山下達郎 /『Cozy』 | ongaku:キョウノイチマイby『飄逸庵』

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激しい雨降りの朝。

湿気が不快だ。

身体にまとわりつく様な湿気。

肌触りがよくないのだ。

 

これが梅雨だ。

 

ジトジトする。

濡れ縁に大量のナメクジが出てきて気持ちが悪い。

まだ、東京に住んでいた頃、定食屋での出来事を思い出す。

 

スープにナメクジ。

 

頼んだ定食についてきたスープにナメクジが入っていたのだ。

初めは刻んだ椎茸が入っているのかと思ったのだが、よく見るとナメクジだった。

店の人に「スープにナメクジ入ってますよ」と伝えたら、「え!」とまるで新派の演劇のように驚かれて、スープのカップを持って厨房の中に消えていった。

 

そしたら、大将がスープのカップを持って現れてこう言った。

「申し訳ありません。今日はお代の方は結構です。あ、こちらは新しくついだスープなんで」

と、新たなスープのカップを置いていった。

 

どういう事だ。

 

新しくカップに注ぎなおしても、大元のスープ鍋は同じではないのか。

問題はナメクジが見えるか見えないかの問題ではない。衛生管理の問題だ。ナメクジが不本意にも出汁になっているのを知ってしまったこたらからすると、物体が入っていないスープを出されても困るではないか。

 

その一件があって以来、そこの定食屋に行くことはなくなった。

 

九州に引越して数年後、駅周りの開発によってその店が無くなった事を聞いた。

あの懐かしい風景は今はもうない。

なんだか、寂しい気持ちになる。

 

こんな、ジメジメした日はこんな一枚を聴いて吹き飛ばしたい。

 

山下達郎が1998年にリリースした11作目のアルバム『Cozy』だ。

 

11年ぶりのアルバムを出すことで最近音楽業界は山下達郎の話題で持ちきりだ。

そんなタイミングで、我が家のライブラリーの順番が山下達郎の順番が回ってきた。そしてたまたまレビューすることになったのが本作だ。

 

どこまでも爽やかだ。

 

本作は山下達郎の作品の中でも彼を代表する一枚といってもいい作品だ。

どのトラックも耳なじみがある人が多いであろうアルバムだ。

 

この作品は、前作『Artisan』から7年経ってリリースされている、その間色々なすったもんだがあって、期間が空いたらしい。

 

そんな事を微塵も感じさせない、クオリティーの高い一枚だ。

 

発売までに、多くの曲がCMなどで使われていたこともあり、耳なじみのあるアルバムになっているのだろう。ある意味「ベスト盤」的な要素を含んだアルバムとなっている。

 

前作からリリースするまでに50曲以上作っているということで、この人の才能に改めて感心した思い出がある。

そういう思いにさせたアーティストは他にプリンスくらいしか思いつかない。

 

本作の中で個人的に好きな曲は①『氷のマニュキア』。

この曲は、ギターソロが中々納得いくようにいかず、佐橋佳幸に依頼したのだが、佐橋のソロで上手くいかなかったら収録されないはずだったが、佐橋が一発OKを出したので世に出た曲。

疾走感のあるグルーヴが一曲目に相応しい。

 

2022年の今、『SOFTLY』が発売され大騒ぎだがまだ聴いていないが、やはり爽やかなシティ・ポップに出来上がっているんだろう。

 

 

 

 

 

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