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作家の東田直樹です鉛筆

現在31歳。

自閉症という障害を抱えています。

 

 

 

  何もかも新しくなる

 

 

僕の住んでいる地域では、桜の花が満開になりました。

いよいよ新年度の始まりですね。

 

どんな1年になるのか、期待よりも不安のほうが大きいと感じている人たちも多いのではないでしょうか。

自分のことをわかろうとしてくれる人がひとりでもいれば、心強いと僕も思います。

 

 

子どもの頃、自閉症の僕は、新学期になると不安定になりました。

クラス替えもあり、担任の先生やクラスメイトも変わります。

 

いつもと違う状況に、僕がどうなるのか、みんな心配してくれました。

不安定にはなりましたが、大きな混乱はしませんでした。

 

新学期は、教室も、教室の中にいる人たちも、時間割や掲示物も新しくなりますが、僕にとっては、目に見えるもの全部が変わり、頭の中がリセットされるような感覚だったのです。

 

 

 

  人より物に関心がある僕

 

 

新学期は、新しい教科書をもらったり、自分の持ち物に名前を書いたり、係の仕事を決めたり、大忙しです。

 

どちらかというと、いつもより大人しいくらいの僕を見て、「学年が上がって、成長したんだね」と周りの人たちは褒めてくれました。

 

でも成長したのではなく、何にこだわるのか、まだ決まっていないだけだったのでしょう。

 

他の人は、担任の先生がどんな人なのか、仲のいい友だちができるのか、自分の席はどこになるのか、そんなことが気になっていたのではないでしょうか。

 

僕はといえば、人より物に関心があったので、どこに何が置いてあるのか、初めて目にするものはないか、窓から何が見えるのかが気になり、教室の中だけでなく、廊下やベランダを見回っていました。

 

 

 

 

  名前がわかるとインプット

 

 

僕は、人の顔を覚えるのが苦手だったので、教室に誰がいるのかは、名札を手がかりにしていました。

 

その子がどんな性格なのか知りたいわけではなく、どんな名前なのか知りたかったのです。

 

名前がわかると頭の中にインプットします。

単語を覚えるような感じで、自分の知っている言葉が増えていくみたいで楽しかったです。

 

 

最初は名前だけしかわからなくても、僕にやさしくしてくれたり、親切にしてくれたりするクラスメイトのことは、少しずつ印象に残っていきました。

 

その子と一緒にいると安心できました。

 

みんなと同じことができなくて、つらい思いもしましたが、僕を仲間として受け入れてくれたみんなのおかげで、よい思い出もたくさんできたと思います。