般若心経には、彼岸世界の様相を表したものと思われる、色即是空や空即是色等の独特な表現が見られる。
同じような表現が、他の仏典にも見られないだろうか。
実は、般若経と並んで大乗仏教の代表的な経典の一つである、華厳経にもそれが見られるのである。
それが、「一即多 多即一」、「一中多 多中一」の成句であり、又、「一即一切 一切即一」、「一入一切 一切入一」、「重々無尽」等の成句である。
これらの成句の意味するところは、実に難解であり、高度な哲学的命題として様々に理解・解釈されている。
しかし、華厳経もまた、インターネット世界(=ウェブ世界)に類似した彼岸世界の様相を描写したものである、と仮定すれば、これらの成句の解釈もまた違ったものになる。
わずか二百数十文字の般若心経と違い、華厳経はかなり大部の経典であり、「梵文和訳ノート(長澤弘隆著 インターネットサイト)」のような、我々一般人にも理解しやすい原典解説書がないため、漢訳仏典にある断片的な成句からしか推し量ることは出来ないが、上記の各成句は、彼岸世界に存在する諸世界は、クリック(=思念による決定)とハイパーリンクの仕組みによって、相互に結ばれていることを言い表しているのではないか、と私は推測している。
華厳経には、百字心経とも呼ばれる「唯心偈(ゆいしんげ)」という詩句もある。
この詩句は、諸世界を作った主体は何か、ということを説明しているように私には思えるが、どうなのだろう?
華厳経のサンスクリット原典に精通しておられる僧侶や研究者の方々が、私のような見方・解釈が正しいのかどうか、検証していただければ幸いである