岩波書店。

 

 40年くらい前に、バートン版の第一巻を読んだ記憶があるが、それ以来。死ぬ前に、完読したいと思っていたのにゃ。なぜガラン版かというと、字が大きいから。文庫本のやつは、もう、細かくて読めないのにゃ。読書は、若いうちなのにゃ。

 

 今回、初めて気がついたことがある。女性に幻滅して、次々に花嫁を殺す王様は、ササン朝ペルシアの王様だったのにゃ。これは、驚くべきことなのにゃ。なぜなら、シェヘラザードが毎晩話す物語の中には、アッバース朝のハールーン・アッラシードも登場するのだから。ササン朝が滅亡してから150年後くらいに活躍した人にゃう。シェヘラザードには、予知能力があったのにゃ。

 

 死刑を延期させるほど物語がおもしろいのは言うまでもないが、妹のディナールザードがサクラとしていい仕事をしている。「まあ、お姉さま。なんとおもしろいお話なのでしょう!」などと、巧みに煽るのにゃ。

 

 二ヶ月に一冊のペースで、全六巻をクリアする予定にゃう。そうでないと、経済的にキツいのにゃ。

 

 この作品は、幸いなことに21世紀まで残っているのだが・・・。

 今では失われてしまった古代小説の中に、読みたいものがある。それは・・・。

 「ミレトス物語」。プルターク英雄伝のひとつ「クラッスス伝」のラストに、ちらっと出てくる。クラッスス率いるローマ軍は、パルティア(ペルシア)遠征に失敗して壊滅。パルティアの将軍が、残されたローマ軍の荷物の中からこの本を見つけて、こう言う。「こんなけしからん本を戦場に持ち込むとは。」

 ・・・はてさて、どんな作品だったのだろう。かなりアダルトな内容だったのかにゃ。気になるが、永遠のナゾなのにゃ。

ヘリオドロス著。岩波文庫。

 4世紀ころの人物が書いた、紀元前6世紀末ころのギリシア、エジプト、エティオピアを舞台とする小説。恋愛物語であり、冒険小説でもある。

 展開が激しくて、まるで新聞小説みたい。ローマ帝国時代にそんなものはなかったはずなのに。若いカップルが、盗賊に囚われたり、戦争に巻き込まれたりした末に、結ばれる話。

 作者は「太陽神の末裔なるエメサ出身のフェニキア人、テオドシオスの子ヘリオドロス」と名乗っているのだが、実は彼はキリスト教の司教だったという説があるという。まだこのころは、宗教的におおらかな時代だったらしい。作品のヒロインはアルテミス女神に仕える巫女という設定だし、ギリシアはもちろん、エジプト、エティオピアのさまざまな宗教行事が出てくる。まさに、エリアーデの言う「シンクレティズム(混淆主義)」状態なのにゃ。ただひとつ、ヒロインが神秘的な力で火あぶりの刑から逃れる場面。これは、旧約聖書の「ダニエル書」を思わせる。

 作品の時代考証は、かなりいい加減だという。だが、大雑把ながらも、古代の人々の世界観に触れることができるのにゃ。

 上ってきたにゃう。紅葉もいいが、新緑もいいのにゃ。こどもの日なので、けっこうな人出だったにゃ。