「毎日を同じことの繰り返しとして、お仕事や社会、街を日常と捉えている人間にとっては、自然は、まさに非日常。
絵を描きなさい、と言われたら真っ先にテーブルの上においたリンゴを描くようなものよ。
それって不自然でしょ？」
「確かにそうね。
お父様が、人間を創り上げたときには、自然という発想はなかったわ。
そこに、社会ができて初めて文明と対極にあるものとして自然、という概念が生まれたのね。
人間のなかにもそれが分かっている子が200年位前にいた気がする。
彼は、
自然の中にこそ美がある。
それは現実的なもののうえに、さまざまな形として見出されるのだ、と言っていたわ。（写実主義を主張したギュスターヴ・クールベ）」
「そう。
日々のありのままの営みこそ最高の自然ってことなの。
そこから目をそらしての現実はあり得ないわ。
にもかかわらず、
ここは本来の自分がいる場所ではない、と日常のなか非日常を求め続けているのが、
ほら、あそこでうごめいている人間なのよ。」
ちなみに、写真はNさんにいただいたさくらんぼ。(佐藤錦だって！）
こんなにおいしかったっけ、さくらんぼって。（いや、マジで。宝石みたぁ～い♪とか言っちゃったもん。）
