先日、とある医療機関において 現場からの「人が足りない」を信じて採用し続けた結果、 過剰配置状態になり、人件費率が70%を超え、経営危機に陥っている… というなんとも恐ろしいお話を伺いました。 「人手が足りない」をそのまま受け取って 「じゃあ採用(増員)しよう」というのはさすがに早計ですが、 (冒頭の恐ろしいお話のような事態も招いてしまいます) 現場が「人手が足りないと感じる」ことは事実ですから、 「そんなことあるわけないよ」と一蹴するのは大変もったいないことだと思います。 なぜもったいないかといえば、 「人手が足りない」は、 実は「ブランディングのチャンス」でもあるからです。 ブランドが成立してしまえば、採用も捗るし人もなかなか辞めなくなります。 ブランディングと問題解決を全く別物と考えている方も多いのですが、 効果的なブランドづくりの種は、組織の中のよくある問題、 その「要因」に隠されていることが多いのです。 例えば 「人手が足りない」 という状況はどこでも同じでしょう。 その理由は実際は千差万別なのに、私たちはどこかで耳にした理由を頼りにして 大雑把にウチもその理由だ、と決めつけがちです。 例えば、病棟看護師が「人手が足りない」と感じる要因一つとっても、 たくさんの理由があるものです。 ・数は足りているけれど活躍できる(即戦力の)人材が足りない ・今までと同じ人数だけど受け入れている患者の状態や質(重症患者が多いなど)によって人手が足りないと感じる ・感染対策の強化によって作業工程が増えて人手が足りないと感じる ・本来別職種が担当する業務をなぜか看護師がやっているために人手が足りなく感じる ・産休育休で本当に一時的に人手が足りない ・実は人手というより無駄な業務などがあって時間が足りていないだけ ・業務の割り振りに問題があって効率が悪くて人手が足りなく感じる ・新人の割合が多すぎて教えるのに時間がかかっていて人手が足りないと感じる ・普通に人手もスキルも足りているはずだが、人間関係が悪くコミュニケーションエラーが重なり人手不足を感じる ・健全に忙しいだけだが、もっとゆとりをもって働きたくて人手不足と言っている ・患者対応、家族対応にあまりにも多くの時間をかけすぎている にもかかわらず、適正人員を考えることなく 思考停止で人をどんどん採用していったり、 問題の根源を突き止めようとしなければ、 当然のように人件費が膨らんでいきますし、 一生「人手不足(と感じること)」が解消されることはないですよね。 一方で、一例ですが (目的)どういう成果を生み出すために (構造)何があれば回せるのか (運用)どのような人材が というように要素分解する事で、独自の創意工夫が生まれ、 組織のブランドを作り、人材不足の根本改善にもつなげることができるでしょう。 「人手が足りない」という現場の叫びをどう捉えて、何に活かすか? これこそが経営側の腕の見せどころと言えるのかも知れません。 ちなみに、要素分解の仕方は状況に合わせた方程式が色々とありますので、 気になった方は是非ご一報ください♪ 人事コンサルタント 金森秀晃