GINZA SIX6階の蔦谷書店銀座で行われたショーン・レノンのトーク・ショー。時折日本語も交えながら大変興味深い内容でした。最新フォトセッションで、なぜヨーコさんが王座に座ってる写真だったのかなど初めて聞く話も!母ヨーコさんへのリスペクトを感じられるコメントの数々。全部が全部メモっていたわけではなく、記憶を辿って書いてみたので、若干抜けてたり、違ってる部分もあるかもしれませんが、ショーンが日本の地で語った最新のお言葉をいくつか。
 
 
●(自分が育った環境とアートについて)
80年代ニューヨークで育ったんだけど、80年代のニューヨークはポップアート、ヒップホップ、ストリートアートが全盛だった。ニューヨークは危険な街だったけど、アート的には刺激的だった。地下鉄、ストリート、いたるところにアートがあった。でも今はアーティストの街が銀行マンの街になってしまったかもね。
 
●(自作の絵や作品のアートワークがサイケアート的では?という質問に)
サイケといっても60年代を振りかえってるわけではないんだ。4次元的に、もしくは12次元的かもしれない、アートはいろいろな捉え方ができる。宇宙は無限なんだから次元も無限なんだと思うね。
 
●(ヨーコさんのアートについて)
母のアートはコンセプチュアルアート。「概念」が(母の)アートのすべてであり、内なる宇宙がある。自分の中の「アート」を外に出すことが最も重要だと母はいつも言っている。
 
●(ちょうど会場の棚にある本を見ながら)
アールヌーヴォー時代の画家の作品が好き。人が自然を愛するという。最後に自然のものから影響を受けた時代。アート時代の最高峰だと思っている。その後は産業革命があってアール・デコの時代になっていってしまう。
 
●(nero magazineアート特集について)
nero magazineは以前からとっても好きだった。今回こういった素晴らしい形になってとてもうれしい。今回のフォトセッションのフォトグラファーとして、グレッグ・カデルを選んだ理由は、近年ずっと写真を撮ってもらってきた友人だったから。友人じゃなかったら最も人気の高い写真家だからもはや頼めないよ。ふつうインタビューするとしても15分くらいなんだけど、今回は1時間くらいやったね。とっても楽しかった。
 
 
●(今回nero magazineに掲載されている象徴的なヨーコさんが王座のような椅子に座っている写真について)
もともと王座に座っているというアイデアは、母が昔”ドラゴンレデイ”と呼ばれていたことからなんだ。母が父と出会ったあと、ビートルズをのっとってしまうとか、壊してしまうとか叩かれた。東洋からきた女性、”ドラゴンレデイ”と呼ばれていたんだ。女がしゃしゃりでることを気に入らないっていう風潮もあった中、母は”ドラゴンレデイ”と揶揄されてきた。名前が今ぱっとでてこないけどツーシーっだったかな、以前に楊貴妃のような中国のとある女帝の伝記を読んだことがあったんだけど、やはり同じように女性が権力を持つことを気に入らない人たちの中、母と同じように疎まれたけど、彼女は影から政権を目立たないように運営するようになっていった。そんな彼女のイメージが自分の母親と重なりあったんだ。だから今回の王座に座るYOKO ONOというのはそういった考えを打ち出したかった。母のアルバム『ブループリント・フォー・ア・サンライズ』でも同じようなアプローチの写真がある。
(注:あとで調べたらこの中国の女性は西太后(Cixi Taihou ツーシー・タイホウ)のようです。https://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%A5%BF%E5%A4%AA%E5%90%8E
 
●(幼少期の思い出について)
最近の5年間より、子供の頃の5年間の方がよく覚えてるくらいなんだ。2歳から4歳の間日本に住んでいたことがあった。日本の幼稚園にも通ってた。東京で暮らしたり、軽井沢にも行ったり。軽井沢は畳、障子など純日本風の家だった。父の自転車の後ろに乗っていたことや、なにかの女の子の人形が大好きだったことや。食べ物ではざるそばが大好きだった。あと日本のメロンがアメリカのに比較にならないほど全然美味しかったこととかね。
父はよく白と藍色の着物(浴衣?)をよく着ていた。今の僕みたいに髪をまとめてね。当時母と僕が日本語でしゃべってると、日本語があまりわからない父がなんとなく寂しそうにしていたこととか・・・。
 
●(ジョンが亡くなったあと)
母は父が亡くなったあと、レコーディングに打ち込んでいた。母が『シーズン・オブ・グラス』を作っていたとき僕は5、6歳だった。母は父を突然失った悲しみや苦しみをレコーディングに打ち込むことで紛らわせたのかもしれない。本当はニューヨークに留まらず、他の場所に行くこともできたのに、母はあえて留まった。僕は母のそばでレコーディングの現場をずっと見ていたんだけど、ネガティブがポジティブに変化していく瞬間を見た。それが自分が音楽を目指そうとしたきっかけでもあるんだ。
 
 
●(ヨーコさんの音楽について)
母は、リハーサルなど全くなし、一発撮り、ある種いきあたりばったりでレコーディングする。母は常に「ゾーン」の中にいるので、(その「ゾーン」にいる時は)その場、その瞬間がすべて。やり直し、編集、リテイクなんて考えは彼女にはない。それがYOKO ONOのアーティストとしての姿勢。母はよく宇宙から引き寄せているといっていた。
 
●(ヨーコさんの「YES」というポジティブなメッセージについて)
といいつつ、母はすべてに対して肯定的というわけでなく、好きなものは好き、嫌いなものは嫌い(笑)。はっきりしてる。「曖昧なものが全くない」人といえるね。
 
●(「イマジン」でヨーコさんのクレジットが入ったことについて)
元々プロデューサーの一人として名前は載っていたけど、当時母がこの作品に影響を与えたことを誰も信じなかった。これがポールやエルトンだったら全然違ったはず。男性優先的な世界の中で、女性が、日本人が影響を与えたということを認めたくないという世の中だったんだろう。父も言っていたけど、ヨーコの影響は認めているものの、周りにも気を使ったというか、どこかで男性優先、マッチョな考えがあったのかもしれないと。今でも母は部屋に入った瞬間その部屋を支配してしまう人物だ。だから、(「イマジン」を作っていた)その場にいたということだけでも、その場にいた人は確実に影響を受けてしまったはず。影響を受けていないわけがない。
 

Proudest day of my life: The National Music Publishers Association just gave the centennial (song of the century) award...

Sean Lennonさんの投稿 2017年6月14日
 
●(このニュースを聞いた時のヨーコさんはどういう反応について)
なかなか説明するのは難しいけど・・・。正直に言うと、公式に認められて母は喜んでた。そして泣いてた。ただ、喜んではいたけど、数時間後にはもう違うことを考えていた。母は揺るぎない自信の持ち主なので、人からどう言われようが、どう見られようが関係ない。常にそういう人なんだよね。
(以下「イマジン」のニュースrockinon.comより)
 
●(最近の音楽活動について)
ラナ・デル・レイと「トモロウ・ネバー・ケイム」という曲を一緒にやって、ちょうど先週の金曜(7/21)に発売になったんだ。いきさつはラナから連絡をもらって、プロデュースしてほしいと頼まれたんだ。デヴィッド・リンチのような、気だるいアメリカン・ドリーム、ちょっとダークで不思議な感覚で作った。リンチとラナは近いと思うんだ。出来上がったものを聞かせたらラナは完璧っていってくれたよ。
「Tomorrow Never Came」
 
●(今後の活動について)
様々なアーティストのプロデュースやコラボレーション(いろいろなアーティストの名前を羅列・・・)をやってる。最近ではウィル・スミスの娘のウィロー・スミスのプロデュースもやってるよ。彼女はびっくりするほど素晴らしいね。
 
 
予定を大幅に超えて、約1時間近く語ってくれました。その後サイン会。日本のファンの皆さんと語りながら、ショーンも楽しそうでした。
 
(*完璧なものではございませんが、こんな雰囲気と言うことでレポートでした。)
 
ちなみに文章中にでてきた西太后の写真と、ヨーコさんのアルバム『ブループリント・フォー・ア・サンライズ』のジャケットはこちら
 
 

【NERO magazine】 ART & ROMANCE issue

http://magazinenero.com/

最新号のカヴァー&巻頭はオノ・ヨーコとショーン・レノンの最新の親子ツーショット写真。VOGUE、NUMEROなどで活躍中の気鋭フォトグラファー、グレッグ・カデルが撮影した。ヨーコ・リイシュー・プロジェクトのプロデューサーでもある息子、ショーン・レノンがヨーコ氏の幼少期からビートルズとの確執、芸術、音楽活動について1時間に渡って初めて語っている。

【Yoko Ono Reissue Project第二弾3タイトル】 

CD:2017年8月2日発売 LP:2017年8月9日発売(EXECTIVE PRODUCER: SEAN LENNON)

1971年作品 『フライ/FLY』

1973年作品 『無限の大宇宙/ APPROXIMATELY INFINITE UNIVERSE』

1973年作品 『空間の感触/ FEELING THE SPACE』

詳細はこちら

http://www.sonymusic.co.jp/artist/yokoono/

 

【各アルバム詳細】

●ヨーコ・オノ 『フライ』  YOKO ONO/FLY (1971年作品)

<CD>2017/08/2発売  SICX-84~85  ,600+税 ■初回仕様限定盤 ■紙ジャケ仕様(2枚組見開きジャケット)■最新リマスター ■新規解説・歌詞・対訳付 ■ボーナストラック4曲収録

<LP> 2017/08/09  SIJP-49~50  ¥6,000+税 ■完全生産限定アナログLP/1000枚限定White Color Vinyl ■特典ポスター、特製カード封入 ■見開きジャケット(2枚組)■ジャケット周りは日本制作・盤は海外プレス(by RTI)■最新リマスター ■新規解説・歌詞・対訳付

 

1971年9月に発表されたソロ2作目。ジョン・レノンの『イマジン』と対を成すアルバムでジョン・レノン、リンゴ・スター、クラウス・フォアマン、エリック・クラプトン、ジム・ケルトナーらが参加。いまやヨーコの代表曲ともいえる「ドント・ウォリー・キョーコ」や、「オープン・ユア・ボックス」を改題した「ヒラケ」などのアバンギャルド音楽から、「イマジン」と同じような音色を感じるピアノと哀愁のメロディが美しい名曲「ミセス・レノン」等収録。デザインを含めたトータル・アート作品としては、ヨーコの最高傑作と言える。プロデュースはジョン&ヨーコ。若き日のジャック・ダグラスがエンジニアで参加している。収録曲など詳しくは下記

http://www.sonymusic.co.jp/artist/yokoono/info/484083

 

●ヨーコ・オノ 『無限の大宇宙』  YOKO ONO / APPROXIMATELY INFINITE UNIVERSE (1973年作品)

<CD>2017/08/2  SICX-86~87  ,600+税■初回仕様限定盤 ■紙ジャケ仕様(2枚組見開きジャケット) ■最新リマスター ■新規解説・歌詞・対訳付 ■ボーナストラック収録

<LP>2017/08/09  SIJP-51~52  ,000+税 ■完全生産限定アナログLP/1000枚限定White Color Vinyl ■特典ポスター、特製カード封入 ■見開きジャケット(2枚組) ■ジャケット周りは日本制作・盤は海外プレス(by RTI)■最新リマスター ■新規解説・歌詞・対訳付

 

1973年1月に発表されたソロ3作目。前作までのアヴァンギャルドが影をひそめ、よりポップ、ロックな路線となった、今、最も再評価が期待される作品でもある。ヨーコはフェミニズムを前面に打ち出し、女性としての権利・主張を力強く宣言する。ヨーコとジョンがプロデュース。ジョンはJoel Nohnnという変名でギターとヴォーカルで参加。『サムタイム・イン・ニューヨーク・シティ』でバックを務めたエレファンツ・メモリー・バンドが今作にも参加。是非「今宵、彼に安らぎを」を聴いてみて欲しい。ヨーコの作品の中でも時代を超えた名曲中の名曲と言える。収録曲など詳しくは下記

http://www.sonymusic.co.jp/artist/yokoono/info/484085

 

「今宵、彼に安らぎを」(最後のドラムブレイクのところがたまりません!ジョンのヴォーカルも)

 

 

●ヨーコ・オノ『空間の感触』 YOKO ONO/FEELING THE SPACE(1973年作品)

<CD> 2017/08/2  SICX-88 ■2,400+税 ■初回仕様限定盤 ■紙ジャケ仕様 ■最新リマスター ■新規解説・歌詞・対訳付 ボーナストラック7曲収録

<LP>2017/08/09  SIJP-53  ,000+税 ■完全生産限定アナログLP/1000枚限定White Color Vinyl ■特典ポスター、特製カード封入 ■ジャケット周りは日本制作・盤は海外プレス(by RTI)■最新リマスター ■新規解説・歌詞・対訳付

 

1973年11月に発表されたソロ4作目。Apple Recordsからの最後の作品であり、彼女の70年代最後の作品。ジョン・レノンの『マインド・ゲームス』と対を成すアルバムで、同作のレコーディング・メンバーがバックアップしているので、同じような音色を感じることができる。より一層フェミニズムのテーマを強め、「ウーマン・パワー」では男性中心社会への怒りを込め、女性としての力を高らかに宣言する。ちょうど今作が発表された1973年秋は“失われた週末”と呼ばれるジョンとヨーコの別居が始まった時期。レコーディングではジョンも一バックミュージシャンのひとり。ヨーコはこのレコーディングに打ち込み、「失われた週末」への序曲となった作品ともいえる。「メン・メン・メン」では“J・O・H・N・N・Y”というフレーズや“milk and honey”というフレーズも。収録曲など詳しくは下記

http://www.sonymusic.co.jp/artist/yokoono/info/484086

 

●ヨーコ・オノ再評価プロジェクト第二弾トレイラー

 

●Yoko Ono - What A Bastard The World Is (Official Audio) (『無限の大宇宙』収録曲)