(Photo by Yuki Kuroyanagi)

 

2011.3.11。。。その日のその瞬間はちょうどシンディ・ローパーを出迎えるため、成田空港にいました。そのあとのシンディとの怒涛の来日ツアーの模様をまとめたものがありましたので、改めてこちらで、振り返ってみます。。

 

2011年3月11日―3月23日

シンディ・ローパー来日同行記

 

シンディ・ローパーのメンフィス・ブルース・ジャパン・ツアーは2011年3月11日起こった東日本大震災のその当日から始まった。何かが乗り移ったかのような、そのすさまじいライヴパフォーマンスは誰もが力を与えられ、勇気を与えられ、一生心に刻まれるような「音楽の力」を見せつけてくれた。これはシンディ来日時のドキュメンタリー。毎日書いていた日記をもとに再構成したものです。

 

●3月11日(金)成田到着

3時半成田到着予定の便が30分早く到着予定と繰り上がっていた。なので2時46分の地震の時はきっと着陸態勢だったと思われる。その後上空で旋回、どうなるか見守ってたいたが、横田基地に着陸したらしい。横田基地では入管できないのでどこかの日本の空港へ行くらしいとの情報。大阪、名古屋、福岡、成田、羽田とそれぞれの可能性がありつつ、シンディが機内からメールでアメリカいるツアマネとやりとり。「今、機長が名古屋へ行くと言った」とメール=>ツアマネからキョードー東京の担当の方へ=>名古屋に迎えの車とホテルを指示。その後伊丹かもということで、また大阪に迎えの車とホテルを指示。またシンディから「今、機長が羽田へ行くと言った」とメール=>ツアマネからキョードー=>キョードーから横浜に伝え・・・。日本のアメリカン航空はいまだ成田が閉鎖されるまでは、当初の到着地に降りるはずだ、ということで我々も動けず。結局羽田に決定したのが午後9時前。9時半くらいに羽田着。成田組は東京へ向かうもののすぐ大渋滞。全く動かない。なんだかんだでホテルについたのは朝7時過ぎ。シンディの羽田への迎えの車も当然動かず、シンディがホテルに着いたのはAM3時くらいだったらしい。

 

●3月12日(土)

本当はこの日NHKの「SONGS」収録のためツアマネのジョンとキーボードのスティーヴが日本着予定だったが、便が飛ばす。。。明日着で来てもらえるようお願いする=収録日の夕方着という綱渡り。

 

●3月13日(日)

ツアマネとキーボードが収録当日着という綱渡り的状況の中、夕方6時ころ無事到着。あとはその後の道の渋滞しだいでドキドキでしたが、ガラガラで予定よりも早くNHK入り。無事着いて本当に良かった。これで先日みたいな大渋滞だったらどうなってたんだろうか?

日本人フリューゲルホーン奏者TOKUとともに「Don’t Wanna Cry」「Time After Time」を収録。涙が出るほど素晴らしいパフォーマンスだった。

 

この日のインタビューでこんなことを言っていた

「ちょうど飛行機に乗っていたので何が起こってるのかわかりませんでした。空港やホテルで、毛布をかぶった人たちがたくさんいて心が痛みました。部屋でTVをつけたら、本当にすさまじい状況になっていることがわかりとてもショックでした。でも、今、私は日本にいるんだから、何ができるかを考えています。私にできることは音楽。私の歌で少しでも勇気を、少しでも元気を与えることができるなら、それが私の仕事と思っています。日本はRISING SUNの国。自分たちを信じて立ち上がりましょう。ガンバッテ!」

 

シンディ自身もいろんな想いがあったと思うが、でも、残る決断をしてくれた。

「帰国することなんて考えられなかった。だって愛する日本の皆さんがこういった状況にある中、何かしなければと思う。明日の夜CNNに出るので、海外の人々へも訴えていきたい。少しでもいいので、ちょっとづつでもいいので、皆さんに募金をしてもらいたいという気持ちでいっぱいです。ちょっとづつでも、たくさんのみんながやれば、そして、いろいろな国の人々がそういった活動に協力してくれれば、たくさんの募金が集まると思いますし、それが直接困ってる人に届けられる。とにかく私はできることは何でもやりたいと思っています。今、私はこういった時期の日本にいるのですから、私のキャリアの中で多くの時間を日本で過ごしましたし、私にとっては本当に大切な国で、愛する国なので、できる限りのことを、とにかくやりたいと思っています。」

 

●3月14日(月) 名古屋移動

シンディの荷物が多い!東京駅で荷物を新幹線のホームへと思ってたら…駅のエスカレーターが地震の影響で止まってる!大きな荷物を階段で、みんなで抱えて持ちあげる。ほとんど苦行の様相を呈してきた。

 

●3月15日(火)名古屋公演

シンディの歌が力を与えてくれました。

音楽の持つ意味とは何なのか?それを感じさせてくれたシンディのライヴ。こんな日本が大変な時になんでライヴやるのか?とかいろんなことを言う方もいた。でも日本から逃げ出す人も多い中シンディはあえて残ってくれた。自分にできることは音楽、だから音楽で力を与えたいと。そして少しでも日本の役に立てるならと。コンサートで義援金の募金箱を設けることはもちろん、そして日本にいる自分が世界へ何かを発信して何かできることができないか?と。

 

日本初公演となる名古屋公演本当に素晴らしかった。そこにいる誰もがみんな本当に感動していた。たぶん言葉で言ってもなかなか伝わらないかもしれないが、とてつもなく感動的だった。こんな時期だからこそ、歌の力というものを見せつけてくれた。この瞬間だけでもみなさん笑顔になれるというか。この瞬間だけでもいやなこと忘れられるというか、そして何か力や勇気を与えてくれたような・・・そこにいた誰もが同じ気持ちになったはず。

 

ときおり日本語を交えて、会場中に話しかける。親密感。驚いたのはどうしてもコミュニケーションをとりたかったのか、客席にいた日本語話せる外国人の女性の方を見つけ、いきなりその方に通訳させたりで、これまた大歓声。通訳してくれた方にもみんなで大拍手。

 

客席へ何度も降りて行き、椅子に登って立ち上がり、会場中がひとつになっていく様は本当にすごかった。そして声だけでこれほどまでの喝采を受けるとは(声を張り上げ、高音で長く伸ばすところがあって、それだけで背筋ぞくぞくするほど)。これぞ本物のアーティスト。パフォーマーとしてのすごさ、すさまじさにノックアウトされた。

 

最初の「JUST YOUR FOOL」でもう爆発。ステージ狭しと左右に飛び跳ねるシンディ。思わず会場中が総立ちに。もちろん有名曲も新たな息吹を加えられて素晴らしいアレンジに。「SHE BOP」はリフが利いたロックバージョン。アンコールの「GIRLS~」は最初オルガン一本をバックにゴスペルチックに1フレーズ歌い上げる(これまたシビれた!)、そして一気にバンドバージョンに。その後は大ヒットパレード!GIRLS」「TIME AFTER TIME」では大合唱!そして最後の最後はシンディがたった一人でダルシマーの弾き語りで「TRUE COLORS」。みんなジーンときてるはず。

 

「ダウン・ドント・バザー・ミー」の前に「日本人はいつも頑張ってきた。だから元気出そう、みんな頑張ろう。ガンバッテ!」とコメント。そして、最後の「トゥルー・カラーズ」のあと、ジョン・レノンの曲でもある「パワー・トゥ・ザ・ピープル」の一節をもじって、「Remember Power!Remember Power! POWER TO THE PEOPLE!!」叫んで終了。

 

シンディの希望で設置した義援金箱。凄い勢いでみなさん募金してくれていた。それだけでも今回意味あるショーだったといえると思うけど、誰もがダウンになってる今、なにか力を与えてくれる歌、なにか元気を与えてくれる歌、力強く、心を動かしてくれる歌、音楽の持つ力を改めて感じた瞬間だった。そして、こんな時だからこそ一体感を感じられることが大切だと

 

最後の「トゥルー・カラーズ」の曲が終わった瞬間、会場から誰かが大声で「ありがとうシンディ」と叫んだ、本当にその場にいたみんなが一体となって同じ気持ちだったと思う。

 

3月15日名古屋公演セットリスト

Setlist on March 15, 2011

 

Just Your Fool ジャスト・ユア・フール*

Shattered Dreams シャッタード・ドリームズ*

She Bop シー・バップ

Early in the Mornin' アーリー・イン・ザ・モーニング*

All Through the Night  オール・スルー・ザ・ナイト

Lead Me On  リード・ミー・オン

Crossroads  クロスロード*

Down Don't Bother Me  ダウン・ドント・バザー・ミー*

Don't Cry No More ドント・クライ・ノー・モア*

Good Enough  グーニーズはグッドイナフ

Shine シャイン

Change of Heart チェンジ・オブ・ハート

 

Encore:  (アンコール)

 

Girls Just Want to Have Fun ガールズ・ジャスト・ワナ・ハヴ・ファン

Time After Time タイム・アフター・タイム

True Colors トゥルー・カラーズ

(*=MEMPHIS BLUES)

 

終演後、無事終わったかと思いきや、静岡で地震が発生した・・・。次の日は東京公演なので、ステージ制作チームの方は翌朝新幹線移動予定が、急遽車で夜通し走ることになった・・・。残されたシンディ周りももしかしたら新幹線が止まってしまうかもということで、名古屋=>新大阪=>伊丹=>羽田ルートを探ることに。順列組み合わせする中、朝の3時くらいまでになんとかルートが確保される。

 

●3月16日(水)東京公演初日

翌朝、名古屋=>東京移動は新幹線が動いていたので、ラッキーにも当初通りのスケジュール通りで行けることになった。途中止まることもなく品川到着。

 

シンディ・ローパー東京公演初日。

昨日の名古屋も素晴らしかったが、今日も感動の嵐だった。この日初めて日本人フリューゲルホーンの第一人者TOKUがゲスト参加。日本人のミュージシャンとのステージ上でのバトルという感じは見ていてうれしくなった。最後の曲「トゥルー・カラーズ」の前にひとこと

 

「日本人はストロング・ピープルだから、今起きてる悲劇も必ず乗り越えられるはず。みんなで信じよう。一人一人の心の中に強さがあるのだから。この癒しの歌を一緒に歌いましょう」

TOKUと二人で演奏したこの曲、とっても美しかった!

 

3月16日東京公演セットリスト@オーチャードホール

Setlist on March 15, 2011 

 

Just Your Fool ジャスト・ユア・フール*

Shattered Dreams シャッタード・ドリームズ*

She Bop シー・バップ

Early in the Mornin' アーリー・イン・ザ・モーニング*

All Through the Night  オール・スルー・ザ・ナイト

Lead Me On  リード・ミー・オン

Crossroads  クロスロード*

Down Don't Bother Me  ダウン・ドント・バザー・ミー*

Don't Cry No More ドント・クライ・ノー・モア*

Good Enough  グーニーズはグッドイナフ

Change of Heart チェンジ・オブ・ハート

 

Encore:  (アンコール)

 

Don't Wanna Cry ドント・ワナ・クライ

Girls Just Want to Have Fun ガールズ・ジャスト・ワナ・ハヴ・ファン

Time After Time タイム・アフター・タイム

Shine シャイン

True Colors トゥルー・カラーズ

(*=MEMPHIS BLUES)

 

●3月17日(水)東京公演2日目

今日は午後に停電情報や電車止まってしまうかもという大変微妙な情報が錯綜する中、果たしてお客さんは来てくれるのだろうか?と誰もが心配していた。でも来るのに苦労されたかもしれないけど、本当にたくさんのファンのみなさんが集まっていただいて。。。そしてショーが始まれば、これまたすごい盛り上がりをみせた。TOKUは昨日、初見でいきなり合わせて6曲も演奏して、さすがJAZZミュージシャンって感じだったけど、今日は2日目ということでさらに息もあっていい感じ。セットリストもうまく構成されてて、メンフィス・ブルースの曲の合間に絶妙にヒット曲をまぶした構成はお見事。今日で連続三日目のライヴにもかかわらず、疲れもみせず、相も変わらずステージ狭しと動き回り、会場中をひとつにするパフォーマンス。日ごとに良くなっていく。年齢のことを言うのは失礼と思いつつ、あのお年でこのパフォーマンスはすごすぎる。これをやるために日頃すごい努力してるんだろうなと。「トゥルー・カラーズ」では今日も“日本は大丈夫、ガンバッテ”とメッセージを語り、ピアノのスティーヴとTOKUのフリューゲルホーンとシンディのヴォーカル、3人でしっとりと演奏。途中今日も「POWER TO THE PEOPLE」を挟み込み、今日はかなりしっかりと、そしてちょっと長めに感情こめて歌っていた。“Power To The People, Power To The People~Power To The People right on!”と会場中のみなさんも一緒に歌い上げる。

 

終演後ロビーではみなさん、「よかったー」「感動した」「元気と勇気を与えてもらった」と口々に語り、本当にたくさんの方が義援金箱に募金していた。見た人すべてが感動するなんて、滅多にない。こういった状況だからってことはあるとは思うけど、何か「特別な」瞬間を味わってる感じというか。一生きっと忘れないだろうなあ、と思えるライヴだった。

 

東京は明日最終。そして大阪2回だけ。

 

3月17日東京公演セットリスト@オーチャードホール

Setlist on March 15, 2011 

 

Just Your Fool ジャスト・ユア・フール*

Shattered Dreams シャッタード・ドリームズ*

She Bop シー・バップ(w/TOKU)

Early in the Mornin' アーリー・イン・ザ・モーニング*

All Through the Night  オール・スルー・ザ・ナイト

Lead Me On  リード・ミー・オン(w/TOKU)

Crossroads  クロスロード*

Down Don't Bother Me  ダウン・ドント・バザー・ミー*

Don't Cry No More ドント・クライ・ノー・モア*(w/TOKU)

Good Enough  グーニーズはグッドイナフ

Change of Heart チェンジ・オブ・ハート

 

Encore:  (アンコール)

 

Don't Wanna Cry ドント・ワナ・クライ(w/TOKU)

Girls Just Want to Have Fun ガールズ・ジャスト・ワナ・ハヴ・ファン(w/TOKU)

Time After Time タイム・アフター・タイム(w/TOKU)

Shine シャイン

True Colors トゥルー・カラーズ(w/TOKU)

(*=MEMPHIS BLUES)

 

●3月18日 東京最終

3月18日(金)東京最終公演、感動の輪が広がった。

最終曲「トゥルー・カラーズ」の前に一言

『今夜会場を出る前にみんなにお願いがあります。湯川れい子さんと日本の有名なみなさんが集まってくれて、(被災者のみなさんのために)募金活動を行ないます。一人ひとりがちょっとづつでもいいので、ぜひご協力お願いします。一人ひとりの力は小さいかもしれないけど、それが集まると大きな力になるので。この曲「トゥルー・カラーズ」はヒーリング・ソング(癒しの歌)。みんなで歌って元気を出しましょう。一緒に頑張りましょう』

 

終演後、オーチャードホールのロビーにて湯川れい子さんの呼びかけにより、芸能人のみなさんが募金箱をもって義援金を募り、もうそれはそれは長蛇の列に。テリー伊藤さん、デーブ・スペクターさん、京子さん、相川七瀬さん、平尾昌晃さん、森口博子さん、クミコさん、イルカさん、スポンテ二アのMASAさん、そして今回シンディのステージで共演を果たしたTOKUさんなどなど、みなさんがお声掛けをして募金を呼びかけていた。そこへ、なんとシンディ自身も登場。大歓声の中迎えられて参加。コンサート終演後でとってもお疲れだったかと思うけど、募金をしていただいた皆さん一人ひとりとハグや握手。混乱もなく、とっても温かい空間となっていた。いろいろあったけど東京公演も無事3日間終了。こういったご時勢の中集まってくれたファンのみなさんに感謝するとともに、力と元気を与えてくれたシンディに感謝。

 

シンディのライヴもあと21日と22日の大阪公演を残すのみ。

 

3月18日東京公演セットリスト@オーチャードホール

Setlist on March 18, 2011 

 

Just Your Fool ジャスト・ユア・フール*

Shattered Dreams シャッタード・ドリームズ*

She Bop シー・バップ(w/TOKU)

Early in the Mornin' アーリー・イン・ザ・モーニング*

All Through the Night  オール・スルー・ザ・ナイト

Lead Me On  リード・ミー・オン(w/TOKU)

Crossroads  クロスロード*

Down Don't Bother Me  ダウン・ドント・バザー・ミー*

Don't Cry No More ドント・クライ・ノー・モア*(w/TOKU)

Good Enough  グーニーズはグッドイナフ

Change of Heart チェンジ・オブ・ハート

 

Encore:  (アンコール)

 

Girls Just Want to Have Fun ガールズ・ジャスト・ワナ・ハヴ・ファン(w/TOKU)

Don't Wanna Cry ドント・ワナ・クライ(w/TOKU)

Time After Time タイム・アフター・タイム(w/TOKU)

Shine シャイン

True Colors トゥルー・カラーズ(w/TOKU)

(*=MEMPHIS BLUES)

 

●3月21日大阪公演

大阪初日、日の丸を背負って「What's Going On」歌う。

 

東京3公演を無事終えたあとの3月21日大阪NHKホール。完全ソールドアウトで2Fの上の上まで超満員。2日間のオフで充分休養をとったあとでシンディの声は絶好調!今日はこれまた一段と素晴らしいショーだった。

 

今日のハイライトは「Time After Time」が終わった後、前のほうの一人のお客さんが「Cyn!」と声をかけ、何か手紙とプレゼントのようなものを。それを読んだシンディはその贈り物を広げる。それはなんと日の丸の国旗。そしておもむろに日の丸を羽織ると、場内は大歓声!“ありがとう!”の声も。日の丸を羽織ったまま「Shine」を歌い上げる。客席へ降りて行き、観客が差し出す手をしっかり握って歌い上げ、総立ちの観客は“Shine”をかけあいで返す。まさに場内はひとつに。ちょうど2Fで見ていたのだが、2Fの上の上まで総立ちになっていた。そのあとなぜかバンドのメンバーと話し出す。本当は次の曲で最終曲だったはずで、バンドメンバーははけるはずだったのに、誰もはけようとしてない。シンディがそれぞれのメンバーのところにいって説明。バンドメンバーもにっこりしてシンディの気持ちが通じたよう。日の丸を背中に羽織ったまま、次の曲へ。1,2,3,4の掛け声のあとイントロが!その瞬間に場内のみなさんもわかったようで大歓声の元迎えられる。まさに今、歌うべき曲。この状況にぴったりともいえるマーヴィン・ゲイの名曲「What's Going On」を歌い始めた。

 

『What's Going On』

母よ

大勢の人が泣いています

兄弟よ

遠くで大勢の人が死んでいます

僕たちは見つけなければ

今ここに愛を運んでくる方法を

 

一体何が起こっているんでしょう

ああ、何が起こっているんでしょう?

 

ベトナム戦争から帰還した弟から戦場の様子を聞き、反戦のメッセージを込めたマーヴィン・ゲイの1971年の大ヒット曲。その後も数々のアーティストによってカヴァーされている20世紀を代表する名曲の一つ。この曲はシンディもカバーし『トゥルー・カラーズ』に収録していた。たぶん今回のツアーのリハでも一度もやってなかった曲で、その場で急遽やろうと思ったのだろう。日本の国旗を背負うなんて、字面から見たらやりすぎと思う方もいるかもしれないけど。でも日の丸も偶然なら、WHAT'S GOING ONも偶然。何のお約束でもなんでもなく自然な流れだった。偶然のマジック。ちょっと涙がでるほど感動的だった。

 

最後は「True Colors」。東京ではTOKUとキーボードのスティーヴとともに3人で演奏していたが、今日は名古屋と同じくシンディのダルシマー1本で切々と歌い上げた。

いろいろなところから「Thank you!」「ありがとうシンディ!」の声が飛び交っていた。

 

3月21日大阪公演セットリスト@大阪NHKホール

Setlist on March 21, 2011 

 

Just Your Fool ジャスト・ユア・フール*

Shattered Dreams シャッタード・ドリームズ*

She Bop シー・バップ

Early in the Mornin' アーリー・イン・ザ・モーニング*

All Through the Night  オール・スルー・ザ・ナイト

Lead Me On  リード・ミー・オン

Crossroads  クロスロード*

Down Don't Bother Me  ダウン・ドント・バザー・ミー*

Don't Cry No More ドント・クライ・ノー・モア*

Good Enough  グーニーズはグッドイナフ

Change of Heart チェンジ・オブ・ハート

 

Encore:  (アンコール)

 

Girls Just Want to Have Fun ガールズ・ジャスト・ワナ・ハヴ・ファン

Time After Time タイム・アフター・タイム

Shine シャイン

What's Going On ホワッツ・ゴーイング・オン

True Colors トゥルー・カラーズ

(*=MEMPHIS BLUES)

 

●3月22日大阪公演最終日

日本最終公演無事終了!ニコニコ動画生中継で13万人が目撃!

 

本日日本最終公演無事終了した。急遽シンディの強い希望でニコニコ動画での生中継が決定し、開演2時間半前の告知解禁にもかかわらず、なんと最終的には13万人のアクセス数を記録。ライヴが進行するたびにどんどん見る人が増加していく様は驚きだった。今日も本当に素晴らしいパフォーマンスを見せてくれたシンディ。こんな日本の状況の中、あえて残ってくれて、連日感動のライヴを見せてくれた。「シンディ、ありがとう」という言葉しか見つからない。

 

3月22日(火)大阪NHKホールでのメンフィス・ブルース・ジャパン・ツアーが無事終了。本日も見事なパフォーマンスを見せてくれた。日本最終公演ということもありシンディ本人の強い希望により、愛する日本のファンの皆様のために、できるだけ多くの方々に届けたいということで、ネットでライヴ中継できないかという話になり、急遽ニコニコ動画で生中継配信が実現した。最終決定はシンディが会場に着いてからの16:30頃。開演2時間前に最終決定し、そこから告知。はたしてどこまで届くのか?と思っていたが、ライブが進むたびに、どんどんアクセス数が増加。最終的には13万を超えた(PCで見てたら12万超えだったけど、iPhoneで見たら133,494まで行っていた)。

 

そういったこともあり、ライヴも素晴らしいものになった。この日は東京で3日間共演したTOKUも大阪へ来てシンディの日本最終公演に参加。昨日ファンの方から贈られた日の丸の国旗をまとって登場。1曲目の「Just Your Fool」から気合い入りまくり。最初の段階ではニコ動のアクセス数は2万人くらいだったか

 

「Early In The Morning」の前には『今回いろいろなことがあったけど、私にできることは音楽を聴いてもらってエネルギーを少しでも補給してもらうこと。みんなにとっては、今までで一番辛い1週間だったかもしれないけど、たぶんもうすぐいろいろうまくいくと思うから・・・お互いを想って頑張れば大丈夫・・・。』とたぶんネットを通して見ているみなさんへの想いを込めて、励ましのメッセージ。面白かったのは大阪ならではの話を『笑いのセンスが一番なのは大阪なんだよね。わたしはOKINOMIYAKIが好きなのに、うまく言えないの。』って言ってキーボードのスティーヴに「お好み焼き」だよと訂正される場面も。

 

「Don’t Cry No More」の前では『奇跡っていつ起こるかわからない・・・だから私はこの曲が好きなの。SPIRITを感じるから』その言葉の通りの会場中が一体となったパフォーマンス。この時点でニコ動のアクセス数は6万を突破。

 

「グーニーズ」では再び日の丸を羽織り、本編最後の「Change Of Heart」へ。ちょうど日の丸の赤い丸の部分が背中の真ん中にあり、まるでマントのように似合っている。最後『ありがとう大阪』を言って、一度下がる。この時点で8万突破。

 

アンコールでは「Girls Just want to Have Fun」。客席に降りて行き、会場中との掛け合いが素晴らしい。この時点で9万突破。続く「Time After Time」で9万5千・・・そして曲の途中20:35に遂に10万を突破した。

 

このあとTOKUとの「Don’t Wanna Cry」共演を挟んで、次の「Shine」では『この曲は前向きな気持ちになれる曲。この曲がみんなを癒してくれるといいな。』と語って再び客席の中へ。

『今回の件は凄いショックを受けたけど「音楽の力」を感じて欲しかったから…。今夜みなさんのために特別な歌を歌います』と語って「トゥルー・カラーズ」へ。途中『私のオールド・ヒーローを登場させるわね』と語ってジョン・レノンの「Power To The People」を歌う。会場中も大合唱。そして、「トゥルー・カラーズ」へ戻る。TOKUのフリューゲルホーンが最高のいい味をだして、素晴らしいコラボレーション。曲が終わり、最後にシンディが『ありがとうございました』とこれまでの想いを凝縮したような丁寧な日本語で挨拶そして『おやすみなさい』と日本語で静かに語りステージをあとにした。

 

会場中からは再び「ありがとうシンディ」の声。。。

ニコ動のアクセス数は最終的には13万人を超えた。

 

3月22日大阪公演セットリスト@大阪NHKホール

Setlist on March 22, 2011 

 

Just Your Fool ジャスト・ユア・フール*

Shattered Dreams シャッタード・ドリームズ*

She Bop シー・バップ(w/TOKU)

Early in the Mornin' アーリー・イン・ザ・モーニング*

All Through the Night  オール・スルー・ザ・ナイト

Lead Me On  リード・ミー・オン(w/TOKU)

Crossroads  クロスロード*

Down Don't Bother Me  ダウン・ドント・バザー・ミー*

Don't Cry No More ドント・クライ・ノー・モア*(w/TOKU)

Good Enough  グーニーズはグッドイナフ

Change of Heart チェンジ・オブ・ハート

 

Encore:  (アンコール)

 

Girls Just Want to Have Fun ガールズ・ジャスト・ワナ・ハヴ・ファン(w/TOKU)

Time After Time タイム・アフター・タイム(w/TOKU)

Don't Wanna Cry ドント・ワナ・クライ(w/TOKU)

Shine シャイン

True Colors トゥルー・カラーズ(w/TOKU)

(*=MEMPHIS BLUES)

 

●3月23日帰国日

シンディ・ローパーの日本公演も昨日無事終了。今日の朝、大阪のホテルを出て、空港へ向かった。次の公演地オーストラリアへ向かって無事に機上の人に。(でも、かわいそうなのが到着した日になんとコンサート。乗りうちなんだそう。「12時間も飛行機乗って、着いたらすぐサウンドチェック??信じられない!」と昨日ぷんぷんだったけど)

 

思えば3月11日の来日以来12日間も経ってた。。。ものすごくいろいろなことがあって、ハードな毎日だったけど、昨日の夜、ちょっとだけホテルのバーでシンディお話ができた。本当にきさくで良い方で・・・でも、なんでそのバーに行ったかというと。。。

 

最後の日本の夜ということでホテルのバーで飲んでたシンディ御一行さま。最後ってこともあったと思うが、急に思い出したかのように日本の食べ物を食べたいと思ったそう。でもバーにはおいてない。ってことで、部屋でライヴレポート書いてた僕のところに日本人スタッフから連絡が。「すみません、今誰も動けなくて・・・シンディが日本の最後の夜に○○○○と○○○○を食べたいそうなんです・・・」と。「じゃあ、その辺に売ってるだろうから買って持っていきますよ」と気軽に応えて、ふらふらと探しに行った。ホテルの近くのコンビニ。一軒目はそのうちのひとつはあった。でももう一個がない。次の店に行ったら「ありますよー」と店員さんがいうから、ついて行ったら冷凍コーナーに。「いやいや冷凍ものじゃなくて、すぐに食べれるやつは?」「ないですねー」と。もしかして大阪にはあんまりないものなのか?とあせりだし、次のコンビニへ。3件目もない。4件目もなくギブアップ。こんなにないものなのかあ???と思いつつ、もうバーが終わっちゃうかもってことで、バーに一目散で戻る・・・。

 

シンディが食べたかった日本の食べ物・・・それは「さきいか」と「えだまめ」。さきいかはすぐにあったけど、なぜか枝豆が全然なく。大阪の方はあんまり枝豆食べないのか??「さきいか」だけだとちょっとさびしいかな?なんて思って、同じ乾きもの「チーズ鱈」も買ってみた。バーに持っていくと、「一杯飲みなさいよ」と座らされ、買ってきたものを渡すとうれしそう。枝豆がなかったことをあやまると、「OKいいわ」と・・・。ホッとしてたらもう一個の「チーズ鱈」に大変興味を示して、「これ何?」。これは、こういうものなんですよと説明すると、つまんで食べる。すると「チーズと魚を組み合わせるなんてなんてアメイジングな食べ物なの!」と喜んでくれた。テーブルを見回してみると、つまみは柿の種やら乾きものだらけ・・・。「サキイカ」の袋を取り上げると、店の人を呼びつけて・・・「これちょっと炙ってくれる?それからマヨネーズと七味と醤油もね!」。お店の方も「内緒ですよ」と快く?引き受けてくれて、ちょっと炙って持ってきてくれた。すると慣れた手つきでマヨネーズに七味かけまくり、醤油をちょろっと垂らして、パクリと。「ん~なんておいしいんでしょ」。七味が足りなかったらしく、さらにふりかけ、サキイカでマヨネーズと七味をうまくまぜながら、次から次へと。みなさんも食べてたけど、チーズ鱈も含めてあっという間に全部平らげてしまっていた。

 

その場を仕切きりながらも、お酒がない人には「飲んでる?次なにを飲むの?」と気を使いながら・・・完全に姉御肌。こんな日本通の一面を見せてくれたシンディ。最後の夜に姉御シンディのちょっとした一面を見る事が出来てうれしかった。

 

こんな困難な状況の中での来日だったけど、ご本人もいろいろなプレッシャーやストレスを抱えていたことと思われる。でも、「本当に残ってライヴをやることができてよかった」と言っていた。「あの時点で帰るなんて考えられない。私にとっても忘れられないライヴになった。日本のファンのみなさんは本当に真剣に音楽を聴いてくれるし、いつもみんな親切で温かく迎えてくれるから、私もいつも力を与えてもらってるのよ。」と力を込めて語っていた。

 

いろいろあったけど、ホテルで見送って、長いようであっという間のジャパン・ツアーが無事終了。我々にはこの言葉しか思いつかない。改めて「シンディ本当にありがとう!」

 

●翌2012年3月に再び日本の地を訪れたシンディ。その時の模様はこちら

http://ameblo.jp/high-hopes/entry-11201351166.html