【実録!】他の病院はどう乗り越えた!? 医師評価制度導入に伴う、懸念事項10選 ~後編~ | ZACグループ代表取締役社長・金森秀晃オフィシャルブログ

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株式会社ZAC社長 金森秀晃のブログ。
人事制度構築、教育・研修サービスとその現場から得た気付きについて綴っています。
企業研修・コンサルティング・スクールのことから、大好きなおやつの事まで幅広いブログです。

前編はこちら

1) 「評価制度なんて入れたら、先生が辞めてしまうのでは!?」問題
2) 「評価制度なんて入れたら、先生のモチベーションが下がって、売り上げが下がるのでは!?」問題
3) 「評価制度なんて入れたら、医師が寄り付かなくなるのでは!?」問題
4) 「医師を評価するなんて!事務方が口出すな!」問題
5) 「理事長が、勤務医の評価はできない、したくない」問題
6)「(事務方から)僕らの仕事増やさないでくださいよ」問題
7)「まぁ今そんな問題になってないからからいいでしょ」問題~事なかれ主義問題~
8)「責任を負いきれない」問題
9)「職員の意見真っ二つ」問題
10)「医師だけ入れるのは不公平だ」問題
 

お待たせしました!
人気シリーズ後編です。
前編リリース後、出版社さんから「これで本を出しませんか?」というありがたいお言葉も頂くほどの反響!
ありがとうございます。

 

早速5)以降の続きを書かせて頂きます♪

 

 

5) 「理事長が、勤務医の評価はできない、したくない」問題

 

「たとえ理事長という立場であっても、
他の科の先生のことに口出しはできないし評価もできない」
というご意見、意外と多いのです。

 

多くは、
その分野の専門性もすべて把握できないにも関わらず、
正確な評価をすることは難しい、
その評価によって不満が出て先生に辞められたりしたら・・・

という不安が先立つのではないでしょうか。

 

しかしながらご安心ください!

 

何も、専門性に関する評価をする必要はないのです。
専門性の保証は学会での発表や認定制度がありますからそちらで十分。

病院で評価すべきは、その病院におけるその科の役割、
その科の中におけるその先生の役割、です。


その役割が、どれだけ果たされているかどうかを客観的に評価するだけなのです。

 

つまり、専門性等はあまり関係なく、
経営者として果たして欲しい役割の設定さえできれば評価は極めて簡単です。

 

 

6)「(事務方から)僕らの仕事増やさないでくださいよ」問題

 

理事長から大方の合意が取れた、早速一緒に構築していこうという事務方メンバーに共有してみると・・・
「え、今は無理ですよ、だって、今でもこんなに仕事ありますよ?
誰がやるんですか、それ・・・」

 

一瞬にしてトーンダウン・・・

 

そんな経験はございませんか?

 

実はこの、周りをうまく巻き込みきれないというケースは非常に大きいのです。

それを解消するためのキーワードは「動機」と「熱意」!

「なぜ今それが必要か?」「私たちは今どのような大義を果たそうとしているのか?」を伝えていくことが重要です。

「病院経営を立て直し、スタッフの福利厚生、処遇改善に繋げていくために
今、まさに、この医師の人事評価制度構築が必要だ!」
という熱い思いを伝えるところからすべては始まります。

 

 

7)「まぁ今そんな問題になってないからからいいでしょ」問題~事なかれ主義問題~

 

6)とも関係しますが、今、なくても一応はまわっている病院運営。
ここで波風たてて、仕事増やさないでくださいよ。

という雰囲気が蔓延しているとしたら・・・

これほど恐ろしいことはありません!!

 

問題というものは、問題にすることで、問題になります。

 

「一筋縄ではいかずとも、問題を問題として場にあげること、
その問題が引き起こす未来を予想し、客観的なデータとともに示すこと、
それが解消されるだけで、大きなプロフィットが得られることを示すこと。」


これが事なかれ主義の方々に「これは本当に問題なんだ」と認識いただくポイントです。
(多くの場合は問題と気付いていながら、仕事を増やしたくなくて
黙っているだけというケースが多いでしょう。
その場合は、具体的イメージをもっていただくだけでも、
これ以上は放っておけないなという意識が芽生えてくるはずです。
病院がつぶれたら元も子もないですから・・・)

 

 

8)「責任を負いきれない」問題

 

やりたいのは山々だけど・・・

医師が辞めてしまったら・・・
そのまま採用できなかったら・・・

そんな責任取れません(>_<) そんなお声が多いこともうなずけますよね。 
医師がいなかったら、病院として成り立ちませんもんね(>_<)

 

でも、ご安心ください! 


弊社の評価制度は先生方の意向を無視して行うものではありません。 


むしろ先生方が何を評価して欲しいと思っていて、何は評価すべきでないと思っているか、 
そのコンセンサスを重視しています。 
(もちろん経営方針は踏まえて評価項目を決めますよ!)

ですから、先生がむやみに不満をためて退職ということは一切ございません。

 

 

9)「職員の意見真っ二つ」問題

 

「やはり、医師の評価制度も入れた方がいいですよ! 」

「いや!入れない方がいいって! 」

 

このテーマにおいては非常にデリケートな面も含まれますので、 
本来、肩を組んで手を携えて協力し合うべき仲間のはずが意見が真っ二つに・・・ 
なんてことも往々にして起こります。

 

その際に大切なのは、 
「相手方の主張を一度100%受け容れて、なぜそう思うのか、何をリスクだと思っているのか」 
などしっかりと共有することです。 


病院をよくしたい、もしくは、悪い方向に持って行きたくない、
失敗したくない!というのは 共通の課題であることは間違いないと思います。 


その観点を忘れずに最後まで拘って議論をしてくこと、 
もし、意見が平行線になってしまうことがあれば あえて、
第三者を交えてフラットに話し合いの場を持つことなども効果的です。 
実際に弊社のコンサルタントが会議に参加し、 フラットな意見交換の上、
やっぱり今は導入を見送った方がいいということを 
弊社のコンサルタントから提言させていただいたこともございます。

 

 

10)「医師だけ入れるのは不公平だ」問題

 

他の職種に評価制度が入っていないときに 「僕たちだけ厳しく評価されるのはなんか不公平じゃないですか」 という意見があがってくることがあります。 むしろ、査定されるべきはコメディカル、看護師だろうと(>_<)

 

たしかに、自分たちだけが「査定」されるという気持ちでいると、
先生方もおもしろくないと思います。

 

そんなときには
「まずは先生方にとって評価制度がなくてはならないツールのようなものになれば、
他のスタッフたちに導入しやすいと思います」
と、リーダーシップを取っていって欲しい旨を伝えること、

また、

「そもそも「査定」がしたいのではなく
頑張る先生のことをもっと正当に「評価」し、処遇に反映させていくべきだと思った、
他の職種より重い責任を担う先生方だからこそしっかりと評価させていただかないと申し訳ない」
と考えているということを、しっかり伝えることが大切です。

 

いかがでしたでしょうか?

 

前編と合わせて、少しでも医師評価制度導入にプレッシャーや難しさを感じているご担当者様、
経営者様のお役にたてる部分がございましたら、幸いです!

 

 

人事コンサルタント
金森秀晃