今日はダルチニャン×アルセを観て、ダルチニャンの変則と破格のパワーに脱帽…
アルセは打たれても打たれても猛進を止めないが、しかし、サウスポー・ダルチニャンの伸びる左ストレートにのけ反り続けた…
WBC・WBA・IBF 世界スーパーフライ級統一チャンピオンのダルチニャンを見る度に、僕は「石器人」を思い浮かべる…
その野性味と型破りなボクシングはまさに「本能」のボクシング…という印象が強い。
WBA世界スーパーフライ級暫定チャンピオンのアルセは、驚くべき打たれ強さを発揮するも、その前進アタックは空転し続けた…
確かに、「勇敢」だ…が、これは打たれ過ぎてしまった…
しかし、アルセの気迫と闘志は光り輝いていた…
ポイントを連取され、恐らくは倒さなければ勝てないほどの劣勢…
稲妻のようなダルチニャンの左アッパーがアルセの顎を跳ね上げる度、僕はぞっとする…
やばい…
が、アルセは引かない…
ボクサーとしての意地、ボクサーとしてのプライド、ボクサーとしてのの闘魂…
そんなものが恐らくはアルセを支えているのだろうと想像する…
その終盤、もはやアルセのパンチは力強さが失われている…
しかし、それでも前進だけは止まらない…
その11R、独特の前傾姿勢から右肘を挙げて打って来い…と挑発したダルチニャン、アルセの左をかわして左アッパーを突き上げた…
これがアルセの顎にめり込む…
アルセ、一瞬、時が止まる…
効いた!!
圧倒的窮地…
なんとか凌いでゴングを聞いたが、しかし、アルセはもはやKO寸前…
と、この11R終了と同時にホルヘ・アルセはギブアップを申告…
結果は、11R終了 ダルチニャンのTKO勝利…となった。
石器人のようなダルチニャンが、闘志の塊・アルセの心をへし折ったのはカウンターの左アッパー…であった。
アルセの闘志を粉砕したダルチニャンの左アッパーを何度もスロー再生した…
ううむ…
しかし、これほど一方的な内容でありながら、最後まで面白く観られたのは、ダルチニャンの圧倒的な奇妙奇天烈変則強打ボクシングの凄さもあるが、敗れたものの、最後まで前に出続けたアルセの気迫と闘魂の爆発…があまりにも熱かったからにほかならない…
つまり、ボクシングの面白さはその壮絶と切実とは別に、『燃え盛るハート』、その熱量がダイレクトにこちらに伝わってくることにもあるのだ…と、改めて感じた一戦でありました…
11R終了直後、ある種の清々しさを湛えながら「ギブアップ」したアルセに感じたこと、それはよくぞここまで戦った…という奇妙な感謝の気持ちのようなものであったわけですが、思い返してみると、そういう気持ちにさせてくれるボクサーが僕は好きなのだなぁ…と感じました。
実は、WBC世界フライ級暫定チャンピオン時代のアルセがあまり好きではなかった…
それは正規チャンピオンにポンサクレックが君臨していた頃の話で、しかし、この両者が両者とも一向に王座統一戦をしなくてやたらイライラさせられた時期もあったし、皆様もご存知の通り、実は現WBA同級正規チャンピオンは日本の名城信男選手であるが、まぁ、これも無視されたような気がしてなんだか白けてもいたのだ(もっともボクシングはビックビジネスの世界だからこれはアルセのせいではないですけれど)…
でも、クリスチャン・ミハレスにも滅多打ちにされ、そして、このビック・ダルチニャンにも粉砕されながらも、それでも、清々しく負けを認めた姿を観て、ちょっと認めないわけにはいかなくなった…
ボクシングは何も倒されるまで頑張ればいいってわけではない…
しかし、あそこまで滅多打ちにあいながら、よくぞ11Rまで戦い続けたものだなぁ…
本当に驚きました…
まぁ、さらに驚くべきはダルチニャンのやばいほどの強さでもある…
本当に恐ろしいチャンピオンだ…
御愛読感謝
つづく