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作家の東田直樹です
現在31歳。
自閉症という障害を抱えています。
離れたところにあるお菓子を自分で取らない
僕が小さい頃、欲しいものを手で取るときに、人の手を使って取っていたことがあります。いわゆるクレーン現象といわれるものです。
たとえば欲しいお菓子がテーブルの端にあっても、自分で取ろうとしないのです。
目の前にあるお菓子は、自分の手でつまんで口まで運んで食べることができるのだから、手を伸ばして取ればいいのにと周りの人からは思われていたことでしょう。
僕の行動を見た人は、お菓子までの距離が少し違うだけなのに、人に取ってもらうことを不思議に感じていたのではないでしょうか。
人の手を使ってものを取る
クレーン現象をしていた頃、僕の場合は、肘から手首までの前腕部の上下運動は、自分で意識することができましたが、肩から肘までの上腕部を使って物を取ったり、引き寄せたりという運動を意識してやることがうまくできなかったせいだと思います。
体の機能に問題があるわけではなかったので、ものを取るという動作自体ができないわけではありません。
また無意識だったり、夢中になったりしているときには取ることができます。
自分で「あれがほしい」と思う。「取って」と人から指示される。
僕は自分の体に意識が向くと、どうやって取ればいいのかわからなくなっていたのだと思います。
「手を伸ばして、自分で取って」と注意されても、どの方向にどれくらい手を伸ばせばいいのかわかりません。
側に誰かいれば、その人の手を使ってそれを取ろうとします。
人の腕や手が視界に入る
なぜなら、同じような場面のとき、人の腕や手が僕の視界に入っていたからです。
「誰かが取ってくれる」それがひとつのシーンとなって頭に記憶されます。
だから、意識してものを取るときには、それを再現しようとしたのです。
僕は、成長とともに、どうやればものを取ることができるのか、自然に覚えることができました。
体の各部位を意識することは今も苦手ですが、自分の体と仲良く生きていきたいです。