7月6日


ロンドンから帰ってきたので、ロンドンでのレポートを書いてみたい

まず第一弾はロジャー・ウォーターズのライヴレポート


ロジャー・ウォーターズ『狂気』全曲演奏!ニック・メイソンも参加

(July 1, 2006: "HYDE PARK CALLING FESTIVAL, LONDON"




ロンドンにてハイドパーク・コーリング・フェスティヴァルに出演するロジャー・ウォーターズのコンサートを見た。会場は超満員。キャパは4,5万人といったところか?昨年のLive 8ではこの同じ会場で、ありえないと思っていたピンク・フロイドの一夜限りの再結成が同じ場所で行なわれた。



あれから一年。その間いろいろな噂があったが、ギルモアのソロがでたり、それにともなうツアーも大成功となったりして、ギルモアのインタビューを読む限りでは彼自身は巨大なプロジェクトになるフロイドは今後やるつもりはない、ような発言をたびたびしていた。まあソロツアーも成功して、このサイズで気持ちよくやる方が性に合ってると思っているんだろう。。。でもそこはエンターテインメント業界、何が起こるかわからない。。。


さて、ロジャー・ウォーターズである。彼は今ソロツアーを行なっているのだが、今回のロンドンのハイドパークフェスティバルの大きな売りは、なんといっても「ロジャー・ウォーターズによる『狂気』全曲演奏」である。これは事件といえる。ロジャーはこんなことやらないと思ってた。前回のツアーでフロイドナンバーを惜しみなくやっていたのは日本公演で見たけど、何よりも彼のソロの曲と見事に溶け合っていたのが印象的だった。


でも今回はまんま『狂気』である。死ぬ前に見れるとは思っても見なかった。、「どーだ俺の曲は!俺がピンク・フロイドだ」って感じで開き直ったんだろうか??



7時半出演予定が30分押して8時頃スタート。8時でもロンドンはまだ全然明るくて日が高い。

一発目は『ザ・ウォール』から「In The Flesh」。

今回も例に漏れず1部、2部構成で、まず第一部はフロイド、ソロからの名曲集。ただ日本公演に「比べて、ほとんどピンク・フロイドの曲だったのには驚いた。名曲のオンパレードで、ソロからは「完全真理、パートI&II 」のみ。とにかくフロイドナンバーでグイグイいく。


ステージのバックの大きなスクリーンにはピンク・フロイド時代のレアな映像とともに様々な映像やイメージが映し出され、バンドが奏でるサウンドとともに計算され尽くされた演出で、規模は違えどロジャー自身がピンク・フロイドの初期からずっと試みてきた”サウンドとヴィジュアルの融合”のマジックをしっかりとここでも再現してくれた素晴らしいショーだった。68年の『神秘』からの「太陽讃歌」では60年代にピンク・フロイドがロンドンのアンダーグランドシーンで行なっていたライト・ショーのようなリキッド映像でサイケデリックな雰囲気を醸し出し、「クレイジー・ダイアモンド」ではシド・バレットの顔が大写しになり、そしてだんだん消えていく・・・。スクリーンにずっとシドの映像が映し続けられ、ここまでこの曲で最初から最後までシドを写し続けたのは初めてなんじゃないだろうか?さらに新曲「Leaving Beirut」を初披露!かなりメッセージ性の強い歌でスクリーンに歌詞が映し出される。


そして、第二部は遂にロジャーによる『狂気』全曲演奏!

驚くべきことに、ロジャーが最初に呼び込んだのは、ピンク・フロイドの盟友ニック・メイソン!このロジャーによる『狂気』全曲演奏にニックがドラムで全曲参加ということだ!



ドックン、ドックンの「Speak To Me」から「Breath」へなだれ込むときの美しさ。そして「On The Run 」では音がぐるんぐるん。このPAシステムはもの凄かった。「Time」ではキンゴンカンコン時計の音がぐるんぐるん、「Money」のキャッシャーの音がぐるんぐるん・・・。この広い会場でこれだけ音が素晴らしいのは本当に驚きだ。「Brain Damage」~「Eclipse」ではもはや昇天寸前である。


さらにアンコールではこれまた名盤『ザ・ウォール』より5連発!最後の「コンフォータブリー・ナム」はあまりにも素晴らしかった。


ピンク・フロイドの世紀の歴史的名盤の『狂気』を形作った本人であるロジャー自身のパフォーマンスで初めて見ることができた。それにしてもギルモアのピンク・フロイドのショーとは全く正反対の異質のものであった気がする。ギルモアのピンク・フロイドが究極の光と音の大スペクタクルショーであるのに対し、ロジャーのソロは音とヴィジュアルの融合は規模は違えど素晴らしいものがあったが、どちらかというと圧倒的にステージ上の人間=ロジャー自身のカリスマ性が際立っていたことである。


でも一つだけ・・・今となっては叶わぬ夢なのかもしれないが、個人的にはギターの音色がギルモアのディレイを深くかけたようなソロだったなら、どう聞こえたのだろうか?とついつい思ってしまう。今回ギターは頑張っていたと思う。たぶん一音も間違えずに完コピしていたと思う。サウンド、ヴィジュアルとともに、この二人の融合は夢物語なのだろうか???


SET LIST

FIRST HALF:


1."In The Flesh" イン・ザ・フレッシュ (from ザ・ウォール)
2."Mother" マザー (from ザ・ウォール)
3."Set The Controls For The Heart Of The Sun" 太陽讃歌 (from 神秘)
4."Shine On You Crazy Diamond " クレイジー・ダイアモンド (from 炎)
5. Have A Cigar 葉巻といかが  (from 炎)
6."Wish You Were Here" あなたがここにいてほしい (from 炎)
7."Southampton Dock" サザンプトン・ドック (from ファイナル・カット)
8 The Fletcher Memorial Home, ザ・フレッチャー・メモリアル・ホーム (from ファイナルカット)
9 "Perfect Sense (Parts I and II)"  完全真理、パートI&II (from 死滅遊戯)
10 Leaving Beirut(新曲)
11."Sheep" シープ  (from アニマルズ)


SECOND HALF:Dark Side of the Moon. 『狂気』全曲演奏

1.Speak To Me スピーク・トゥ・ミー
2."Breath (In The Air)" 生命の息吹き 
3.On The Run  走り回って
4."Time" タイム 
5.The Great Gig In The Sky 虚空のスキャット
6."Money"  マネー 
7.Us And Them アス・アンド・ゼム
8.Any Colour You Like 望みの色を
9."Brain Damage" 狂人は心に 
10."Eclipse"  狂気日食 


ENCORE:
1."The Happiest Days Of Our Lives" ザ・ハピエスト・デイズ・オブ・アワ・ライヴス (from ザ・ウォール)
2."Another Brick In The Wall, Part 2" アナザー・ブリック・イン・ザ・ウォール (from ザ・ウォール)
3. Vera (from ザ・ウォール)
4. Bring the Boys back Home,  (from ザ・ウォール)
5."Comfortably Numb" コンフォタブリー・ナム (from ザ・ウォール)


■Roger Waters Band:
Roger Waters (guitar, vocals, and bass) ,Andy Fairweather-Low (guitar/Eric Clapton),

Snowy White (guitar/Thin Lizzy), Doyle Bramhall II (guitar and vocals/Fabulous Thunderbirds),

Graham Broad (drums/Procol Harum), Jon Carin (keyboards/Who), Andy Wallace (keyboards/David Bowie), Katie Kissoon (vocals/George Harrison), Susannah Melvoin (vocals/Prince), and PP Arnold (vocals/Ike & Tina Turner).