美容室に3ヶ月から半年毎に髪を切りに行く。
その度に老化を痛感する。
仕上がり時に後ろから二面鏡で後ろを確認するのだが、頭頂部がどんどん薄くなっていっている。
いわゆる薄毛だ。
薄毛も今は治療薬があると聞く。
しかし、わたしは髪ごときに抗いたくない。
これ以上薄くなったらスキンヘッドにする。
元々、坊主頭の時期の方が人生で長いのでスキンヘッドになっても気にならない。
そもそもそういう運命なのだ。
父方の家計が禿げ系統なのだ。
わたしの祖父は、ツルツルだった。
そして、その息子であるわたしの父も、ほぼほぼツルツルだ。
当然、私もなってもおかしくない。
なるのは問題ないのだが、老化を突きつけられることにショックを受けるのだ。
もうすぐ50歳になるが、気持ちではそこまで歳を重ねた事に自覚がない。
哀愁だ。
知らず知らずのうちに枯れていっているのだ。
そして、思うのだ。
『自分の人生、思っていたのと違う』だ。
どこでどう間違えたのか分からないが、今日がある。少し前に50を前に軌道修正する為にやりたい事、やり残した事をすると決めた。
それを教えてくれたのが頭頂部の薄毛だ。
薄毛は自分の何かを変える力を持っている。
そんな『老い』を感じながら聴いている一枚がこれだ。
Monday 満ちるの1995年にリリースした3枚目のアルバム『Jazz Brat』だ。
ご存じの方も多いと思うが、彼女はサックス奏者のチャーリー・マリアーノの父、ジャズピアノ奏者の穐吉敏子を母に持つ、持って生まれたジャジーな環境に生まれ育った。国籍はアメリカで出身地は東京だ。
デビュー当時は母型の姓「穐吉満ちる」を名乗っていたが、ファースト・アルバムをリリースするタイミングで「Monday 満ちる」に改名。
本作から、ヨーロッパ全域、アジア・オセアニア圏、カナダ、南アメリカ圏にリリースされるようになり海外からも注目を浴びるようになる。
アシッド・ジャズ、クラブ・ジャズのグルーヴを感じさせる作品作りで、とりわけ本作はジャズ色が強い。
本作に収録されている作品はフロウ感が心地よく、夜に聴くと心が落ち着く作用がある。
今から20年ほど前だったと思うが、わたしがまだ東京に生活の場があるころ地下鉄で彼女を見かけたことがある。
端正な顔立ちとスラっとしたスタイルで明らかに周りの人たちとオーラが違った。
そんなことをこのアルバムを聴きながら思いだした。
特に本作で好きな曲が『Givin’ It』。彼女はラップにチャレンジしているのだが、それが見事に上手い!
グルーヴが夜中に最適だ。
何枚か彼女の作品を所持しているが、このアルバムがダントツで好きだ。
フワフワになるのだ。
アシッド・ジャズの名盤の特徴は、『フワフワになる』のだ。
僕の好みのせいだろうが、ガツガツにキメにくるスタイルよりフロウ感のあるスタイルの曲を愛でる傾向がある。恐らく張り切っている感が苦手なのだ。
そのアーティストにではなくて、オーディエンスの雰囲気に対してガツガツしたものを感じると恥ずかしくなるのだ。
自然と、ゆらゆらと音楽に身を任せる位の方がいい。
張り切っているのを見るのは恥ずかしい。
そういう点で本作は心地よい。
フワフワになるのだ。
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