フットワークを棄てた『ディフェンスマスター』…前日本王者・木村章司VS元世界王者・ヨーダムロン | ボクシング&ロック野郎 higege91の夜明けはまだか?

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人生の曲がり角に遭遇したボクシング&ロック・マニアhigege91。暇を見つけてはホール通い。ああ、俺は戦っているか!? ああ、俺は俺の求める『俺』に近づいているのか!?

2006 4 8 後楽園ホール


日本スーパーバンタム級3位
元日本同級王者
   木村章司 18勝7KO1敗1分

   VS


WBA世界スーパーバンタム級4位
元世界同級王者
   ヨーダムロン・シンワンチャー 45勝20KO2敗1分


木村VSヨーダムロン1


もし、以下の文章を読んでいただけるのであれば、先に下記過去記事を一読していただけるとありがたい。


http://ameblo.jp/higege91/entry-10011008839.html  過去記事

(絶望と屈辱という名の『地獄』から這い上がれるか?前日本王者・木村章司に期待するもの…)


 セミファイナルのWBC SF級15位 大場浩平 VS 日本同級 新保力 の戦いが大盛り上がりだった(後で触れましょうか)。


 高まる期待と膨らむ不安…。


 昨年9月、対福原力也戦、あの日本王座初防衛失敗の『惨敗』からの復帰戦だ。果たして木村は『自分』に打ち勝つことが出来るか!?


 流石は元世界王者・世界ランク4位 ヨーダムロン・シンワンチャー …体が光っている。腕の太さは木村の比じゃない。世界を獲ったパンチは先ずその破壊力で木村を凌駕するであろうことは間違いなし。


 両者がリング中央に歩み寄る…。どうかなぁ…。


 隣のボクシング通のお客さん「…さぁて、ディフェンスマスターはどう戦うのかな?」


 …ゴクッ


 R1 カーン!! 木村、ガードを掲げてジワジワとにじり寄ると、果敢に左を突く。


木村VSヨーダムロン2

 

 …お? 


 左ボディーフックから右クロス!! 手数が出てる!! いいなぁ、積極的だ。流石に元世界王者・ヨーダの方がパンチの質は硬質で鋭い。…が、手数、有効打を比べると木村攻勢か? 木村10-9


 …ってなんかいつもと違う!?


 …フットワーク、棄ててる


 出入り激しくややアウトボクサー寄りの木村が足を止めての接近戦で戦ってる!?


 ぐ…


 そうか、そういう作戦できたか。僕は正直ここまで自分のスタイルをかなぐり捨ててまで戦うとは思わなかった。よりアグレッシブな戦いに期待はしていたが、「足を止めて」狙い打つほどの果敢さには正直震えた。

 

 R2 ガードを固めてヨーダのボディーに左を叩き込む木村!! さらに右を打ち下ろす!! ヨーダも打ってくるが、決定的な被弾はない。木村の攻勢、有効打がポイントを奪っているか? 木村 10-9


 R3 ヨーダのオーバーハンドの右が木村を捕らえる。木村もボディー打ちから攻め込むも、徐々に表面に現れてきたヨーダの「プレッシャー」にやや押されてきたか?手数もやや減ったか? ヨーダ 10-9


 R4 足を止めての接近戦での打ち合い!! かつての木村にはなかった戦い方だ。この半年間、苦しめ続けられてきた男の『意地』が踏み堪えさせる!!! パンチ力で劣る木村だが、積極的だ。ヨーダのアッパーカットに頭が跳ね上がった。しかし、下がらない、ボディーで応戦だ。 うーん、互角 10-10


 R5 6 7 木村の右ストレート!! さらに左ボディー!! コンパクトな連打コンビネーションがヨーダにヒット!! ジャブは突いてくるもコンビネーションに発展しないヨーダ。不調か?しかし、木村の『根性』がベタ足インファイトを続けさせている。打って出る、ジャブワンツー!! 福原戦では見れなかった戦いだ。腹をくくり、強打を浴びる覚悟で打ち合う!! 腰の入った右を打ち下ろす!! …震えたよ、木村章司よ!! しかし、ローブロー気味なヨーダは再三レフリーに注意を促されている。 木村 10-9


 R8 互いにとって「手の届く接近戦」での打ち合いが続く!! …と、ここでヨーダのボディーが木村のベルトラインの下に入った!! ぐ…!! 木村、流石に蹲る!!! Higege91、その瞬間見逃した。…少し時間を空けて再開するも、再びヨーダのボディーが今度はモロに『金的』をえぐる!!


 木村VSヨーダムロン3


 ぐぅ…!?


 これは僕は見たが、確かにヨーダの左ボディーアッパー?が木村の「股間」をえぐっていた!! かなり時間を空けての再開。 …しかし、ヨーダ、それでも際どいボディー打ちを敢行してくる!! …そうか、元世界王者も「苦しい」のだ。木村、「股間」へのダメージが心配されたが、打って出た。反則打により減点2が宣告された。攻勢を木村としてこのRは 木村 10-7 だ!!!


 R9 開始のゴング後、木村は封印していた「フットワーク」を使ってヨーダを遠巻きに攻め始めた。


 …あ、かつての木村だ。 …『逃げに入ったのか?』 …やな予感だな。 KOされなければ大差判定勝利はほぼ確定的といえるが、ちょっとなぁ…って思っていたら中盤以降、再び足を止めて攻め込み始めた。


 木村自信が「逃げたら後悔する!!」って思ったのではないか? いくら優勢であっても、まだ『勝ち』が確定したわけではないのだ!!! 打って出る木村のコンビネーションが炸裂!!! よし!!!


 R10 ラストラウンド!! 倒されなければ勝ちだ!! 気を抜くな…っていうか、倒せ!! 打って打って打ちまくれ!! ヨーダが下がる。木村の「気迫」が元世界王者を下がらせた…。


 攻めきった!!!


 木村 10-9


 Higege91の採点 99-90 で木村章司の勝ち!!! …ちょっと片寄りすぎ?

 公式の採点 98-96 98-93 98-92 の 「3-0」で木村章司の勝ち!!!


 やった!!! 元世界王者に、いや、『自分自身』に打ち勝ったのだ!!! 


 『腰の引けた』、『逃げ腰の』、『無理をしない』戦いでは勝てないと自覚し、無傷の18連勝を支え続けた自分のボクシングを『ぶっ壊して』の勝利だ!!!


 いやぁ、ここまで『勇気』を振り絞ることが出来るのだ!! 自分を『変えて』戦うことが出来るのだ!! 


 本当に感動した!!!


 木村VSヨーダムロン4


 勝ち名乗りを受けたあと、愛娘をリングの上で抱きしめた木村章司…。


 これが、『お父ちゃんの背中』だ。


 良かったな、木村章司よ、これが「男の勇気」だよな、俺もがんばるよ!!


 …で、この夜のセミファイナルが見応え満点であった!!


 WBC SF級15位

 大場浩平 13W8KO1D


 VS


 日本B級 

 新保力 10W4KO3L


 大場VS新保


  ガードを固めた大場に対して新保は果敢に打って出る。その大半はグラブと肘によってブロックされたわけだが、それでもボディーフックからガードを割っての右ストレート!!…と、世界ランカーを攻め続ける。しかし、そこは名古屋期待の星、大場である。やや互角に見えるRも多かったが、その早い左ジャブから腹を抉る左ボディーアッパー、さらに凄まじい音を立てる左右のコンビネーションには観客からもどよめきが起こったほど…。新保はかなり打たれたが、へこたれない。食ってやる気マンマンだ。しかし、破壊力スピードで勝る大場が判定勝利をもぎ取った。


 Higege91の採点 99-92 で 大場浩平の勝ち

 公式の採点 98-94(3者とも) の 3-0 で大場浩平の勝ち!!


 …であったわけだが、かなりの「接戦」であったといえる。手数では圧倒的に新保が勝ったが、大場のガードが固く、その大半がブロッキングされていたように見えたため、僕は偏った採点になってしまったが、大場がクリーンヒットを喰らって後ろに後退する場面もあったし、採点結果以上に「肉薄」した内容であった。


 しかし、新保…、打たれ強かった。大場のコンビネーションは早く鋭く「重そう」だったが、表情一つ変えることなく攻め続けた。


 イイ試合だった。負けても『株』を上げ、さらに尊い『経験』を獲得したと言えるのではないか?


 大場浩平…、観客が「唸る」電光石火のコンビネーションでありました。


 大きな右アッパーは空を切るも、客席からは『おお!?』ってどよめきが起こり、それは印象的でした。


 お客を喜ばせるボクサー…として、東京の新しいファンも獲得できたのでは?


 ああ、面白い興行だったなぁ。


 …で、いつもお邪魔している「沖縄マニアのボクシング観戦日記」の管理人・マングローブさんとご挨拶させていただき、あれやこれやのボクシング談議に花が咲いた。


 西岡利晃のこれから…、中広大悟の世界挑戦…、亀田興穀の世界挑戦の相手…、越本隆志の初防衛戦…、木村章司の『勇気』…、鳥海と池原の日本バンタム級王座決定戦…などなど。


 いやぁ、とても穏やかな方で、また、冷静な観察眼をお持ちのマングローブさん、以後もよろしくお願いします。アメリカンコーヒー、紅茶、アイスコーヒーご馳走様でした!!!


 …ってそれぞれ3杯も飲んじゃいましたね。


 お腹、ブクブクしちゃってませんか?


 …ってことで、木村章司選手、最高の戦いだった!! 最高の『勇気』を見せていただきましたよ!!


 御愛読感謝


 つづく