ホール生観戦の真髄は東西北側にあり…!? | ボクシング&ロック野郎 higege91の夜明けはまだか?

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人生の曲がり角に遭遇したボクシング&ロック・マニアhigege91。暇を見つけてはホール通い。ああ、俺は戦っているか!? ああ、俺は俺の求める『俺』に近づいているのか!?

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写真は昨晩の後楽園ホール…ですが、改めて感じたことがあります…


僕は基本的に後楽園ホールのボクシング興行で前売り券を買う場合、「南側」を購入します。


凡そ指定座席で¥5000~¥7000のチケットということになりますね。


で、南側を購入する理由ですが、それは前座4回戦からの観戦になった場合、最大で約4時間手に汗を握り続けるわけで、「東・西・北側」の木製のベンチ腰掛だとどうしても腰が痛くなってしまうから(恥ずかしい話ですが…)で、また、「南側」はそのチケットの価格がなんといっても割安であるからであります。


でも、ここぞの試合では奮発して「1万円」の「東・西・北側(前の方)」を買います…


前にも書いていると思いますが、ボクシング生観戦は『近ければ近いほど面白い』…とはこれ、真実であります。


選手の汗の雫がトップライトに輝き、その息遣いや呻き、セコンド陣営の大きな声、そして、なんと言っても、パンチが当たる音、それが交錯する風の音…を感じられるということが大きい…


そして、昨晩は木製ベンチで観戦、かなり久しぶりだったのですが、『噛み合う試合』の連続で、KOシーンも非常に多かったのであります…


元日本3階級制覇の名チャンピオン、湯場忠志選手の豪快な一発、その強烈なストレートは寺田選手のガードをぶち破り、その肉体と精神を引き裂く破格のKOシーンでしたが、「これは立てるわけないだろぉ…」という局面でありましたね…


つまり、この湯場選手のKOパンチを南側の中間距離から観戦したいた場合、どのような感じたか…?ということなんですね…


すなわち、『強烈なKOパンチ』には変わらないわけですが、その脳髄に突き刺さる『衝撃度数』が段違いである…ということなのです。


なんだよ、当たり前じゃないかよ、そんなの…


って思われる方も多いと思いますが、ちゃーんと見比べてみると改めてその衝撃の大きさの違いに唸ってしまったわけですね…


背筋が凍る、まさに、戦慄の一発…


その一瞬…がまさに目の前で落雷のように落ちた瞬間は「南側」よりも度肝を抜かれますね…


木製ベンチの「東・西・北側(前の方)」の指定席は¥7000~¥10000がその凡そだと思うわけですが、身体が雷に打たれるような痺れる瞬間を味わいたい方は、やはり、この¥3000ほどの値段の違いを思い切って飛び越えるべき…であります。


…でも、僕はこれからも南側座席を買うとは思いますが、『KO決着必死』あるいは、『超技巧派スピード対決』なんてケースの場合は思い切ってもう¥3000プラスするのも決して損ではない…とは思うわけです。


毎回毎回割高でお尻の痛くなってしまう木製ベンチってわけにはいかないけれど、カードによって『買い変えてみる』…ってのが面白いんじゃないかなぁ…ってお話であります。


また、軽量級の注目試合…なんてのもリングサイドとは言わないまでも、「東・西・北(前の方)」の座席を買ってみるとより深く楽しめますね…


テレビ画面では、こう言ってはなんですが「倒れそうもない戦い」にモヤモヤすることがありますが、この同じ試合を生観戦で、さらに「東・西・北側(前の方)」で観戦すると全く別の試合になりますね…


例えば、昨晩のライトフライ級6回戦、日本8位の須田拓弥選手と元ミニマム級ランカーの熊田和真選手の戦いは壮絶を極めましたね… 両者のパンチ交換の合わせて自分の身体が左右に揺れ、その鋭いパンチが命中するたびに奥歯と頬に痛みが走る…ような衝撃が脳髄に走りましたね…


また、この両者が見事に攻めの姿勢を崩さなかったために、見事に『噛み合った』素晴らしい内容になりました…


そして、なんと言ってもその『迫力』は半端ではない…と申し上げたいですね。


で、改めて昨晩は唸ったのだ…


前座4回戦から手に汗握る熱戦に打ち震えたのだ…ミニマム級4回戦の第2試合…


のぞみ折笠×鈴木翔…


1Rから止まらない手数と猛進の爆発にビックリしたのであります… 打っても打っても、当たっても当たってもなかなか意外と倒れない…ってのが4回戦というのはあるとは思うわけですが、その「青春」の燃え盛る爆発に僕は胸が熱くなったのであります…


手数爆発途切れ目無し…の熱い4回戦には、本当に考えさせられちゃいますねぇ…


これも間近で観ると面白さは数倍に跳ね上がりますね… 因みに試合は角海老の鈴木選手が3-0判定勝ちでしたが、これはもしかしたら南側だったらこれほど打ち震えなかったかもしれないなぁ…と考えた時、この「¥3000の差」を痛感するわけですね…


昨晩の興行のベストバウトはセミファイナルの日本スーパーバンタム級5位の中嶋孝文選手と同級金沢知基選手の戦い…


1R、序盤はその技巧で金沢選手の強烈なアタックを捌いた中嶋選手だったが、2Rに金沢選手に距離を詰められカウンターのフックを喰い、ここで、金沢選手にしがみついてダウンを拒否、が、これが減点1となるが執念を発揮、が、続く3R,やはりダメージは深かった… 金沢選手の猛攻の前に左フック一閃!! これもダウンを拒否したがレフェリーは躊躇することなく両者を分けた… ややストップが強引か…?という感想の方もいたかもしれませんが、しかし、続行は危険、不要なダメージを負う必要は僕はないと感じましたし、金沢選手の完勝でしょうね…


で、金沢選手の執念の猛攻も素晴らしかったが、中嶋選手の意地でも倒れるか…!? って根性の「縋りつき」も感動的でした… 目は空ろ…が、減点されるほど金沢選手にしがみついて離れなかった中嶋選手、ランカーの意地でありましたね…


これもリングが「近い」と良く見える…


(日本スーパーウェルター級3位の柴田明雄選手の物凄い破壊力のコンビネーションとKOも凄かったです、もちろん)…


…が、カードのよってその興味の深さも違うだろうからあえて「客観的」に見つめたい場合は逆にテレビ観戦を選択する場合てのもあってよいと思います…


例えば、僕は今度のWBC世界フェザー級タイトルマッチ、オスカー・ラリオス×粟生隆寛はテレビにしようかと考えています…


同日にWBC世界バンタム級タイトルマッチ、長谷川穂積×ブシ・マリンガの指名試合が同日生中継されるのであれば、両方リアルで観たいし、粟生選手にはもちろん期待していますが、お金を払ってでもその『気迫』と『闘魂』を『買いたいか!?』…って考えた時、僕は前の試合でそれを与えられなかったことに僅かに失望も残っているので、今回は見合わせるか…って気持ちが実は強いのであります(もちろん、生で闘魂親父・ラリオスの勇姿は観たいのですが)…


そういえば、生まれて初めて聖地・後楽園ホールに訪れた時の印象を思い起こす…


…意外と小さいし、良く見えるじゃないか!?


で、試合が始まった時、さらにこう感じたのだ…


…物凄い迫力!! …でも、この「ボクサーという人間たち」はお頭がおかしいんじゃないか!? なんだってこんなことをしてるんだろう!? 全然理解できない…けれど、しかし、なんて『熱い』んだろう…!?


だったような気がする…のですが、これは2Fバルコニー観戦でしたね…


で、ある時、北側の前の方の座席しか買えなくて座った時に(無理して当日券で高い席を購入)、今まで観ていた「南側」との違いに愕然としたのですね…


…ヤバイ、痛い、重い、苦しい、興奮する


ってモノでしたね…


さて、生観戦の面白さは「今一時」、その場に居合わせることの感動と、それを多くの観客たちと同じ空気を分かち合う喜びもありますね…


見ず知らずの初老の男性と、ある日本チャンピオンの陥落を語り合いながら観戦した時も面白かったなぁ…


初老の男性「…またポイント持ってかれたな」


僕「…厳しいですね、ちょっとチャンピオンは消極的ですね、守りに入りすぎてる感じですかね」


初老の男性「…いや、しかし、それでもあいつはチャンピオンなんだ、必ず盛り返す」


…が、その日本チャンピオンは良いところなしの惨敗、判定でベルトを失ったわけでありますが、あの時、僕もその初老の男性もチャンピオンを応援していただけに、非常に辛い観戦となった…


初老の男性「…あ~ぁ、最後までダメだったな、あいつはまだ本当のチャンピオンじゃなかったのかな」


さて、その時の試合とはいつかの日本スーパーバンタム級タイトルマッチ、チャンピオン 木村章司×挑戦者 福原力也…でありました。


で、次の観戦予定はこの日本スーパーバンタム級タイトルマッチ、今年のチャンピオンカーニバルの中でも屈指の『技巧派スピード対決』であります…


これは「南側」買っちゃいましたが、今からこの興奮のタイトルマッチを妄想して興奮が溢れてくる…


テレビ中継じゃ遠すぎる…と感じる好カードであります。


同じ時間、同じ場所で、同じ空気の中で見届けたいタイトルマッチ…がある。


不景気だから生観戦も控えないと…って僕は考えてもいるが、しかし、このカードだけは見逃すわけにはいかないのである…


最後に、この三浦選手と木村選手の戦いはリマッチ…なんですね、その時の生観戦記を最後に貼っておきます。


長い更新しちゃいましたが、その試合内容の予想を鑑みた上で、さらに、ちゃんと懐具合も考えながら、そして、「座席」を決める…っていうのが、より内容の濃いボクシング生観戦道なのではないか…?って話でした。


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2007 10 8 後楽園ホール ダイアモンドグローブ 


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ここ数日、寝る暇がない… しかし、どうしても見たいカードがある… 仕事と肉体の限界に挑むボクシング生観戦シリーズ… いや、別にシリーズではない…


徹夜明けの体を引きずって一旦2時間程度漫画喫茶で仮眠を取り、そして、辿り着いたのはいつもの場所…


聖地・後楽園ホール…


あほや、僕はあほや… わかってる… でも、確かめなくちゃ気がすまない…


元日本スーパーバンタム級チャンピオン・木村章司…を僕は応援している。


なぜか?


あの惨めな惨めな惨敗… 日本王座から転落した初防衛戦での消極的な守りのボクシングに僕は一度絶望したのだ。


もっとも、ダウンこそ奪ったものの、タイトルを奪った中島吉謙戦もスプリットデシジョンで際どかったし、「何か一つ」足りない技巧派…と言う印象が拭えなかった…


が、その福原力也選手に完全にペースを奪われて結果逃げ回った王座陥落戦からの再起戦で、僕は木村選手が好きになったのだ…


元世界王者のヨーダムロン・シンワンチャー(当時確か世界4位)を迎え撃って自らの持ち味であるフットワークを完全封印、頭を押し付けての超接近戦勝負に打って出たあの戦い…


木村×ヨーダムロン ディフェンスを捨てたディフェンスマスター  過去観戦記事


その勝利に僕は胸を打たれたわけであります。勝つために、自分を取り戻すために「最大の武器」を捨て、真っ向勝負を挑んだヨーダムロンとの再起戦は文句のない判定勝利であった…


世界ランク復帰… そして、ついに迎えた日本王座返り咲きのチャンス… 福原選手を負傷TKO で破った山中大輔選手とのタイトルマッチ… これ、クリーンヒット数では上回るも、フィジカルと粘り強いプレッシャーの前に屈して1-2の割れた採点で敗北… しかし、福原戦のような「逃げ腰のボクシング」ではなかった…


その後、無敗の日本2位の宮将来選手と上位ランクをかけてサバイバルマッチを行い、ダウンを奪う判定勝利…


そして、今夜のダイアモンドグローブ… 再び無敗のホープ・日本7位の三浦数馬選手を迎え撃つ、「チャンピオンカーニバル出場者決定戦」的意味合いを持つこの戦いである…


気がつけば三十路ボクサーだ… 天才の名を欲しいままにしていた木村選手ですが、最近は「泥臭い」ボクサーになった。際どく勝つ、あるいは際どく敗れる… 必死だ。やはり、懸命でなければ応援できない。


さて、三浦数馬選手の僕の印象は線が細いが巧く鋭いボクサー… 


独特な左手を下げた前傾姿勢から繰り出されるジャブワンツーと距離感を駆使する早いアウトボクサー…である。


そして、ボクシングワールド誌の「本誌予想」コーナーでは『5・5-4・5』で三浦選手を支持する内容であり、僕個人的にはその「本誌予想」が気に入らなくて、寝ずにホールへ足を運んだわけである(もっとも、その「本誌予想」にたてついた「梅津×秋葉」で僕の予想は大外れでしましたが…)。


今日もデジカメは会社に忘れたので写真はなし…


元日本スーパーバンタム級王者 

日本スーパーバンタム級1位 木村章司 20W7KO2L1D

×

日本同級7位 三浦数馬 10W5KO


1R 三浦のジャブの鋭さに驚愕… は、早い… なんだこれ!? さらに距離を巧く保ちながらその独特な前傾姿勢から長いリーチを生かして遠距離射撃… 木村、細かく頭を振りながら、そのジャブをグローブで弾きながら接近… 手数と攻勢で三浦か… と、ここで飛び込んで放った木村の右オーバーハンドが三浦の顔面を打ち抜く!! 効いた!! 揺れる三浦… これは決定的な有効打であった。木村10-9


2R 三浦の高速ジャブパーリングし続ける木村、この防御技術は凄い。しかし、この回の木村に有効打は生まれず、細かくとも有効打を奪った三浦のR。しかし、空振りするも三浦の右ストレートはドンピシャで当たったら怖いだろうな。

三浦10-9


3R 飛び込んだ木村のわき腹に三浦の左ボディーが炸裂!! と、その瞬間、木村がほぼ同時に放った左フックが三浦の頬を貫いた!!! 三浦、ダウン!!! 木村にはこれがあるんだよな… 一発はないが、タイミングでダウンを奪う巧さが… 三浦、あまりダメージは感じさせないが、やはり焦るだろうな… 木村10-8


4R この夜の木村、あの素晴らしいとため息が漏れそうな三浦のワンツーをことごとくブロック、手数では劣るもにじり寄って三浦をコーナーに閉じ込めると畳み掛ける流れを作り出す。ここは左右フックを当てた木村か… 木村10-9


5R 三浦としては最大の武器であるジャブを封じられて苦しい展開。三浦の右ストレートが空を切る。木村はカウンター狙いで手数が減ったのが残念だがギリギリ有効打数では上回ったかな… 木村10-9


6R 三浦、ロープを背負う場面が増える。サイドへステップが踏めないのか、気がつくとコーナーを背負う展開。しかし、木村も有効打が少なく、互角とした。10-10


7R ジャブを封じた木村がコーナーに詰めていきなりの右を好打、ここは木村。 木村10-9


8R 三浦のボディー打ち、さらに右ストレートが有効。手数の少ない木村、ここは三浦のR。しかし、三浦は勝ちにこだわるならば自分から打って出るべきではないか? 遠距離からワンツー、右クロス狙いはいいが、もっと果敢に行って欲しい。

三浦10-9


9R …と、三浦が積極的に打って出る。飛び込んできた木村に左ボディーをカウンター気味に浴びせるも、右までは繋がらない。一方、木村は有効打が生まれない。木村、最終盤に右フックを当てるもここは互角か?10-10


10R ラストラウンド!!! 木村が三浦をロープに詰めてショートパンチを連打、三浦は右アッパーを好打、一進一退の展開も、ここは手数と積極性で三浦か。三浦10-9


試合終了…


higege91の採点 97-94で木村章司選手の勝ち!!


公式の採点 97-95(三浦)… ざわ… 

       

97-96(木村)… 割れたよ…

96-96… あら?


三者三様のドロー!!!!


あ、そう…


僕には序盤の木村選手が逃げ切ったように見えましたが… いかがでしょうか?


さて、こうなると現日本スーパーバンタム級チャンピオン・下田昭文選手に年明け挑むのが確定的になってきた木村選手…


面白いですね… しかし、スタミナ難を延々と囁かれてきた圧倒的天才肌の下田選手、ここ数戦はスタミナ難はもう全く感じませんですね… やばいスピードとキレが武器のボクサーファイター…


これ、流石に下田有利の「本誌予想」ですだろうな… しかし、今夜の三浦選手のような「巧さ」を殺すことのできる木村選手にも何か可能性は感じますよね、三十路ですが…


しかし、手数だよな… カウンター狙いもわかるけれど、微妙にポイントを落とすからな… ここが厳しいところだと思うんだよなぁ… カウンターの「切れ味対決」となれば現状では下田選手だろうから、確実に「もっとはっきりわかる」優勢を奪う何かがないかな… なんて、同じ三十路同士だから心配しちゃう…


さて、三浦選手、中盤腰が引けたか… あの右オーバーハンドを警戒しすぎたか? いや、なんと言ってもジャブをかなり封じられたから展開が作りきれなかった印象か? とは言え、いい選手でした。テレビよりも数倍強く見えました。あの空転が多かった右ストレートは当たったらザックリと相手は倒れそう…


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…これは楽しみであります。


前にもこの生観戦記は再録してますが、何度でも僕は自分で読み返して、そして、妄想を逞しく育てているところであります…


御愛読感謝


つづく