※雑想メモ ウクライナ侵攻 | 故ヴログ

故ヴログ

不定期更新

ロシアのウクライナ侵攻については、恐らく軍事、国際政治、地政学などに明るい人がそれなりに解説をしてくれていると思うのだが、ひとまずそういうものを見ないで、今自分の中にある知識だけでどれくらい俯瞰できるか試してみる。

※なお、プーチンに対する批判や戦争反対の声明などは一切ないし、それが目的ではない。

 

 

まずは何故軍事侵攻ができたのか?という点を考える。これは逆説的に見れば軍事侵攻を妨げる要素を列挙して行けばいい。

・国民や議会の反対

・ウクライナ側の反撃

・国際社会の反発

・それに伴う様々な制裁

・更には武力による介入

・それら全般にかかるコスト

 

パッと思いつくのはこんなもの。

最初の点についてはニュースを見ているだけでは全然わからないので、強大な権力を持つプーチンが色々な手続きをすっ飛ばしたと考えることにしよう。

ただし当然のことながら軍や政府のトップとは前々からすり合わせをしていたはずで、昨日今日の思い付きで始まったことではない。

 

ウクライナ人の方がFacebookにした投稿がバズっていたが、ウクライナでは8年前のクリミア半島併合からずっと戦争をしているという認識だったそうで、そう考えると少なくとも8年以上前から考えられていたプランの1つが発動されたと見るべきだろう。

 

ロシアのようなでかい国には、というかほとんどの国には戦略を担当する機関があって、仮想敵国を定めて、その国と戦争になった場合どうするかというシミュレーションをやっているはずである。ロシアだったらアメリカ、日本、NATO諸国などが仮想敵国になっているだろう。

ではNATOに加盟していないウクライナがなぜ狙われたのか?

民族の歴史を掘り下げるには私はあまりにも勉強不足なのでそこは省くが、やはりロシアとNATOの間にある緩衝地帯の奪い合いに端を発する事態だと思う。ニュースでもそんな解説がされてたし。

ちなみに日本も地政学的に見ると、大陸国と環太平洋諸国の間の緩衝地帯となるようだ。

 

さて1番の問題が国際社会からの反発だ。軍事侵攻というプランを選んだ時に様々な批判や制裁を受けるのは当然予想されたことで、それを踏まえた上でなお侵攻を選ぶことがロシアの利になるとプーチンは考えたのだろう。ただしそれにはいくつか条件があったはずだ。

まず可能な限り早くウクライナを掌握する。全土を支配下に置く必要はなく、首都と軍事施設を陥落させて機能不全に陥らせればよい。

これは反撃を最小限に抑えて自軍の被害を軽減すること、他国に介入の余地を与えないこと、制裁を受ける期間をなるべく短くすること、などの目的がある。

実際ロシアの立場に立てばこれは上手くいっていると見ていい。電撃作戦で目的を達し、自国に有利な条件で戦闘(戦争ではなく)を終結させる。戦闘が長引くと経済制裁だけにとどまらず、他国から武力介入を受ける事態になりかねない。だからスピードこそが今回の侵攻の最大の要であったはずだ。

その後は堂々と「戦争をやめたんだから制裁も解除してよね」としたり顔で言えばいい。あくまでも強気な姿勢は崩さない。制裁を長引かせれば、今度はそれを理由に「国際社会がロシアを不当に扱っている」と言い出すだろう。

 

素人の私にも自信を持って言えることは、この後どういう展開になろうともプーチンの口から「自分の方にも少しは悪いところがあった」といった弁は絶対に出てこないだろうということだ。

あれだけのことをしておいて、なんでそんなことが言えるの?と思う人もいるだろうし、それはプーチンがとち狂った軍国主義の独裁者だからと結論づけて片付けたくもなるだろう。

だがそうやって個人の問題として物事を捉えてばかりでは「なんで戦争なんかするんだろうね?」という素朴な疑問の答えは出ないと思う。

「みんな仲良くすればいいのに」と考える人もいれば、「寄らば斬る」という風に考える人もいるという事実をまずは理解することから始める必要がある。そういう隣人と付き合っていくには「仲良くしようよ」と訴えるだけではやっていけない。

 

ウクライナ侵攻が始まってから、以前感想文を載せた『戦争プロパガンダ 10の法則』という本を改めて読み始めた。

これは戦争における虚と実の虚について述べた本だが、理解が進んで来ると、実は平和にも虚と実があり、戦争と平和は表裏一体のものであるという風に見えてくる。(これに関して論じるには、そもそも戦争及び平和の定義から始めなくてはならないがそれは別に機会に)

多分このテーマについては一生考えていくことになるだろう。