かつて、子供の頃裸足健康法といって、年中外でも裸足で過ごした事がある。
強制的だ。
冬は寒くて仕方がなかった。
その時に靴のありがたみを知ったものだ。
今では靴無しの生活は考えられない。
ただ、その分靴を履いていて勝手が悪くなることがある。
靴の中に何かゴロゴロするものがある。
何が入っているのかわからないというのは気持ちが悪いものだ。
大抵の場合、石ころだ。
どういう状況で石ころが入るのか分からないが、勝手が悪い。
かといって、雑踏の中で靴を脱いで、靴を持ち、靴を振って石ころを出すのはどうかと思う。
それを見かけた人はなんと思うだろうか。
『道端で靴を振る人』
ほとんどの人はどうでもいいと思うだろうが、ごく稀に「これは何かの合図ではないか」と思う人もいるかもしれない。
『靴を振ることでUFOを呼ぶ』
相手がUFOなだけに、こういう訳の分からないやり方が無くはない。
『靴を振ることでマッチングアプリで初めて会う人に気づいてもらう』
2人だけの合図だ。初対面だ。わかりやすくなくてはならない。そこで、靴を振ることにした。
何の話だ。
靴の中に異物が入った時の話しだ。
スマートに異物をとる方法は無いものだろうか。
ここひと月くらい、小石がスニーカーに入っている。脱いだら忘れる。履くとゴロゴロする。
不快だ。
そんな靴の中を気にしながら聴いている一枚がコレだ。
矢野顕子の1977年にリリースしたセカンドアルバム『いろはにこんぺいとう』だ。
山下達郎は言う。
「歌詞に最も食べ物が出てくる作詞家と」。
言われてみると確かにそうだ。本作もタイトルにすでに『こんぺいとう』が出てきている。
幅広い音楽性と鋭い感性を持ち、独創的な歌い方、作詞・作曲家であるためその音楽は奇矯な印象を与えることもあるが、老若男女問わず幅広い支持を集めている。
元坂本龍一の奥さんで坂本美雨のの母親という認識も強いが、坂本龍一は二人目のご主人で、矢野顕子の「矢野」はデビュー当時に婚姻関係にあった作曲家の矢野誠の「矢野」を今でも使っている。
本盤は彼女の特徴を良く表している一枚だ。
一部は1973年にキャラメル・ママと録音されている楽曲が使われている。
本作で使用したシンセサイザーを機に電子音楽へ傾倒していく。
本作のプロデューサーは、当時のご主人である矢野誠が携わっている。
一曲一曲の個性がしっかりあるので聴きごたえがあるが、その中でもわたしが好きなのが、先日他界した小坂忠の代表曲をカバーした『ほうろう』。当時ジャイアンツの野球選手だった『行け、柳田』、はっぴいえんどのカバー『相合傘』、そしてラストを飾る『家路』と『やませ(東風)』だ。
ラスト2曲は郷愁を誘うメランコリックな流れでまるで映画を観たような気にさせてくれる。
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