言葉は、
すぐに失われる。
枝葉である言の葉は、
意味となる幹を持たなければ落ちて終わる。
そして、
失われた言葉が放たれると、
やたら薄く、
ひどく空虚に、
まさに軽く、
宙に舞う。
地中からの、
滋養なくして立つ木などないのに、
己の意思のみで、
そこに立っているつもりの樹木は、
ただ枯れゆく。
差し伸べる手が動かず、
思い巡らす頭が働かず、
耐え忍ぶ肚が座らず、
ただ落ちて終わる…
地表に落ちた言の葉は、
強固な歯に噛み砕かれ、
精密な菌に分解され、
新たな樹木への滋養となる。
そこではじめて、
気付くことができるのだろうか、
「私」にも意味があるということを。
さて、
この辺が地表だろうか。
次なる滋養となるべく分解されるところだが、
さらに落ちてみようか…
なにせ、
言葉が足りないんでね。
降ってこねえんだよ!
言葉が…
だから、
実をとろうじゃないか。
語らず動け。