「怪物と出会った日」
井上尚弥と闘うということ
落合正範 著
入院してから読んでますが、その帯にある
〜これは令和版「敗れざるものたち」だ〜
という表記に納得であります
ノンフィクションの巨匠 沢木耕太郎さんの名著ですな
カシアス内藤さんにフォーカスした「クレイになれなかった男」はボクシング・ノンフィクションの極点のひとつでしょうなぁ
でね
巻頭を飾る 「佐野友樹」さんの話からして泣けます
当時、モンスターとの決戦、その生中継を観た記憶はもちろんありますが、ここまでの「背景」と「想い」が詰まっていた、という事実はもちろん知らなかったし、衝撃的でもありました
未読の方もいるだろうし、内容には触れないけども、ぐ…っときます
また
この落合さんの文体が柔らかくて、朴訥で、不純物をきれいに「濾過(ろか)」したような、わかりやすい透明感あるのよ
すぅ〜っと浸透してくる
でさ
入院が決まる前、惹かれてはいたけど読まずにいた…と僕は書いてました
その理由なんだけど
井上尚弥という「日本史上最高傑作のボクサー」の「拳跡」はまだ道半ばなんだから、ちょっと振り返るのは早すぎる
…という気持ちが強くて抵抗感があった、と
今でも、そんな気持ちがないわけではない
まぁ、早く読めば読んだだけ、「あの一戦」を反芻してたくさん味わい直せる…とは言わずもがな…なんだけども
さて
けども
井上尚弥選手自身が、もし、この本を熟読されたら…
こりゃ
さらに
もっともっと
とんでもなく
「強くなっちゃうじゃん」
と思いましたわ
確か、井上尚弥選手自身がこのノンフィクションにXで触れていた記憶あるから、読んでいるはず…とは思う
「敗者のグローブは、勝者のグローブより重い気がする」
…って、一節があるんだけど
なるほどなぁ
わかる気がする
ん〜
沁みる
でさ
最近、「夢の中」で井上尚弥選手とよく会うのよ
僕は「夢」は見るけど覚えていないたちなんだけど、わりと、モンスターに会った「夢」は覚えているのよ
そんで、「夢の中」の井上尚弥選手なんだけどさ
「超素っ気ない」
のよ
で
僕はいつも「怯えてビクビク」してるのよ
いやはや
これ、フロイト的なる「夢判断」ではどういう扱いになるのかねぇ⁇
こりゃ
僕はやっぱり「怪物」を恐れているってことなんかなぁ⁇
で、まだ読んでる途中なんだけど
この「怪物と出会った日」って、あくまで「モンスターと戦った側」から目線で描かれるから、その『実像』はフィルター越しという限界もあるわけ
「拳を合わせたものだけが感じたもの」…的なね
ただ
それは表現が物足りない…って意味じゃなくて、そこがまた「面白い」部分なんだって気もしてる
その「輪郭」を、かろうじて感じられる、という感覚がミステリアスで楽しい
あえて
「怪物そのもの」に飛び込まない…というアプローチは秀逸
モンスターの「実態」、その「破格」と「異端」がさらに研ぎ澄まされる
「怪物」は頭の中でぐんぐんと膨らんでゆく
…ってことで
読後の「感触」が、実に楽しみであります
御愛読感謝