ナメクジが家に出るのだが、いつ見ても不気味だ。
愛犬が食事した後の皿に食べかすを求めて出てくることが多いのだが、気色悪いと言ったらありゃしない。
わたしが、ナメクジがダメになったのは、20代の頃東京の江古田で入った定食屋が原因だ。
確か生姜焼き定食か何かを頼んだのだが、それにスープがついてきて中を見たらシイタケが一片入っていた。
スープのカップを手に取り、口にぬるいスープを入れた。
その時、シイタケも入ったので噛んだのだが、何か様子がおかしい。
ジャリッとする。
慌てて口から手に出すと、シイタケだと思っていたものがナメクジだったのだ。
店主にその事を告げると、慌てた風で「今回はお代は頂きませんので、申し訳ありません」と言ってきた。
メインには一切口にしていなかったが、腹立たしいのと食欲が失せたのもあってそのまま店を出た。
それ以降、その店に行くのは止めたのはもちろんの事だ。
今夜現れたナメクジをティッシュでとって、トイレに流しながらそんな事を思い出した。
気持ち悪さを振り払ってくれる音楽をこんな時は聴くしかない。
それで、選んだ一枚がコレだ。
ジャズだけにとどまらず、クラシック音楽や指揮者、映画音楽でも名を馳せたピアニスト、アンドレ・プレヴィンの1960年録音の『ライク・ブルー』だ。
デヴィッド・ローズ・オーケストラとの共演の一枚。イージーリスニングに近いが、プレヴィンのプレイはしっかりジャズだ。
ストリングスがバックにあるのでひじょうに聴きやすい。
ジャズが苦手な人も、こういう一枚から入ればとっつきやすいと思う。
簡単にプレヴィンの経歴を述べておこう。
10代の頃からジャズを演奏し、1940年代に黎明期にあったビ・バップスタイルに影響を受け、「天才少年」と呼ばれていた。
1953年からはウェストコースト・ジャズ界の名トランペット奏者、ショーティー・ロジャースの楽団に所属した。
1960年代ごろまではジャズ界で活躍をしていたが、その後、映画音楽を数多く手がけ、ピエール・モントゥーに指揮法を学びクラシックの世界に入る。
このアルバムを聴いてナメクジスープは似合わない。
極めて上品な一枚だ。
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