食生活が人生を変える、まさにそのとおりであると実感しているが、この本を読むとそのことがより確信されるのであった。
日本人には玄米菜食が合っている。
それなのに、今はうどんやピザ、パスタ、お好み焼き、たこ焼き、回転焼、ホットケーキ等の粉食品、乳製品や肉食が食卓を席巻した結果、日本人の病気の種類は一気に増えた。特に現代の小麦粉はグルテン問題以外にも遺伝子組み換えゆえに深刻な問題に発展してしまうのである。もちろん、食品添加物や遺伝子組み換え食品、危険な油、電子レンジ、フッ素添加の水道水、精製された塩・砂糖、化学調味料など私たちを取り巻く身体を蝕む食品等を指摘していけば枚挙に暇がない。さらに石油合成の薬を服用していれば、一層身体機能を壊す結果に繋がってしまう。ではどうすればいいのか。それは徹底的に加工食品を避け、出来る限り自然の物を口にすることである。
第3章の「健康長寿の道しるべ」は必見ではなかろうか。筆者は国内の長寿や世界の長寿を直に取材して周り、それを分析されているのだが、健康食に精通された視点で観察しているため、とても興味深い内容となっている。
その中に120歳の人のお弁当の記述がある。
「おばあちゃんの日常の食事の話になり、どんなものを食べているかということで、今日のお弁当を見せて頂きました。おばあちゃんのは丸い小さな鍋で、その中に私の感覚ではスープと思われるものが入っていました。中は大豆をやわらかく煮たもの、玉葱とマカロニのようなものと、トマトを煮込んだもので野菜とトマトの野菜シチューといった感じでした。
おばあちゃんは年とってからは殆どこんな食事で、何でも一緒に煮込んでしまう。日本の雑炊のような感じで食べる。これをお椀で一杯くらい食べて、何里もの道のりを毎日歩いて通って働いているのにはまたびっくりです。
私も玄米一日二回、お茶碗に軽く一杯ずつですが、これは私の生活と体にとって一番いいと思って生活していましたが、これよりももっと少ない。それで労働して相当エネルギーを使っている。人間は私共の思っている以上に少なくてもやっていけると教えてくれました」との報告には長寿のヒントを得た気がした。
消化作用ではかなりのエネルギーを消費するという。おそらく、人が一生に使うエネルギーは決まっているのだ。だから、それを出来るだけ使わないようにすれば長生きに繋がることは容易に想像出来ると考える。
現代は飽食の時代であり、現代人は明らかに食べ過ぎている。何かあれば絶えず食べ物を口にしている。これでは胃腸が休まるときが全くない。
人間の使うエネルギーは、消化活動に一番ウエイトがかかるという事実を知らない人があまりにも多すぎる。
だからこそ、少食が本来の人間の生き方であり、同時に適度な運動を伴うことではじめて健康で長生き出来ることをこの本を通じて改めて認識した次第である。
ただし、少食の場合、食べる物が重要な鍵となり、加工食品を選ぶなど以ての外であり、慎重に選別しなければならないことは言うまでもない。
