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作家の東田直樹です鉛筆

現在31歳。

自閉症という障害を抱えています。

 

 

 

  なぜできないのか

 

 

 

「○○を持ってきて」という指示をされたとき、僕が、なぜ指示通り動けないのかについて書きたいと思います。これは、僕の場合です。

 

簡単にいえば、「○○」という言葉と「持ってきて」というふたつの言葉を一度に記憶できないからだと思います。

 

言葉がわからないわけではないのです。

 


 

 

  ふたつの言葉が続くとわからなくなる

 

 

 

■「○○」が何を指しているのか

■「持ってきて」と言われたら、どうしなければいけないのか、

それぞれの言葉の意味は理解しています。

 

けれど、ふたつの言葉が続くと、何をすればいいのか、僕はわからなくなるのです。

 

 

「○○を持ってきて」と言われたら、僕の頭の中には、最後に言われた「持ってきて」という言葉だけが記憶に残ります。

 

わからなくなっても聞き返せないので、僕は相手の様子を観察します。

何を持っていくのか考えるのです。

 

お茶かな、マヨネーズかな、お醤油かな、お皿かなという風に。

 

これかもと思うものがあれば、それを取って、相手に手渡します。

だけど、間違えていることの方が多いです。

 

慣れれば「こういう場面のときには、これを渡せばいい」という予想がつきやすくなるので、指示通りできる確率が高くなります。

 

 

 

 

  僕がわかりやすい指示

 

 

 

一度指示されたあと、もう一度、相手から同じように「○○をとって」と言われても、やはり間違えてしまいます。記憶できないからです。

 

「○○」が何かは、「○○」だけを言ってもらったほうがわかりやすいです。

 

「○○を持ってきて」と指示される、

「○○」とだけ言ってもらう、

僕が「○○」を手にとる、

「持ってきて」と言ってもらう。

 

僕にとっては、このように指示されることが一番わかりやすいです。

 

 

 

  指示通り動くために

 

 

 

僕が指示通り動くためには、ふたつのことが必要です。

 

■何をするのか、その言葉を記憶に残すこと。

■過去にやった同じような場面を思い出すこと。

 

「○○」が何かわかり、頭の中にイメージできても、動くことができません。

何か指示されたとき、その通りに行動するために、僕は過去の記憶を思い出そうとします。どんな風に動けばいいのか、わからないからです。

 

過去の記憶の中から成功した場面を思い出し、同じように動こうとするのです。

 

決められたことを決められた通りにやるのであれば、パターンとして記憶し練習すれば、やれるようになります。

 

 

 

  分けて教えてもらう

 

 

 

「書いたほうがわかりやすい」「絵カードがわかりやすい」のは、本当だと思います。

 

ただ僕の場合はそうすることで別のこだわりが生じてしまいます。

 

その人に合った方法で伝えるのが、一番いいのではないでしょうか。

 

 

 

 

 

 

 

 

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