金平会長『拳の真相』感想といつかの会長の声… | ボクシング&ロック野郎 higege91の夜明けはまだか?

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昨晩は協栄ボクシングジムの金平桂一郎会長の『拳の真相』を読破しました…


拳の真相―わが父と11人のチャンピオンたち/金平 桂一郎
¥1,470
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会長のブログを覗いたら本の中吊り広告の見出しがちょっと本意と不一致していたようで、それに関する言及があり、書籍の内容の一部は「誹謗中傷」を目的とするものではないとも書かれていました…


いわゆる『暴露本』的な意味合いの露出が強い宣伝広告になっているという意味のようですが、内容は決してそのようなものとは感じませんでした…


また、こんな記事が出ていました…


協栄・金平会長著書発売に賛否 デイリースポーツ


記事には亀田家は自分たちに関しても一部触れられているものの(…とは言え僅かであります)それに関しては静観の構え…とあります。


また、『拳の真相』でありますが、その内容は協栄ボクシングジム創立50周年記念の意味合いが非常に強く、先代の金平正紀会長のルーツと協栄ジム設立へと至るプロセスとエピソード、協栄ジム出身の世界チャンピオンたちの思い出、そして、「天才プロモーター」であった父親の肖像と分析、さらに、ご自身のジム経営やアルコール中毒との戦い、そして、愛弟子・坂田健史選手への深い愛情…が描かれています。


個人的には大変興味深く、最後まで一気に読ませていただきましたが、なんと言っても、現協栄ジム会長の金平桂一郎氏の心模様、その深層心理に今なお君臨する父親であり、カリスマプロモーターであった先代会長の正紀氏への慕情と反発、その奇妙とも読める「親子関係」の描写がなんと言っても面白かったです…


「毒入りオレンジ事件」や「亀田騒動」への言及はもちろんありましたが、これに関しては表層的な表現に留まってしまっているものの、協栄ボクシングジムの繁栄と歴代世界チャンピオンの移ろい、そして、少年だった桂一郎氏が徐々に大きくなってゆく様子は非常に鮮やかなイメージで想像を楽しむことができましたね…


金平会長…といえば、亀田大毅選手の世界戦での反則攻撃と、父史郎氏と興毅選手の反則指示問題の謝罪会見で一躍有名人になられましたが、あの頃はアルコール中毒・不健康と戦われていて大変だったのですねぇ…


その「激痩せ」もボクシングファンの間でかなり話題になりましたが、アルコール依存はかなり深刻なものであったようですね…


亀田一家との付きあいで精神と肉体が削られただけではなく、先代からジムを継承した際に自ら背負った「借金27億円」と「カリスマ先代会長」と「父・正紀氏」…等々、そのような精神的な苦悩との戦いがその深層にあったとは、改めて活字化されて理解できた部分でありました…


ボクシングは金にならない…


しかし、それでもなお、ボクシングである…


という信念とファンのためのより大きな実践、新風の創造をこれからも期待させていただきたいと思います…


ただ、残念だったのはこの書籍が書かれた時点では、WBA世界フライ級チャンピオンであった坂田健史選手は5度目の防衛戦迎える前であった…ということなのですが、しかし、08年の大晦日、その夢の興行であった「広島開催の世界タイトルマッチ」、VS デンカオセーン・シンワンチャーには無念まさかの2KO負け…という結果がでてしまったわけですが、願わくば、敗れてしまった坂田選手への「気持ち」と「これから」をもっと明瞭に知りたい…と感じました。


書籍本文を通じて、金平会長の坂田選手へのある種畏敬の念ともとれる「男気」への評価と愛情はひしひしと感じられたのですが、さて、なんと言っても「前」世界チャンピオンになってしまった坂田選手の「今後」がまだ聞こえてこないことにヤキモキしているボクシングファンはたくさんいると思いますし、発売日の問題もあったのかもしれませんが、ここがカバーされていたらなぁ…とは僕個人の感想ですが…


さて、亀田一家への言及がわりと淡白に読めてしまった感は否めませんが、実は過去に本ブログで金平会長ご自身に「亀田ジム設立問題」と「協栄ジムと亀田一家」について我々ボクシングファンの質問に丁寧律儀にお答えくださっているのですが、これに関しては『拳の真相』よりも、その時に金平会長じきじきに寄せていただいた質問回答の方が明確に語ってくださっていたかも…とも感じました。


なんと言っても、僕がまとめた「金平会長への質問」はかなり辛辣なものでした…


しかし、「守秘義務」ギリギリの範疇とは言え、金平会長、かなり語ってくださっていて、僕の質問メールに返信してくださった内容に僕がドギマギして、「あの、この内容は守秘義務ひっかかりませんか…?」なんて聴き直してまとめたほどでしたので、そう言う意味では、改めて、これを読み比べていただくとより一層金平会長の核心に近づけるかもしれません…!? っていうんで、いつかのメールのやり取り、そのリンクを下に貼りますね…


協栄ジム 金平会長との会話 過去記事リンク (是非、日付は古い順からお読みください。一番上が最新ですので…) 


僕のような単なる一ボクシングファンの横柄な質問に親切丁寧にお答え頂いたのですが、その誠意律儀と行動力には本当に驚かされたのです…


その節は本当にありがとうございました…


さて、しかし、一番上にリンクを貼ったデイリースポーツの記事によれば、「当初、15日に出版記念会見を行う予定だったが、ボクシング業界から反発の声が上がり中止となった。」…なんてあるのですが、それは先代会長がそのエネルギッシュな手腕を発揮したモハメド・アリ招聘における資金集めの表現とか、かつての協会分裂や、そして、国会でも取り上げられたという「オレンジ疑惑」や、ボクシング界の暗部を再露出したための反発…なのでしょうか?


その辺りが正直僕にはピンと来なかったのは正直なところ…


ただ、僕の読書直後の感想は、金平会長自身が再検証したご自身と、そのご自身の中に存在する「父」である「先代会長」のトラウマと面影、そして、親子の関係…がなんと言っても抜群だと感じましたね…


海老原、西城、具志堅、上原、渡嘉敷、鬼塚、勇利、ナザロフ、佐藤、亀田、坂田…


過去に11人の世界チャンピオンを生んだ協栄ボクシングジム、その「栄光」と「疑惑」はまだまだ藪の中に隠されている部分もあるとは思いますが、しかし、僕は休憩無しで一気に読破しましたがそれほど興味深くて面白い書籍でありました…


お勧め…であります!!!


御愛読感謝


つづく