今月はアラフォーには懐かしい

マンガについて書きたいと思います。

今日は「白夜のナイチンゲール」を取り上げます。

「キャンディキャンディ」連載当時に

「なかよし」に掲載された作品です。

 

描いたのは志摩ようこ先生ですが

原作は名木田恵子先生です。

知っている人ならすぐ分かる

「キャンディ」の原作者、

水木杏子先生と同一人物です。

フィンランドを舞台にしたお話で、

大地主のラントー家の兄弟が

父が突然の事故死した後に

前から気になっていたナイチンゲールの声を探して

森でこの声の主・少女ミシュリヌを見つけます。

ミシュリヌは言葉を知らず

残された父の日記から、

父が隠れて育てていたと分かります。

 

弟のラベリンは少女を世話して言葉を教え、

遠縁の娘と偽り、屋敷に連れて来ます。

始めは冷たい態度をとっていた兄、ジャンキンは

彼女に魅かれていることに気付き、

彼女もまた彼を愛していました。

 

懸命に尽くしてきた弟ラベリンは傷つき

ミシュリヌを巡って

兄弟の仲も険悪になっていきます。

面白くないのはラントー家の嫁の座を

狙っていた森番の娘、ステファンです。

彼女によってミシュリヌの正体が

兄弟の父と愛人の間に生まれた娘だと暴かれます。

 

ジャンキンと駆け落ち寸前で

ラントー兄弟の腹違いの妹だと知り

悲しみの中ミシュリヌは

最後に森に消えていきます。

死んだのか、遠くに行ったのか

はっきりしません。

名木田先生の書くお話は

キャンディもそうですが

小学生が読むのに決して子供だましでなく

どうしようもない不条理や葛藤を描いています。

 

〝愛人に産ませた子〟を

世の中の汚いこと一切見せず、

言葉すら教えずに育てたという設定は

小学生には衝撃的でしたが

北欧の冷たい空気感を舞台に

丁寧な心理描写で

心に残る名作でした。

 

志摩ようこ先生の絵柄はクセがあるので

好き嫌いがありますが

それを超えるだけの魅力が

この作品にはあります。