hidezoのブログ

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個人的な読後の感想を勝手気ままに書いてます。

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第151回 直木賞作品。
映画製作に出資した金が、回り回ってヤクザ同士のシノギの話に発展して、男のメンツをかけた争いへと発展してしまう。




破門
黒川博行 著
角川書店

パラパラっと捲って、なんて会話の多い作品なんだ!
と思ったのだが、読んで納得。
大阪のヤクザとどーしょもない男の、
関西弁の軽妙なやりとりが世界観を作っているんだな。

リズムもいいし、ボケも思わず笑ってしまう。
でも、描かれている世界は、騙し騙されボコられ拉致られの
ダークな世界。
それを軽妙に読み易くしているのが、大阪弁なんだな、きっと。

これ、関西の人が読んだらもっと面白いんじゃいかな。
毛馬、大正橋、昭和町、とか土地名でイメージがつかないもんね、関東人には。

しかし、桑原というヤクザの潔さというか、なんというか、
嫌いじゃないなぁと思いながら読んでいた。
逆に、二宮、この話の主役。
この二宮は廻りにいたらいじめちゃいそうだなぁと思った。
でも、親父がヤクザで今の若頭などを面倒見ていただけあって、
堅気のくせに、腹座った動きをするから読んでいて気持ちよい。

とにもかくにも、映像にして欲しいなぁ、なんて思って読んでいたら、
正月にBSで映像になるらしい。
この作品は、確かに映像向きだ。
セリフばっかりだし(笑)
ん? 見れるのか、うちは?

でも、女子には分かるのかな。。。
男が少女マンガに入れないのと一緒な感覚なんでは。。。

欲望の突き進む先にあったのは、何だったんだろう。その果てには何かがあったのだろうか。




紙の月
角田光代 著
ハルキ文庫

主人公、梅沢梨花41才。
25才で結婚して専業主婦になったが、子どもに恵まれず、銀行にパートで働き出す。
真面目で、きっとキレイな梨花は、成績も優秀で、パートから契約社員にと。

真面目であることが、この悲劇を生んだように思う。
こうでなければならない。 と思いこむ真っ直ぐさ。
その真っ直ぐさで梨花は、疾走する。

大学生の光太との出会いが、
平凡だった、何か物足りない生活を一変させた。
光太が金持ちの旦那を持っている女性だと思っている節があれば、
その通りに梨花は振る舞う。
光太が望みそうな物を先読みして想像して、光太に買い与えて行く。

そうやって、勤めていた銀行で、数年の間に一億円の横領をしてしまう。
どんな罪もそうであるように、
最初は、軽い気持ちで顧客のお金を借りたのだった。
そして、それはエスカレートしていくことになる。ご多分に漏れず。

その行為は光太のため。
いや、果たしてそうだったのか、と思ってしまう。
きっと、梨花自身のためだったような気がする。
自分の居場所を確実なものにするために、虚構で現実を作ろうとする。

横領している顧客たちに対して、梨花には罪の意識は無い。
なぜなら、そのお金はいつか返せばいいと思っているから。
また、返せるとも思っているから。
これはきっと人間関係も同じなんだな、と読みながら思ったりした。
いつか説明すれば良いや、と思っているうちに、
周囲がすーっと引いてしまい、気付けばひとりぼっちだった。
というようなことが、時々ある。
これと同じだなと思った。
それって、感情の横領なんだな、きっと。
善意や誠意に対して、とても個人的かつ閉鎖的な都合で踏みにじる。
でも、仕方ないじゃん。とか思っちゃったりしてね。
たとえば、その前にイヤな事言ったじゃん、言おうと思ったんだけどタイミング逸しちゃって、云々。。。
難しいなぁ。
その話をいつ、誰から、どう聞いたか、前後関係はどうだったかで、
つまりボタンの掛け違いですべてが狂ってくるからなぁ。
まぁ、こういう時はごめんちゃいと、素直に謝るしかない。
でも、一億の金はごめんちゃいでは済まないよなぁ。

結局、この物語は、お金の話だ。
お金が恋愛を象り、人生の行く先を決めたのだ。
あるひとつの事柄に捕われた時に、
盲目的な愛情をもって人生のすべてを賭けてしまった梨花。

並んで歩きながら、彼女は昼の仕出し弁当についてずっと話し続ける。値段について、揚げ物の多い中身について、弁当を作ってこようかどうしようか迷っていることについて。相づちを打ちながら、しかし梨花は何も聞いていなかった。光太。光太。心のなかでずっと呼び続けていた。光太。もう大丈夫。私たちはまだ一緒にいられる。光太。光太。はやくあなたに会いたい。

夫、顧客、仕事関係と、すべてを騙して得たお金。
そこにある現実は仕出し弁当のようなものだったのだろう。
さして興味のあるものではない。
興味のあるのは、光太との時間。

話の中心はあくまでも梨花であるが、
それとは別に、梨花の高校の同級生たちの今も描かれて行くのだが、
ここもやはりお金が人生に深く絡んでいる。
浪費癖、節約への執着など。
これもまた、さもありなん。

一見満ち足りているようにしか見えない人生の裏側に潜む嫉妬が、人生をいたずらに狂わせて行く。




緑の毒
桐野夏生 著
角川文庫

傍から見た人の幸せなんて分からないもんだ、と、思わず唸る。

この主人公、川辺。
周到に下調べをして、一人暮らしの女の人を狙ってレイプを繰り返している。
最悪の男だ。

しかし、どんな生活をしているのかと言えば、
開業医でお金には困らず、美しく優秀な嫁をもらい、ブランド服や宝石、車に囲まれた生活。
夕餉にはワインを空けて知的な会話なんかしながら優雅に過ごす。
な~んてな感じの生活。

一方、勤務医で、美しさと実力を兼ね備えた嫁・カオルは、
救急医の玉木と不倫に落ちている。
この玉木、服や食べ物に無頓着で旦那とは正反対。
細かいことにケチをつけて、自分好みの女に変えようとする川辺と、
ありのままをありがとう、と受け入れてくれる玉木。
くどいようだが、金も時間も川辺の方が持っている。
でも、カオルは玉木に魅力を感じて止まない。
中二病的な発言をすると、愛も心も金では買えないんだな、きっと。

さて、物語はレイプにあった被害者たちが、
ネットを通じて犯人を追いつめようとする様と、
その同時軸で生活をしている川辺の身辺という綾で描かれている。

年をとっても若作りのブランドで身を固めたり、
年代物のジーンズやスニーカーを収集したりと、
偏狭な収集癖なんてものは、
なんかやっぱり問題を抱えているんだろうかね。
歪んでるように思うなぁ、やっぱり。

川辺は服やアクセサリー、
いわゆるお洒落に関して異常に執着を持っている。
それはおそらく、嫁に対してもそうだったんだろうなぁ。
持ち物。
その嫁の浮気を知って、その嫉妬の気持ちの中で増幅していく気持ち。
それはグレーでどんよりとした質量を持った感情なんだろうと思う。
その気持ちを、見ず知らずの女性をレイプすることで発散していく。
その歪んだ感情の波の中で、川辺は自分の心を見失い、
やがて他人を思いやるという心も失っていく。

しかし、被害にあった女性たちが、最後に...

これ以上は書かずにおかないとネタバレか。