1980年代のテキサスを舞台に、麻薬密売に絡んだ大金を手にした男が非情な殺し屋に追われるサスペンス。監督は映画『ファーゴ』のコーエン兄弟。大金を手にした男を映画『アメリカン・ギャングスター』のジョシュ・ブローリンが、彼を追う殺し屋を映画『海を飛ぶ夢』のハビエル・バルデムが、殺し屋を捕らえようとする保安官をトミー・リー・ジョーンズが演じる。独特の緊迫感と恐怖を演出し、人間と社会の本質をあぶり出すコーエン兄弟マジックが見どころ。
狩りをしていたルウェリン(ジョシュ・ブローリン)は、死体の山に囲まれた大量のヘロインと200万ドルの大金を発見する。危険なにおいを感じ取りながらも金を持ち去った彼は、謎の殺し屋シガー(ハビエル・バルデム)に追われることになる。事態を察知した保安官ベル(トミー・リー・ジョーンズ)は、2人の行方を追い始めるが……。
なんつうのかな
「人間界の秩序崩壊」が如実に顕になってゆく…という映画であり
「今、正義と良心は腐敗し、人類は抗えないほどの極悪のうねりの渦中にあり、今まさに、我々はこの途方もない地獄で 無様にもがいている」
…という感覚に突き落とされたかなぁ
「極上なるサスペンス」を期待して映画館へ足を運び、実際、手に汗握る、逃亡者と追跡者と捜索者の駆け引きを楽しんでいたわけ…
が
観ているうちに、あれ⁇ となる
映画表現が「狂気」を容赦なく描き、なにやら、自分の中の「常識」で映画の意味を「測る」ことが不能に陥ってゆく…と
つまり、「理解不能」が積み重なり、「操舵不能」の小舟で荒波に揺られる…と
内容には触れないようにするけど、鑑賞後の後味を語るなら…
これほどまでの「絶望感」を味合わされる映画を僕は他に知らないな、かな
圧倒的なる「暴力」描写と、異常なる「無道」を目の当たりにするわけですが…
ハッキリ言って、「狂っている」と
ここまで
「希望がない」
というこの感覚は、あまりに凄まじい
いわば、「恐怖の真髄」に触れているのかもしれないなぁ
で、ラスト近くで、老警察官の トミー・リー・ジョーンズが、年老いた父親を訪ねて語る言葉に、「映画のテーマ」が浮き彫りになるわけだけど…
そこもまた、圧倒的なる 「絶望感」 が漂う…と
「大いなる悪意が、なにもかもを飲み込もうとしている」
という、この「無力感と虚脱感」たるや、たぶん、映画史上最高到達点かなぁ、と
スコセッシ監督の「タクシードライバー」における「正義」と「狂気」の危険なバランスのリアルにも度肝を抜かれたけど…
また
キューブリック監督の「博士の異常な愛情」も「人類滅亡」を描いて「ニヒリスティックの極み」に達していたけど…
けど
コーエン兄弟の「ノー・カントリー」が1番「ヤバイ」かなぁ、と思う
まさに、徹底的に「無慈悲」なんだよ
この、見た目も行動も「狂気」に満ちた暗殺者は、マジで夢に出てくる…
たぶん、2、3日は苛まれるな
世界は、人間は、いや、神ですら、この「悪意」を「止められない」…と
いやいやいや
僕がこれまで鑑賞したあまたの映画作品の中で、もっとも「恐怖」したのは、やっぱり、この「ノー・カントリー」かなぁ
「博士の異常な愛情」と「タクシードライバー」を掛け合わせて、さらに、さらなる「狂気」と「悪意」を注入した映画…が、「ノー・カントリー」という不世出なる大傑作かと…
いやぁ
個人的には
「ダークネス」を描き切った歴代最悪にして、最恐の映画…だと考えてます
ぼちぼち、もう一度観なくちゃな、と、最近、考えてます
でも、観たら観たで、また、あの顔に苛まれるんだよなぁ〜⁈
未見の方は、ぜひ 「戦って」欲しいなぁ
人類の未来と向き合うために、「戦って」欲しい
僕の記憶の中では…
映画の中で「希望」や「救い」は描かれてはいない…という印象あるんだけど
今、改めて考えてみれば、この「最恐映画」を製作・監督したコーエン兄弟はさ
人類映画史上「最恐最悪」を描き抜くことで、「人類愛」を切望し、現代社会の孕んだ「悪意の危険性」への警鐘を鳴らしたのだ…と考えられるな
ただね
見終わった直後はさ
あまりの恐ろしさに我を失っているから、そんなふうには考えられなかったのよ
いやぁ
やっぱり、見直さないとダメだわ
御愛読感謝
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