―――目を覚ます…ベットの上で見慣れた天井を見つめている。
そんなことがなぜか久しい気がする。不思議だ。
そして何か重大なことを失念している気がした俺は、それが何かを突き止めるため朦朧とした頭で考え始める。
“現状は昨晩の酒のせいで二日酔いの頭痛…なぜかベットで寝ている俺…そして感じるやわらかな温もり…温もり?あれ?”
違和感を感じた俺はその温もりの正体を暴くべく重い頭を動かす。
そこには抱き枕よろしく俺にしがみ付いてすやすやと寝息をたてるユカがいた。
「…何だ…ユカか…って!?なななな、何でユカがここにっ!?」
不測の事態に驚き慌てて身を起こす…当然俺に抱きついて寝ていたユカも目を覚ます。
「…ふわぁ…あ?hidおはよ…えっ?あれっ?何でっ!?何で私達一緒に寝てるのっ!?」
事態が飲み込めずに問い掛けてくるユカ…
しばらくして何かの結論に至ったのか顔を真っ赤にしてもじもじと落ち着きのない仕草をみせる。
“…まぁ確かにこれじゃそんなふうに考えても無理はないよな…でも完全に否定もできないしなぁ…多分ないと思うけど…”
相変らず赤面したまま視線を泳がせつつユカが尋ねてくる。
「ぁぅ…ぇ~と…ねぇhid…私達もしかして…」
「まぁなんだ…絶対ないとは言えないけど…着衣の乱れはないようだし、そんな形跡もない…多分大丈夫じゃないかな」
「本当?…信じてもいいの?」
「あぁ…記憶が曖昧だから断言はできないけど信じてくれていいよ」
「…ふぅ~ん、わかったわ信じてあげる」
とは言いながらも、俺の顔から視線をそらさないことからして信じきってはいない様子だ。
「でもさ、記憶がなくなるまで飲むなんて“紳士の嗜み”を誇張してた人が聞いて呆れるわね」
「やけに突っかかるな…だってあんなこと…」
「だって、何?」
俺は出かけた言葉を飲み込んだ、ユカがそれを怪訝な顔つきで追求してくる。
そもそも昨晩の深酒の原因はユカが話しだした家出の真相…それを姑息な手段で聞き出そうとしたことへの罪悪感…そしてどうしても拭いきれなかった悪い予感…。
しかし今そのことを正直に言ってしまうと昨日の二の舞になってしまう、ここは論点をずらすことで回避する。
「だって、慣れない酒を調子ぶってガバガバ飲んだのは君も一緒だろ?しかもその勢いで告白までしてしまったわけだし…言わば俺達は同罪、どっちが悪いとかないんじゃないかな」
「えっ?こ、告白?…あっ!…あぁぁぁ…ぁぅぅ…」
昨晩のことを思い出したのだろうか、またもや赤面してもじもじとするユカ。
“あぁぁもうっ!!可愛いなぁっ!!”
その愛らしい仕草にときめいた俺はユカをちょっと強引に抱きしめキスをした、親愛とちょっぴりの悪戯の意を込めて。
「…っ!?…き、急に何するのよっ!?バカっ!スケベっ!たらしっ!変態っ!…うぅぅ…離せぇ…」
俺の腕の中でジタバタと暴れるユカをさらに強く抱きしめる。
「おいおい、酷い言い様だな…でもね…好きだよユカ」
その言葉を聞いたユカはおとなしくなり俺のパジャマの襟にしがみつき少し哀しげな表情を浮かべる。
「…うん…ありがと…私も好きよ…でもねhid…ううん、何でもない…
それより一つ聞きたいことがあるの…」
「ん?何だい?」
「…あのね、今…物凄く頭が痛いんだけど…これって二日酔い?話には聞いていたけど…こんなに酷いなんて…ぅぅぅ…」
頭を押さえ悲痛な面持ちだ、俺もあまり変わらない状態なんでその気持ちがよくわかる。
「そうだな…正直俺もかなりしんどい…ちょっと待ってろ、薬持ってくるから」
そう言ってふらつく足取りで部屋を出て、二人分の薬と一杯の水を用意して寝室で待っていたユカに渡した。
薬を飲み終えても変わらぬ症状に何もする気が起こらなかった俺達は二度寝することにした。
自然と起きた時と同じ体勢になる…
ただ違うのは俺の胸の上でしっかりと握られている手と手…だった―――
《重なる想い》前編終わりっ!!次回にっ…ふぅ
