした切り絵を作っている方です。功野さんのインスタグラムでこの切り絵を見ることが出来るのですが、これがまた緻密にボウイの様々な表情を再現した美しい芸術作品なのです。

 


1996年「アウトサイド・ツアー」で来日したボウイに、功野さんはバックステージで切り絵を直接手渡したそうです。その切り絵をボウイは大事にとっておいたらしく、ニューヨークで行われた大回顧展「David Bowie is…」での「ファンから贈られた絵」というコーナーに展示されました。このコーナーは世界を巡回したこの回顧展の最終地であるニューヨークだけで展示されたため、その前に行われた日本のボウイ展では見ることは出来ませんでした。下記の写真が実際にボウイ展に展示されたものです。

 


ボウイは世界中のファンが送ってきてくれる絵をいつか展示することが夢だったそうで、図らずもその夢は彼の死後に叶うことになりました。長年のファンであり、直接の交流もあった功野さんにとっては、この上ないプレゼントとなったことでしょう。


こちらが功野一美さんのインスタグラムのリンクです。
https://www.instagram.com/kono.kazumi/

 

かなりの点数の切り絵がアップされていますのでぜひご覧ください。いつかこの切り絵の展覧会も開催してほしいものですね。