直派若柳流美登利会の第82回舞踊公演が開かれました。4月5日、昌賢学園まえばしホールで、美登利会会員の舞踊10番と、三代目若柳吉駒の新内2曲をご覧いただきました。その舞台をご覧いただきます。

 

 

幕開けは、ご祝儀『宝扇(たからおおぎ)』、篠原はるみさんです。石川潭月作詞、芳村千十郎作曲、末広がりと呼ばれる扇にちなんだ縁起の良い長唄の小曲に、二代目若柳吉駒がご祝儀として振り付けたものです。

 
続いての舞台は小曲花舞台、最初は、上原美礼さんの『祇園小唄』です。美登利会は、1937年に初代吉駒(ユキ子さんの祖母)が稽古場に通って来ていた子どもたちの舞姿を観てもらおうと始めた舞踊会です。

 
2番目は、船内遥月さんの『四君子(しくんし)』です。美登利会の舞踊会は、戦時中に一時公演を禁止されましたが、戦後に復活、会員による舞踊公演として毎年4月の初めに開かれてきました。
 

そして、佐藤真綾さんの『藤音頭(ふじおんど)』です。美登利会は初代吉駒から二代目、三代目と受け継がれ今年で82回目を迎えました。毎年舞踊公演を開いているのは、群馬県内で美登利会だけだと思います。

 

 

義太夫『禿(かむろ)』、立ち方は、似鳥結衣子です。松飾りのある吉原の妓楼(ぎろう)の見世先(みせさき)で、花魁(おいらん)の小間使いを勤める幼い禿が、あどけなく遊ぶ様子を踊りにしたものです。

 
長唄『舞妓(まいこ)』、立ち方は松永佳凜さんです。花盛りの京の街、花に誘われた舞妓さんが、春は東山の夜桜、夏は鴨川の夕涼み、秋は紅葉の華頂山(かちょうざん)、と時雨の長楽寺(ちょうらくじ)、そして冬の丸山の雪見酒と、今日の四季を舞い踊ります。

 
長唄『水仙丹前(すいせんたんぜん)』、立ち方は小坂幸子さんです。初演は寛永元年(かんえい・がんねん)、1749年と古い踊りです。当時の派手な風俗を映した「丹前振り」と言われるものです。元禄風の衣装で華やかに舞い踊ります。

 

長唄『島の千歳(しまのせんざい)』、立ち方は小菅あおいさんです。大槻如電(おおつき・じょでん)作詞、杵屋勘三郎(きねや・かんざぶろう)作曲で、明治30年の初演です。平安時代に、水干烏帽子(すいかん・えぼし)の男装姿で舞い唄う「白拍子(しらびょうし)という女性芸能者がいました。「鳥の千歳」は、平家物語でその元祖とされている女性、平安時代の舞姫の優美な舞姿です。

 

清元『若柳三番叟(わかやぎ・さんばそう)』、立ち方は、若柳糸昭です。昭和初期に若柳流の三番叟として造られた曲で、小島三朗(こじま・さぶろう)作詞、清本梅吉(きよもと・うめきち)作曲です。女ぶりで千歳を舞い、それから鈴の段から扇を使った揉(もみ)の段へと続き、流派の繁栄を祝う曲となっています。扇は直派若柳流を興した若柳寿慶(わかやぎ・じゅけい)師から伝えられたものです。

 
清元『玉屋(たまや)』、立ち方は若柳糸玖です。玉屋は江戸時代後期に江戸の街で流行った「シャボン玉売り」です。テンポの良い売り声とともに、片手に傘、片手にシャボン玉を吹く吹き具、首から「玉屋」と書かれた箱を下げて登場します。当時の江戸の街の粋で軽妙な雰囲気を伝えてくれる踊りです。

 

長唄『惜しむ春(おしむはる)』、立ち方は若柳糸奏です。1919年に作られた比較的新しい曲です。満開の桜もやがて散りゆきます。その寂しさを乙女のやるせない恋心ん重ね、移り行く思いを季節の移りかわりになぞらえて踊ります。古典舞踊とは異なる斬新な振り付け、引き抜きなどの趣向も楽しんでいただける踊りです。

 

荻江(おぎえ)『鐘の岬(かねのみさき)』、立ち方は若柳華龍です。長唄「京鹿の子娘道成寺(きょうかのこ・むすめどうじょうじ)」をもとにした地唄「鐘の岬」を、江戸時代に更に荻江節に移した曲です。長唄の舞台と異なり、舞台には鐘を象徴する縄があるだけ、小道具も扇子1本、長唄と異なる荻江の趣向の娘道成寺です。

以上が、会員による舞踊公演です。

 

 
第82回舞踊公演の締めは美登利会後援会長の茂木勝彦さんからのご挨拶です。そして、舞台は第7回三代目吉駒リサイタルに移ります。今回も司会とお話は古典芸能解説者の葛西聖司さんにお願いしました

 


吉駒リサイタルの一曲目は、新内『廓七草(くるわななくさ)』です。

 
新内は富士松小照さん他の皆さんです。『廓七草』は新内古典の祝儀物ですが、作者も年代も不詳、ほとんど廃曲となっていたのですが、額賀朝江師が残された譜が遺されていたものです。

 
今回の舞台は、三代目吉駒が自らの振り付けで舞いました。葛西聖司さんも「とても珍しい曲です」と紹介されていました。古典らしい踊りになっていました。

 

 
幕間には、額賀鶴二郎さんと額賀伊勢一郎さんによる新内流しが会場に登場、手拭いで吉原被りをして、三味線を奏でて歩く姿にお客さまは大喜びでした。


そして、囃子の杵屋喜三久さんの登場、葛西聖司さんのインタビューに答えていました。新内のお囃子は陰囃子、舞台では姿がみられないのです。

 

 
そして、葛西聖司さんと富士松小照さんの『新内の魅力』でした。小照さんのお話し、すごく魅力的でした。そして弾き語り、「小照さんて声帯をいくつ持ってるんかな…」ド素人の私は奇妙な想像をしてました。素敵な語りです…

 

そして、三代目吉駒の新内『広重八景』です。

 
永井啓夫作、額賀朝大夫作曲の昭和中期の曲です。浮世絵師の安藤広重の絵を繰り合わせて江戸の四季の風景を描いたものです。二代目吉駒は永井啓夫さんと親交があり、群馬で開かれた国民文化祭では創作舞踊『上州は水のまほろば』の長唄の作詞をお願いしました。

 
衣装は、二代目吉駒が着たもので、広重の浮世絵『今様弁天づくし』からイメージした、こうもりの柄が描かれたものです。

 


第82回美登利会・第7回若柳吉駒リサイタルは無事に開くことができました。お運びいただいたお客さま、公演を支えてくださったたくさんの皆さまに、三代目吉駒は心から感謝申し上げております。そして、来年の4月の第83回美登利会のための会場予約も済ませたようです。

 

 ヒゲじいさんの連れ合いの三代目若柳吉駒でございます。
昨日は、昌賢学園前橋ホールで第82回美登利会と7回目となります私のリサイタルを開きましたところ大勢の皆さまにお越しいただきほんとうにありがとうございます。ご出演いただいた皆さま、後援会をはじめ舞踊会を支えてくださった皆さまにただただ感謝申し上げます。ありがとうございました。
1937年(昭和12年)に祖母の初代吉駒が創設し、伯母の二代目吉駒から私に引き継がれた美登利会を主宰しております。昨年の4月には第81回の舞踊公演を行うことができました。そして今日が82回、こうして回を重ねることができますのも支えてくださる皆様のおかげと、ただただ有り難く感謝申し上げるばかりです。

《最近の美登利会と吉駒リサイタルの舞台をご覧になりたい方は…》
第81回美登利会と第6回三代目吉駒リサイタルはこちらをご覧ください
第80回美登利会と第5回三代目吉駒リサイタルはこちらをご覧ください
第79回美登利会と第4回三代目吉駒リサイタルはこちらでご覧ください
お稽古場は前橋市城東町、三代目吉駒をご紹介しますのでこちらをご覧ください。