「韓国製の車って、日本車にそっくりだな」
「hid、それは違うな。日本車が韓国車に似ているんだよ」
「んー?今度はメルセデスにそっくりな韓国車だ」
「それは、メルセデスが…ま…まぁいいじゃないか(笑)」
おれとユンスはナムポドンのジャカルチ市場へと向かった。
ジャカルチ市場。
マジュムマ(おばさん)たちの威勢に度肝を抜かれる市場。
驚くほど大量にずらりとならべられた魚介類は、売れ残りを心配してしまうほど。
ユンスと二人、それぞれに生け簀に泳ぐ魚介類をカゴに入れ、2階にある調理場に持って行き、アジュムマに調理してもらう。
「ハマグリもぷりぷりだな」
「ちょっとなんだよぉ、このタコぉ、もうちょっと小さく切ろうよぉ…」
お腹いっぱいになった二人は、車を走らせヨンド(影島)方面へ。
海沿いの懐かしい風景を眺めながら車は走る。
「hid、久しぶりに寄っていくか?」
「射撃かぁ、久しぶりだな」
「久しぶりに10発勝負といこうじゃないか」
「おいおい、現役の刑事に一般市民が勝てるわけないだろ」
「まぁまぁ、そう謙遜ならさなくとも…」
ヨンド実弾射撃場。
ユンスと知り合ったばかりのころ、ここで互いにライバル心むき出しで射撃の腕を競い合った。
「hidは今日はどの銃でいく?」
「久しぶりだし、おれは無難にリボルバー(回転式銃)でいくよ」
「じゃあ、おれはオートマチックの¨グロック¨だ」
おれがチョイスした銃は、S&W357マグナム。
発射時のリコイル(反動)も初心者には向かないが好きな銃だ。
アニメ「ルパン三世」の¨次元¨の銃だと説明すれば分かりやすいだろう。
まずは、実銃の扱いに慣れているユンスから10発。
¨タンッ!タンッ!タンッ¨
木製の扉が強風に煽られ閉まるような音があたりに響く。
ヘッドフォンをしているが、その音はすさまじい。
「グロックは左下に引っ張られるようなクセが気に入らん!」
結果に満足していないユンスは早くもライバル心をむき出しにしている。
「さぁ!hidの順番だ!」
ゆっくりと位置につく…
まず、視線を標的のど真ん中に合わせ、ゆっくりと銃の照準でさぐる…
強いリコイルがくるだろうが、銃が上方へ跳ね上げられているころには、弾丸は標的を撃ち抜いているはずだ…
トリガーに軽く力をくわえる。
¨バスッ!バスッ!バスッ!¨
マズルフラッシュに眼を閉じる。
あたりは硝煙の匂いに包まれた。
結果…
「くそッ!負けだッ!」
ユンスが落胆する。
「フッ…腕が鈍ったよ、初弾は10点の¨0¨を撃ち抜きたかったが、真ん中にズレたよ」
「くぅぅ…悔しいが完敗だよhid」
「ああ…次までにはきっちりと腕をあげときなよユンス」
懐かしい異国の友との再会。
日本と韓国、ふたつの国には様々な問題が山積しているが、おれとユンスにはまったく関係のないことだった。
”また会おうなチング(友達)”







