僕は小学生のとき、
運動会では「玉入れ競技」が一番好きでした。
笛が鳴っても、僕が玉も持たずに、
ただその場でジャンプしている様子を見て、
周りにいる人は、僕の手に玉を握らせ
「あのかごの中に玉を入れるんだよ、
ほら投げてみて」と教えてくれました。
でも、僕は、それどころじゃなかったのです。
この時にしか見られない景色を目に焼き付けようと
必死だったからです。
下から見上げる僕の目に映っていたのは、
青い空をバックにいっせいに浮かび上がる
赤と白のいくつもの玉。
それは、言葉で表すことができないくらい
美しい光景でした。
見ているだけで嬉しくなって、
僕はピョンピョン跳びはねます。
玉はひとつも入れられませんでしたが、
玉入れ競技は本当に楽しかったです。