33歳長島建吾、OPBF ライト級王座初防衛戦…について | ボクシング&ロック野郎 higege91の夜明けはまだか?

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長嶋が初防衛=OPBFライト級 時事通信


日本王座2階級、東洋太平洋王座も2階級制覇した長嶋選手のライト級王座の初防衛戦に成功した…という記事でありますが、かなり苦戦したようですね。


判定は「2-1」のスプリットデシジョン…で、以下のような内容だったそうです。


>長嶋は9回にダウンを奪われ苦戦したが、終盤に盛り返した。


なるほど…


苦しい防衛戦だったようですね…


挑戦者は韓国の東洋太平洋ランク1位、趙喜在という選手だったそうですが、韓国選手の基本スタイルは「コリアンファイタースタイル」と呼ばれる徹底的に前進しながら打ち続ける…というものですが、趙選手もそういうタイプの「馬力型」だったのか…?


ちょっとその詳細は解りませんが、油断したところで一発喰ってしまった、というダウンだったのでしょうか?


そういえば、ちょっと前の試合、ジムレックス・ハカ戦でも不意を突かれてダウンを奪われていましたねぇ…


長嶋選手、かつてスーパーフェザー級時代は鋭いワンツーで相手を弱らせ、さらに、超ハイスピードなフットワークを駆使して敵を寄せ付けない圧倒的な「キレ」を前面に押し出すボクシングスタイルでしたが、ここ最近は巧みなクリンチワークを多用しながら翻弄する老獪なボクシングへと変貌(進化)していますねぇ…


最近はベテランの活躍があちこちで取り上げられるようになったボクシング界でありますが、長嶋選手にも是非がんばっていただきたいのだけれど…


1975年生まれの33歳…


41戦37勝17KO3敗2分…


敗戦はデビュー2戦目の6回戦判定負けと、いつかの世界戦でのシリモンコン戦、そして、同じ三十路ボクサーとして今なお現役の嶋田雄大選手との日本タイトル敗戦の三つだけか…


しかし、ライト級というこの階級でありますが、世界的にも人気の階級でありますので、なかなか世界挑戦が実現するだけも奇跡的な状況…


いつかの世界初挑戦、シリモンコン戦の2RTKO負けの悪夢が、長島選手を今なお現現役にこだわらせているとして、しかし、2度目の世界挑戦は実現するだろうか…?


そういえば、いつか世界挑戦者決定戦的、生き残りをかけた試合があったっけなぁ…


その対戦相手は当時WBA世界ライト級チャンピオンであった、畑山隆則選手に挑んで僅差の判定負けを喫したリック吉村選手との実力者対決…


これに判定勝利した後で、リングで「ラップ」を歌ったのですよねぇ…


懐かしい…


さて、超ベテランの長島選手、どのような「未来」を引き寄せるのか?


なんとかチャンスが巡ってくれば…とは思いますが、厳しい地道な戦いはまだまだ続きそうだ…


ってことで、いつかの日本ライト級王座獲得試合の生観戦記を再収録しておきます…



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2006 4 10 ダイアモンドグローブ 後楽園ホール


日本ライト級王者
伊藤俊介 19W14KO2L1D

   VS

日本ライト級1位 WBCライト級21位
元東洋太平洋スーパーフェザー級王者
元日本スーパーフェザー級王者
長嶋建吾27W15KO3L2D

 


 ラッキー王者…だなどと言われて気持ちのいいはずのない王者・伊藤(王座戴冠戦は前王者・久保田和樹の瞼を切り裂くも久保田の猛反撃にあってダウンを奪われ、結果「出血が激しすぎた」為に試合続行不能となった久保田が2RTKO負けを宣告され、伊藤が有効打によるTKO勝利を手にした…)は初防衛戦で実力者・長嶋建吾を迎え撃つ!! 


 キャリアと技術で圧倒的に上回る長嶋が伊藤を細かく痛めつけての判定逃げ切り…を予想に掲げてきたが、実は伊藤の「破壊力のある右」が炸裂したら1っ発で倒されてしまうんじゃないか?って恐怖感を感じ続けていたHigege91…。



 両者入場…、お!?


 

分厚く、大きな伊藤に対して三十路の長嶋の身体は大分小さく見えるなぁ…。こんなに「差」があるのかよ。ってことは「パワー」だってその分だけ…!?



長嶋VS伊藤



 1R 静かな立ち上がり…だが、アマ出身の世界挑戦まで果たしている元日本・元OPBF王者、サウスポーの長嶋が鋭い右からの左ストレートを叩き込む。ダメージ的な優劣はないが手数、クリーンヒットで長嶋か?長嶋10-9 


 2R 長嶋、左ボディーに左ストレート!! かつてはそのスピード感溢れるボクシングで日本を席巻した長嶋であるが、流石に三十路になり体力的な限界が囁かれている。しかし、キャリアがある。出入り激しく細かく打ち込んでゆく。強打の王者・伊藤は迎撃体制で大きな右を振るうも空転。しかし、この空振りにぞっとするHigege91。長嶋の1っ発の2倍はパンチあるな、こりゃ…。長嶋10-9



 3R しかし、身体的なアドバンテージを生かせない伊藤。手数と積極性が見えない。長嶋が極端に良かったわけではないが、きちんとワンツーを叩き込んでいる以上、ポイントは長嶋だ。 長嶋10-9



 4R 伊藤の空振りが相変わらず恐ろしいが、空振りは空振りなのだ。ジャブから接近、距離を殺して左右を思い切り叩き込みたい!! って気持ちで僕は見ていたが、長嶋のスピードについてゆけない印象。軽く打ち込まれては返すパンチの先に長嶋はもういないのだ。長嶋10-9



 5R ガードを固めてにじり寄る伊藤、ジャブがあまりなく、1っ発狙いの右は空振りだ。そして、ここへきてリズムに乗ってきた長嶋の動きに「キレ」が見え始める。かつてのスーパーフェザー級時代のテンポの良いフットワークが蘇ってくるようだ。細かく上下に跳ねながら鋭くワンツーを突き刺す!! こ、これは…、昔の長嶋建吾だぁ!! 長嶋10-9

 

 6R 伊藤よ、なぜもっと打って出ないのだ?パワーで圧倒的に勝るのに、長嶋の細かいパンチが恐いのか?このまま「流れ」を作れなければ終わってしまうぞ。…と、逆に自分のボクシングを展開し続ける長嶋が伊藤にロープを背負わせる場面まで作る。長嶋は「引退覚悟」だ。積極的だ。伊藤よ、見せ場を作れ!! 長嶋10-9



 7R 伊藤は単発の大きな右狙いだ。スピード感溢れる長嶋の踏み込みが冴える!! …と、ついに伊藤の右ストレートが長嶋の顔面に突き刺さった!! 真っ直ぐ後ろに頭が跳ね上がった長嶋!! 効いたか!? 伊藤がここぞとばかりに攻めるも、そこは老獪なベテラン、キャリアで上回る長嶋だ。クリンチを多用してなんとか凌いだ。しかし、伊藤の右は恐いし、「1撃」で試合をひっくり返す力を秘めている。初めて伊藤の10-9



 8R さっきの1っ発で気を引き締め直した長嶋は打って離れるボクシング、…が、伊藤の距離で相打ちのカウンターを浴びる。やばいか?…が、この苦しい局面で打って出た長嶋!! 終了間際に左フックカウンターを伊藤に叩き込んだ!! 長嶋 10-9



 9R 伊藤はパワーと厚い身体を生かせない。ここでバッティング発生!! 右目をカットだ。両者決定打をかくも、互角の展開。長嶋がここぞでひるまない。 互角 10-10



 R10 ラストラウンド!! もう後のない長島建吾だが倒しに出てきた伊藤のプレッシャーの前に流石に苦しい。必死で体を寄せてのクリンチ!! 伊藤のボディー打ち、さらにショートの右アッパーが長嶋を捕らえる。…が、長嶋は辛そうだ。伊藤が攻めるも巧みにしがみつきパンチを殺す長嶋。…やばい、長嶋疲れちゃったか?相当に辛そうだぞ。しかし、伊藤はそんな長嶋を突き放すことも出来ず、攻勢を奪うにとどまった。

長嶋、逃げ切った。伊藤10-9



 Higege91の採点 98-93 で 挑戦者・長嶋建吾の勝ちー!!

 公式の採点 97-94 99-93 99-93 で、日本ライト級、新チャンピオン、長嶋建吾ー!!!



 三十路の長嶋が大差判定で勝利をもぎ取った。嬉しい気持ちもあるが、正直、不安を感じずにいられない。だって、体力が衰え、スピードを失い、パワーの足りないこの『ライト級』とい領域で今後どのように戦ってゆくのか…?戴冠は嬉しいが、一体、どんな「これから」が待っているのか!?



しかし、伊藤俊介、残念であった。 終盤の接近ガチガチ勝負の局面を序盤で作れていたら負けなかったと思う。一発に頼りすぎた結果は残念だが満足できるものではなかった。左の少ないいきなりの『右』はそうそう当たらない。百戦錬磨のサウスポー・長嶋相手に序盤ゆっくり待ちすぎた。しかし、予想以上に序盤中盤の長嶋がリズムに乗せすぎたことが敗因と見るも、もうちょっと『戦って』欲しかった。


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つづく