酸いも甘いも見せてくれた長嶋選手の、引退に寄せて… | ボクシング&ロック野郎 higege91の夜明けはまだか?

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人生の曲がり角に遭遇したボクシング&ロック・マニアhigege91。暇を見つけてはホール通い。ああ、俺は戦っているか!? ああ、俺は俺の求める『俺』に近づいているのか!?

長嶋、引退試合も全力投球で有終の美…スポーツ報知



先ずは、お疲れさまと申し上げたいですね…



長嶋建吾選手の通産戦績でありますが、39W18KO4L2D…でありますか?



45戦にも及ぶ、その長く険しい戦いの中で、我々は数え切れないほどの喜怒哀楽を分け与えてもらいましたね…



とにもかくにも、「感謝」の気持ちが溢れてまいります…



思えば、まさに、剥き身のカッターナイフのような鋭さが武器であった若かりし長嶋選手と、ベテランとしてしぶとく戦い続けた最近の長嶋選手と、僕の中ではなんだか別々のボクサーのように感じることがある…



かつて、世界挑戦も果たした強打者・渡辺雄二さんをそのスピードか溢れるフットワークと切れ味抜群のサウスポーのコンビネーションで痛めつけたあの試合こそが、まさに、若かりし長嶋選手のイメージ…



そして、三十路に突入し、いつかのキレとスピード感を失いながらも、しかし、巧みなクリンチワークや距離感を駆使しながら負けないボクシングに徹した最近の長嶋選手…



どちらも、物凄く馴染み深いですよねぇ…



世界戦はあのシリモンコン相手に2Rで倒されてしまいましたが、しかし、ボクサーとしての「生き様」を余すことなく体現してくれた、まさに、稀有なる息の長いボクサーとして、ずっと第一線で戦ってくれましたね…



これ、やっぱり、凄いことですよねぇ…



リック吉村さんを破って世界再進出を目論んだ頃、もう一度挑めるような気もしていたのですが、しかし、日本ライト級タイトルマッチでこちらも息の長いベテラン選手ですが、あの嶋田雄大選手と戦って僅差判定で敗れてしまったあの一戦も忘れられないなぁ…



これ、もう一度みたいなぁ…



本当にお疲れさまでした!!!



ってことで、いつかの生観戦記を再収録させていただきます!!!



しかし、三垣選手にダウンを奪われ、王座を奪われた最近の敗戦、物凄く切なかったなぁ…


ボクシング&ロック野郎    higege91の夜明けはまだか?-Image186.jpg


あぁ、これ、この写真ですよねぇ…



でも、ボクサーという存在の「華やかさ」と「切実さ」を本当に余すことなく見せてくれましたね、長嶋選手…



感謝!!!



そして、お疲れさまでした!!!



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2006 4 10 後楽園ホール



来た、お待たせしました!!! メインイベント日本ライト級タイトルマッチ!!



日本ライト級チャンピオン
伊藤俊介 19W14KO2L1D
×
日本ライト級1位
WBCライト級21位
元東洋太平洋スーパーフェザー級チャンピオン
元日本スーパーフェザー級チャンピオン
長嶋建吾27W15KO3L2D

 

ラッキー王者…だなどと言われて気持ちのいいはずのない王者・伊藤(王座戴冠戦は前王者・久保田和樹の瞼を切り裂くも久保田の猛反撃にあってダウンを奪われ、結果「出血が激しすぎた」為に試合続行不能となった久保田が2RTKO負けを宣告され、伊藤が有効打によるTKO勝利を手にした…)は初防衛戦で実力者・長嶋建吾を迎え撃つ!! 



キャリアと技術で圧倒的に上回る長嶋が伊藤を細かく痛めつけての判定逃げ切り…を予想に掲げてきたが、実は伊藤の「破壊力のある右」が炸裂したら1っ発で倒されてしまうんじゃないか?って恐怖感を感じ続けていたHigege91…。



両者入場…、お!?



分厚く、大きな伊藤に対して三十路の長嶋の身体は大分小さく見えるなぁ…。こんなに「差」があるのかよ。ってことは「パワー」だってその分だけ…!?



長嶋VS伊藤



1R 静かな立ち上がり…だが、アマ出身の世界挑戦まで果たしている元日本・元OPBF王者、サウスポーの長嶋が鋭い右からの左ストレートを叩き込む。ダメージ的な優劣はないが手数、クリーンヒットで長嶋か?長嶋10-9 


2R 長嶋、左ボディーに左ストレート!! かつてはそのスピード感溢れるボクシングで日本を席巻した長嶋であるが、流石に三十路になり体力的な限界が囁かれている。しかし、キャリアがある。出入り激しく細かく打ち込んでゆく。強打の王者・伊藤は迎撃体制で大きな右を振るうも空転。しかし、この空振りにぞっとするHigege91。長嶋の1っ発の2倍はパンチあるな、こりゃ…。長嶋10-9



3R しかし、身体的なアドバンテージを生かせない伊藤。手数と積極性が見えない。長嶋が極端に良かったわけではないが、きちんとワンツーを叩き込んでいる以上、ポイントは長嶋だ。 長嶋10-9



4R 伊藤の空振りが相変わらず恐ろしいが、空振りは空振りなのだ。ジャブから接近、距離を殺して左右を思い切り叩き込みたい!! って気持ちで僕は見ていたが、長嶋のスピードについてゆけない印象。軽く打ち込まれては返すパンチの先に長嶋はもういないのだ。長嶋10-9



5R ガードを固めてにじり寄る伊藤、ジャブがあまりなく、1っ発狙いの右は空振りだ。そして、ここへきてリズムに乗ってきた長嶋の動きに「キレ」が見え始める。かつてのスーパーフェザー級時代のテンポの良いフットワークが蘇ってくるようだ。細かく上下に跳ねながら鋭くワンツーを突き刺す!! こ、これは…、昔の長嶋建吾だぁ!! 長嶋10-9

 

6R 伊藤よ、なぜもっと打って出ないのだ?パワーで圧倒的に勝るのに、長嶋の細かいパンチが恐いのか?このまま「流れ」を作れなければ終わってしまうぞ。…と、逆に自分のボクシングを展開し続ける長嶋が伊藤にロープを背負わせる場面まで作る。長嶋は「引退覚悟」だ。積極的だ。伊藤よ、見せ場を作れ!! 長嶋10-9



7R 伊藤は単発の大きな右狙いだ。スピード感溢れる長嶋の踏み込みが冴える!! …と、ついに伊藤の右ストレートが長嶋の顔面に突き刺さった!! 真っ直ぐ後ろに頭が跳ね上がった長嶋!! 効いたか!? 伊藤がここぞとばかりに攻めるも、そこは老獪なベテラン、キャリアで上回る長嶋だ。クリンチを多用してなんとか凌いだ。しかし、伊藤の右は恐いし、「1撃」で試合をひっくり返す力を秘めている。初めて伊藤の10-9



8R さっきの1っ発で気を引き締め直した長嶋は打って離れるボクシング、…が、伊藤の距離で相打ちのカウンターを浴びる。やばいか?…が、この苦しい局面で打って出た長嶋!! 終了間際に左フックカウンターを伊藤に叩き込んだ!! 長嶋 10-9



9R 伊藤はパワーと厚い身体を生かせない。ここでバッティング発生!! 右目をカットだ。両者決定打をかくも、互角の展開。長嶋がここぞでひるまない。 互角 10-10



R10 ラストラウンド!! もう後のない長島建吾だが倒しに出てきた伊藤のプレッシャーの前に流石に苦しい。必死で体を寄せてのクリンチ!! 伊藤のボディー打ち、さらにショートの右アッパーが長嶋を捕らえる。…が、長嶋は辛そうだ。伊藤が攻めるも巧みにしがみつきパンチを殺す長嶋。…やばい、長嶋疲れちゃったか?相当に辛そうだぞ。しかし、伊藤はそんな長嶋を突き放すことも出来ず、攻勢を奪うにとどまった。


長嶋、逃げ切った。伊藤10-9



Higege91の採点 98-93 で 挑戦者・長嶋建吾の勝ちー!!


公式の採点 97-94 99-93 99-93 で、日本ライト級、新チャンピオン、長嶋建吾ー!!!


三十路の長嶋が大差判定で勝利をもぎ取った。嬉しい気持ちもあるが、正直、不安を感じずにいられない。だって、体力が衰え、スピードを失い、パワーの足りないこの『ライト級』とい領域で今後どのように戦ってゆくのか…?戴冠は嬉しいが、一体、どんな「これから」が待っているのか!?


しかし、伊藤俊介、残念であった。 終盤の接近ガチガチ勝負の局面を序盤で作れていたら負けなかったと思う。一発に頼りすぎた結果は残念だが満足できるものではなかった。左の少ないいきなりの『右』はそうそう当たらない。百戦錬磨のサウスポー・長嶋相手に序盤ゆっくり待ちすぎた。しかし、予想以上に序盤中盤の長嶋がリズムに乗せすぎたことが敗因と見るも、もうちょっと『戦って』欲しかった。



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2006 9 9 後楽園ホール


日本ライト級タイトルマッチ


チャンピオン 

長嶋建吾 30歳 28W15KO3L2D

×

元日本ライト級チャンピオン 

同級2位 久保田和樹 28歳 15W3KO6L2D


 前王者・伊藤選手を圧倒的な技巧とスピードで大差判定に下した2階級制覇王者・WBC世界ランク15位、長嶋建吾、30歳!!


世界初挑戦でシリモンコンに2RKO負け… 



順調だったキャリア…がもろくも崩れ去った。その後、嶋田雄大選手に判定で破れ、もうだめか!? あのスピード感あふれるボクシングはもう死んでしまったのか!?


いやいや、まだまだ!!! 日本王座を再奪取、再び復活!!! 


…が、前戦は圧倒的な勝利だったものの、往年のスピード感は衰えた印象、さらに大降り1発狙いの伊藤選手の雑な攻めにも助けられた感が残った…。また、ライト級としては小柄で非力…なのだと改めて痛感させられた最終盤の戦い振り… であった。


さて、今夜の相手はその伊藤選手に初防衛で陥落させられた前前王者の久保田選手…


序盤でまぶたを切り裂かれ、その後奮起してダウンを奪う気迫を見せるも負傷TKOで残念な陥落を喫した久保田選手…。技巧とスピードではかなわない…が、持ち前のしぶとさとマイホームパパの意地を見せてしぶとくしぶとく接近戦から活路を見出したい!!!


長嶋VS久保田2


1R 立ち上がり、王者・サウスポーの長嶋は右ボディーフックから左ボディーストレート!!! 持ち前のフットワークを駆使してガードをあげて接近する久保田の出鼻をくじく!!! さて、今夜の長嶋、手数もスムーズ、でスピーディーな足捌きを早速披露。しかし、挑戦者・久保田、力みすぎか、硬い印象… 長嶋 10-9


2 3 R 懐でガチャガチャ打ってダメージを与えたい久保田だが、長嶋の「足捌き」と「巧みなクリンチワーク」の前に殺されてしまう。今夜の長嶋はよく「右」が出た。右フックを引っ掛け、すかさず久保田の左へ…振り返った久保田にいきなりの左!!! 長嶋のスピードがさらに加速して行く…。久保田、負けじと接近戦からショートアッパーを突き上げるも単発、体を密着させられ、攻撃を封じられてしまう…。厳しい、このまま打って離れて…を続けられたら中盤以降にはKO…の二文字が見えてきそう… それぞれ長嶋の 10-9


 長嶋VS久保田1


4R 被弾を蓄積させられながらも前へ前へ…と出てゆく久保田のパンチが徐々に長嶋に当たり始めたか?久保田の右アッパーが入ったように見えた。接近戦では巧みなクリンチに封殺されるも、有効打の印象は互角に見えた。互角10-9


5 6 R 久保田の右ボディー打ちに沸く…が、長嶋の足と右拳は止まらない…。長嶋、久保田の届かない遠距離から長い右フックから左ストレートを打ち込む!!! 思うような接近戦ができない、苦しい久保田…。 しかし、セミの永井VS仲…ではないが、「技術差」…を補うには我慢強くしつこくしつこくチャンスを待ちながら手を出してゆくしかない…。久保田、ガードを固めて必死の前進!!!

長嶋、完全にリズムに乗った。久保田のダメージが限界に達するが先か、それとも長嶋のスタミナが底をつくのが先か!? いや、今夜の長嶋は伊藤戦の中盤以上に、「往年のスーパーフェザー級時代」の長嶋…なような気がした。スタミナは切れないだろう…。ここまで調子付かせてしまった久保田は厳しい展開だ。それぞれ長嶋の 10-9


7R 長嶋、リングを縦横無尽に動きながら久保田を滅多打ち!!! 細かく鋭い右リードから左ストレート!!! さらに引っ掛けるような右フックの連打!!! …で、いきなりの左!!! 最終盤、久保田は足が止まり、ニュートラルコーナーに詰まってしまう…


…パパー!!!!


ああ、子供たちの声が聞こえる!!! これだけ打たれながらも久保田を奮い立たせたものは、きっと「家族」…であったに違いない。それほど圧倒的な優劣差が見て取れる展開…であった。しかし、このR終盤の長嶋の連打は非常にダイナミックであった。長嶋10-9


8 9 10 R 長嶋のスピードは最後まで衰えなかった。久保田のボクシングはひたすら「我慢」してチャンスを待つボクシングにしかならなかった。早くて鋭い長嶋、さらに今夜の長嶋は気弱になる場面が全くなかった。自信がみなぎっていた。細かい右リードジャブから右フック、右ボディー、いきなりの左ストレートも上下に突き刺し、久保田は延々と打たれ続けた。その久保田の飛び込んで体を伸ばして打ち込む左ジャブ…も時々当たったが、時々…でしかなかった。最終R、久保田は必死に前へ出たが、長嶋にはもうすべて見えていた…。


完全に見切られていた。


試合終了を告げるゴングが打ち鳴らされ、マイホームパパのタイトルマッチは終わった…。


それぞれ長嶋の10-9…



higege91の採点 100-91で王者・長嶋の初防衛成功!!


公式の採点 99-92 100-91 100-91 の「3-0」で、王者・長嶋の勝利!!!


…今夜の長嶋は強かった。思い切りがよく、あれだけ積極的に動き、手を出せる…とは。


自信に満ち溢れていた今夜の長嶋…



一方、敗れた久保田選手、そのしつこさは発揮するも、「巧さ」を突き崩しにはいたらず…であった。チャンスと呼べるビッグヒットも殆ど見られなかった。残念ながら「完敗」であった…。


勝利者インタビューで長嶋選手、久保田選手について、こんなことを…


長嶋「…軽量のときも、試合前に偶然トイレで出くわしたときも、丁寧にお願いします…っていう感じの「いい人」で、試合中も頭が当たる度にすみません…っていう感じの人で、ちょっとやりにくかったかなぁ…」


ぐ…


試合中にも丁寧に謝り続けた前前王者・久保田選手…


最近赤ちゃんが生まれたばかりだという久保田選手…


そう言えば、僕は久保田選手がついに戴冠した田中光吉選手との「パート2」、生観戦していました。


僕は田中選手を応援しに行ったので、その時は悔しい思いをしたのですが、今回もまた悔しかったです…。


…で、なんで久保田選手が負けて悔しかったかと言えば、ちょっと一方的過ぎたから…なのでした。



悔しいだろうなぁ… もう少し「見せ場」を作りたかった。



三十路ボクサー応援…に使命感を燃やすhigege91ですが、今夜は正直、どちらが勝っても良かった。強い方が勝つ…のであるが、28歳にしてなんだか「三十路」っぽい久保田選手…でしたので、その両者の戦いを、ただ、じっくりと見つめたかったのであります…。


長嶋選手・・・・ 今夜は強かった。後のないボクサーである30歳の長嶋選手、素晴らしい「切れ」と「集中力」であった。


さて、敗れてしまった久保田選手の進退はいかに…


かわいいお子さんがリングサイドに見えました。


ぐ…


マイホームパパボクサー敗れる …


しかし、長嶋選手、今夜はラップは歌わなかった。…って言うか、リック吉村選手に判定勝ちした時にしか歌ってはいないんですよね?


でも「入場曲」…渋かった。なんの曲かわかりませんでしたが、カッコ良かったですねぇ…


三十路の味わいと落ち着き…存分に味あわせていただきました。


三十路ボクサーの「ダンディズム」…を次回も味合わせてください。


長嶋選手、専門誌で長嶋選手以前敗れた嶋田雄大選手ともう一度戦いたいって仰ってましたが、嶋田選手も34歳…ですよね?


こちらも「渋い」…


そして、試合中まで謝り続けた「いい人」久保田選手のしつこさ…


これもさらに「渋かった」…



長嶋選手、世界へ再び羽ばたけるか!?



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あぁ、懐かしいなぁ…



長嶋選手、思い出をたくさんありがとうございました!!!



御愛読感謝



つづく