僕は人間関係で悩んだことがない。
もともとないものだと思えば、どんな関係も心から感謝できる。
その僕が一度だけ、人間関係で悩んでいると相談したことがある。
余命2,3ヶ月に迫った母親に対してだ。
彼女は自分が生きていることが家族の迷惑になっているのではないか、と自分の存在意義すら疑っていた。
だから、強く生きているように見える息子が唯一気を許せるところ、というように相談すれば少しは元気になってくれると思ったのだ。
思い悩みを表に出すほど繊細につくられていない粗野な僕としては、ボロが出ないように、と病院の近くにあるカフェで1時間ほどのイメージトレーニングを要したが、母には効果的だったと思う。
(もしかしたら、見抜いた上で元気に振舞ってくれたのかもしれないが)
しかし僕の試みを知らない父親には、余計な問題を持ち込むな、と怒られた。
まあ、そんなもんだろう。
ひとつの行為とそれに対する評価なんて。
価値さえ産まれれば、それでいい。
今日、ある方のお見舞いに行ったら、そんなことを思い出してしまった。