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作家の東田直樹です鉛筆

現在31歳。

自閉症という障害を抱えています。

 

 

 

  自分の居場所はどこだろう

 

 

思春期は、誰にとっても大変な時期といえるのではないでしょうか。

 

子どもから大人になるためには、思春期という 児童期 から成人期へと移行する中間の時期を越えなければなりません。

 

僕にも毎日が辛くてしかたなかったときがありました。

 

自分の居場所は、どこだろう。

まるで、ひとり森の奥にある深い茂みの中をさ迷っているみたいに孤独でした。

 

何もできない自分。家族の期待にも応えられずに申し訳ない気分になりました。

 

 

 

  沈んでしまう気持ち

 

 

自閉症を克服するために、どうしたらいいのか、学校の先生も家族も一所懸命に考えてくれました。

 

できないことができるようになるために、たくさんの課題に取り組みました。

 

何かひとつでも自分の力でやれたら、みんなが喜んでくれました。

僕もうれしかったですが、いつも気持ちはどこか沈んでいたような気がします。

 

僕にとっては生きることそのものが大変過ぎたのです。

 

「すごいね」「よくできたね」と褒められても、次々に現実が押し寄せてきて、息苦しくたまらなかったのです。

 

どこまで頑張ればみんなに追いつくのか見当もつきませんでした。

 

 

 

 

  自分が歩ける道もある

 

 

僕は、自分がどんな人間にならなれるのか、将来の夢を描くことができなかったのです。

 

当時は、町で大人の自閉症者を見たこともなく、その人たちが仕事をしている姿を想像することもできませんでした。

 

 

特別支援学校では、毎年多くの生徒が卒業しています。

みんなが一体どこで暮らしているのか不思議でした。そう思っても、誰にも聞くこともできず、僕はだんだん怖くなっていったのです。

 

 

大人になった僕も、相変わらずあたふたと毎日を過ごしています。

みんなのようにできないこともたくさんありますが、怖がっているばかりではないです。

 

周りの人たちが、あきらめずに僕を支えてくれたおかげで、森の中をさ迷っているように感じていた僕も、自分が歩ける道があることに気づいたからだと思います。